不動産コラム

2026-01-21
共働き夫婦の住宅ローンの組み方|種類別の特徴と注意したいポイント

共働き夫婦が住宅ローンを検討する際は、世帯年収をどのように活用するかによって最適な組み方が大きく変わります。住宅ローンは長く返済が必要になるため、出産・育児や転職による収入変動、離婚時の返済義務など、夫婦ならではの将来的リスクも考慮しなければなりません。

当記事では、住宅ローンの代表的な組み方の特徴と注意点を比較しながら、共働き夫婦が後悔しないための判断軸を解説します。マイホームを検討しているご夫婦はぜひ参考にしてください。

 

1.【共働き夫婦向け】住宅ローンの組み方

共働き夫婦が住宅ローンを組む際は、世帯年収をどのように活用するかによって最適な契約方法が変わります。組み方としては、単独で借りる方法に加え、夫婦それぞれで借りるペアローン、収入を合算して借入額を増やす連帯債務型・連帯保証型の選択肢があります。仕組みや返済の責任範囲が異なるため、将来の働き方やライフプランに合わせて比較検討しましょう。

ここからは、それぞれの特徴と注意点を解説します。

 

1-1.単独で住宅ローンを組む

単独で住宅ローンを組む方法は、共働き夫婦の中でも最もシンプルで負担範囲が分かりやすい組み方です。借入額は契約者本人の年収を基準に審査され、夫婦の収入を合わせるパターンより借入可能額は少なくなります。しかし、一人の収入で返済計画を立てられるため、もう一方の収入を貯蓄や教育費、繰上返済に充てやすく、家計の安定につながる点が大きなメリットです。

また、一般的に住宅ローンは団体信用生命保険(団信)への加入が条件となり、契約者が死亡または高度障害状態になった場合は、その人が借りていたローンは保険金で完済されます。そのため、残された配偶者は返済義務を負わず、家に住み続けるか売却・賃貸運用などを行うかなど、自由に選択でき安心です。

ただし、単独契約では住宅ローン控除を利用できるのも契約者本人のみです。共有名義にする場合でも、名義に対する出資割合が一致しないと贈与とみなされる可能性があり、税務上の配慮が必要です。近い将来どちらかが専業主婦(夫)になる予定がある、あるいは一人分の収入だけで希望額を借りられる場合に向いている組み方です。

 

1-2.夫婦がそれぞれにペアローンを組む

ペアローンとは、夫婦それぞれが同じ金融機関で別々に住宅ローン契約を結ぶ方法で、2本のローンで1つの住宅を購入する仕組みです。共働き夫婦の世帯年収を最大限活用できるため、単独よりも借入可能額を大きくできる点が最大のメリットです。また、夫婦それぞれが債務者となるので双方が住宅ローン控除を利用でき、節税効果も期待できます。

一方で、ローン契約が2本になるため事務手数料や保証料が二重に発生し、諸費用が割高になる点はデメリットです。また、団信は夫婦それぞれが加入するので、もし夫婦どちらかが死亡した場合はその人のローンだけが完済されますが、もう一方のローンは残り、配偶者が返済を継続する必要があります。

借入額は夫婦で柔軟に設定でき、たとえば夫3,000万円、妻1,000万円のように負担割合を調整できます。ただし、住宅ローン控除を適切に受けるには、ローン額に応じて住宅の持分を正しく設定する必要があります。借入額を増やしつつ控除も最大限使いたい共働き世帯に適した方法ですが、費用負担や将来のリスクも考えなければなりません。

 

1-3.収入合算契約(連帯債務型)で住宅ローンを組む

連帯債務型の収入合算契約は、夫婦の収入を合算して借入額の審査を受けながら、1本の住宅ローンに対し夫婦それぞれが債務者となる仕組みです。主たる債務者と連帯債務者に分かれるものの、二人とも同額の返済義務を負う点が特徴で、借入可能額を大きくできることが大きなメリットです。

また、連帯債務型は夫婦双方が住宅ローン控除を利用できるので、節税効果が期待できます。一般的な団信では主たる債務者のみ保険の対象となるため、連帯債務者が死亡してもローンが残り、主たる債務者が返済を続ける必要があります。一方、夫婦どちらも保険対象となる「連生団信」であればどちらか一方が死亡すると住宅ローン全額が完済され、遺された配偶者の負担が大幅に軽減されます。

