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2025-03-25 19:01:55
防火地域とは?防火地域の建築制限や調べ方を解説
家を建てる・購入する際は、多くの場合で土地の購入も伴います。土地選びにおいては治安や周辺環境を重視する方も多くいますが、土地そのものの特性についても理解しておく必要があります。 特に、都市計画法によって定められた「防火地域」や「準防火地域」といった地域の土地は、あらかじめメリットとデメリットを把握しておかなければ購入後に後悔するおそれがあるため注意が必要です。 そこで今回は、防火地域の概要やメリット・デメリット、さらに防火地域・準防火地域の建築制限や調べ方について詳しく説明します。
1.防火地域とは?防火地域とは、都市計画法によって「市街地における火災の危険を防除するための地域」として指定されたエリアのことです。 人口が集中し、建物の密集度が高い都市部では、火災が発生した場合の延焼リスクが高い傾向にあります。特に大震災などの災害時にはその危険性がより増すでしょう。こうしたリスクを軽減させるためにも、都市計画法では都市部を防火地域と指定し、火災の予防と万一の被害の最小化を図っています。 防火地域や準防火地域は都市部の全域で指定されるわけではなく、火災発生時の延焼リスクが特に高いエリアのみ指定されることが一般的です。例えば、建物が密集する地域では火災の延焼を防ぐために、そして幹線道路沿いでは緊急車両の通行を確保するために指定されます。 なお、防火地域に指定されたエリアは、耐火建築物の建築が義務付けられるなど一般の地域とは異なる厳しい基準が適用されます。
1-1.準防火地域・法22条区域との違い火災に備えるための地域としては、防火地域のほかにも「準防火地域」や「法22条区域」があります。 準防火地域とは、防火地域と同様に都市計画法によって「市街地における火災の危険を防除するための地域」として定められ、一定の建築制限が設けられたエリアのことです。 防火地域との違いは「指定される地域」にあり、準防火地域は基本的に防火地域を取り囲む周辺エリアに指定される点が特徴となっています。 【準防火地域に指定されるエリアの具体例】
そして法22条区域とは、建築物の屋根・外壁に一定の防火性能を確保させ、火災の延焼防止を目的に建築基準法第22条によって定められたエリアのことです。正式には「建築基準法第22条指定区域」と呼ばれます。 法22条区域は、防火地域や準防火地域ほど厳しい建築制限は設けられないものの、屋根に不燃材料を使用するなど一定の防火基準を満たす必要があります。 【法22条区域に指定されるエリアの具体例】
1-2.防火地域に家を建てるメリット・デメリット規定の建築条件を満たした上で防火地域に家を建てることには、メリットとデメリットの両面があります。下記に、それぞれ詳しく紹介します。 【防火地域に家を建てるメリット】 ●火災保険料が安くなる 住宅ローンを借りて家を購入する場合は、基本的に火災保険の加入が必須となります。火災保険料は一律ではなく、建物の種類や耐火性によって異なります。 防火地域では、延焼を防ぐために一定の耐火性能をもつ建物しか建築できません。防火地域で建てられる住宅は都市計画区域以外の一般住宅よりも耐火性が高く、延焼リスクも低いとみなされるので、火災保険料も割安となるケースが多いです。 ●建ぺい率が緩和される 建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の上限割合を示す規制を指します。防火地域や準防火地域の土地は、建ぺい率が10%緩和されます。そのため、ほかの地域における同じ広さの土地と比べて、より広い建物を建築することが可能です。 【防火地域に家を建てるデメリット】 ●建築費用が割高になる 耐火性の高い建物を建築する必要がある防火地域では、一般的な建物に比べて建築費用も割高になります。また、住宅の耐火性能を維持するためにも定期的な点検・メンテナンスが不可欠となり、維持管理にもコストが発生する点に注意が必要です。 ●デザインの自由度が低い 耐火性能を確保するためには、使用する建材だけでなく建物の構造や配置にも一定の制約が課されます。例えば、窓・ドアといった開口部の配置や大きさが制限されるなど、希望通りのデザインを実現できない可能性がある点に注意が必要です。