また、借入額の取り扱いは「夫婦二人が4,000万円ずつ返す」ように見えますが、実際には合計4,000万円の共同返済となる点を誤解しないようにしましょう。連帯債務型は、借入額を増やしたい、控除を最大限活用したい夫婦に適していますが、金融機関によって利用できるかどうかが異なるため、事前の確認が必須です。

 

1-4.収入合算契約(連帯保証型)で住宅ローンを組む

連帯保証型の収入合算は、夫婦の収入を合算して借入額を増やす点は連帯債務型と同じですが、債務者となるのは主たる債務者のみで、もう一方は連帯保証人として契約します。連帯保証人は、債務者が返済不能になった場合に初めて返済義務が生じる立場で、返済義務の重さが連帯債務とは大きく異なります。

しかし、連帯保証人は債務者ではないため、住宅ローン控除を利用できず、団信にも加入できません。住宅の名義も取得できないため、持分を得たい場合は別途出資を証明する必要があります。この点は、夫婦双方が債務者となる連帯債務型と比べて大きなデメリットです。

それでも連帯保証型が選ばれる理由は、取り扱う金融機関が多く、選べる商品が豊富である点です。また、借入額を増やしたい共働き夫婦にとっては審査の通りやすさがメリットとなります。ただし、連帯保証人の収入も審査に組み込まれるため、将来収入が不安定になった場合のリスク管理が重要です。

連帯保証型は選択肢の幅が広い一方で、控除が使えない、団信の補償範囲が狭いなど不利な点も多いため、制度の違いを理解した上で選ぶことが大切です。

 

2.共働き夫婦が一緒に住宅ローンを組む場合の注意点

共働き夫婦が住宅ローンを共同で組む場合は、借入額を増やせるなどのメリットがある一方で、単独で組む場合には生じないリスクも存在します。ここでは、共働き夫婦が気をつけたい注意点について解説します。

 

2-1.負担額と持分割合の不一致による贈与税の発生

夫婦が住宅ローンを共同で組む際は、自己資金と住宅ローンの負担割合に応じて、登記する持分割合を決める必要があります。もし実際の負担額と持分割合に差があると、その差額分が一方からもう一方への「贈与」とみなされ、贈与税が発生する可能性があります。

特にペアローンや収入合算では、夫婦で異なる額を負担するケースが多いため、持分設定を誤ると税負担が大きくなる恐れがあります。登記前に負担割合を正確に算定し、税務リスクを避けましょう。

 

2-2.片方の収入減少に伴う返済計画の破綻

共働き前提で住宅ローンを組む場合、将来の収入変動が返済計画に大きく影響します。出産・育児に伴う休職、病気による休業、転職による収入減などは多くの家庭で起こり得ますが、ペアローンや収入合算で借入額を大きくしていると影響も大きくなります。

対策としては、借入額を無理のない範囲に抑えること、返済期間を短縮しすぎないこと、産休・育休の期間や収入減の可能性を事前に見込んで貯蓄を確保しておくことが大切です。

 

2-3.離婚後も継続する返済義務と金銭トラブル

夫婦で住宅ローンを組んだ場合、離婚しても返済義務が直ちに消えるわけではありません。ペアローンや連帯債務型では夫婦双方が債務者であるため、離婚後もそれぞれが返済を続ける必要があります。

また、住宅が共有名義になっている場合、売却には名義人全員の同意が必要であり、離婚後に話し合いが難航すると売却が進まないケースも多くあります。一方が住み続ける場合でも、他方がローン返済の負担を抱え続けることになり、名義変更ができないケースではトラブルが複雑化します。

住宅ローンは長期にわたる契約であるため、万が一の離婚を想定し、所有権の扱いや返済方法について事前に話し合っておくことがトラブル防止に役立ちます。

 

まとめ

住宅ローンの組み方は、共働き夫婦にとって家計設計と資産形成を左右する選択です。単独契約は返済計画が立てやすく、家計全体の安定性を高められます。一方でペアローンや収入合算では借入額を増やせる反面、諸費用の増加や返済義務の重なり、持分割合の誤りによる贈与税リスクなど、注意すべき点も多く存在します。

どの契約方式にもメリットとデメリットがあり、どの組み方がよいかは夫婦の働き方・収入の安定性・ライフプランによって異なります。住宅ローンの仕組みを理解し、将来のリスクも踏まえて選択することが大切です。