2.防火地域の建築制限前述の通り、防火地域や準防火地域では厳しい建築制限が設けられており、いずれも建物の用途や規模・構造によって求められる構造が異なります。 家を建てたい場所が防火地域や準防火地域に該当する場合は、あらかじめどのような制約が生じるかを理解しておくのが望ましいでしょう。 ここからは、防火地域の建築制限と準防火地域の建築制限をそれぞれ詳しく解説します。
2-1.防火地域の場合防火地域の建築制限は、下記の通りです。
また、「防火地域は鉄骨造(S造)や鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の建築物しか建てられない」というイメージをもつ方も多くいますが、必ずしもそうではありません。木造住宅でも、耐火構造を施せば耐火建築物を建てられます。 かつて、防火地域で木造住宅を建築するには「2階建て・延べ面積100㎡以下」という条件を満たす必要がありました。しかし、2000年の建築基準法改正によって一定の耐火性能を満たせば防火地域でも3階建ての木造住宅を建築できるようになりました。 そして2025年の建築基準法改正からはこの条件がさらに緩和され、より柔軟に木造住宅を建築できるようになります。
2-2.準防火地域の場合準防火地域の建築制限は、下記の通りです。
準防火地域の場合、4階以上の建物や延床面積が1,500㎡を超えるすべての建物は、原則として耐火建築物にする必要があります。また、地階を含む階数が3以下であり、延べ面積が500㎡超1,500㎡以下の建物は準耐火構造で建築しなければなりません。 なお、延べ面積500㎡以下かつ木造の2階建てや平屋建てにおいては技術的基準適合建築物としての防火構造が求められています。具体的には、屋根に不燃材料を用いることはもちろん、延焼のおそれがある部分に対しては外壁や軒裏、開口部に防火措置を施す必要があります。
3.防火地域の調べ方防火地域には厳格な建築制限が設けられることから、万が一周辺で火災が発生しても安全性が高く、安心して暮らせるという大きなメリットがあります。 しかし、建築コストがかさみやすく、予算の調整が難しくなる場合もあるため、気に入った土地を見つけたら防火地域に指定されているかどうかを確認しておくことが重要です。 防火地域を調べたいときは、インターネットで検索するか、市町村の役所や不動産会社、ハウスメーカーに問い合わせるのがおすすめです。最後に、防火地域の調べ方について詳しく紹介します。
3-1.インターネットで調べる検討している土地が防火地域に指定されているかどうかを簡単にチェックしたいときは、インターネットを活用するのがおすすめです。 近年では、自治体が公式ホームページに都市計画マップを公開するケースが増えています。「地域名+防火地域(または準防火地域)」で検索することで、該当地域の都市計画情報を確認できます。
3-2.市町村に問い合わせる自治体ホームページから気に入った土地が防火地域に指定されているかを確認できなかったときは、市町村の役所に直接問い合わせるのが確実です。 役所の「都市計画課」や「まちづくり推進課」といった関連部署では地域全域の都市計画情報を管理しており、防火地域や準防火地域の指定状況を教えてもらえます。 なお、役所に問い合わせる際は土地の場所を正確に伝える必要があるため、事前に正しい住所を確認しておくことが大切です。住所がまだ決まっていない場合は地図を持参しておくとスムーズに対応してもらえるでしょう。
3-3.不動産会社やハウスメーカーに問い合わせる自治体ホームページに情報がなく、役所に問い合わせる時間もないという場合は、住宅購入に際して相談している不動産会社やハウスメーカーに調査を依頼するのも一案です。 不動産会社やハウスメーカーにとっては、取引している土地の詳細を調べるのも業務の一環となります。気になる土地が防火地域に指定されているかどうかも簡単に調査できるため、気軽に問い合わせられます。 また、不動産会社やハウスメーカーに調査を依頼することで、土地が防火地域として指定されていた場合の予算面や建築プランにおける影響についての具体的なアドバイスも受けられます。これにより、家づくりをよりスムーズに進められるほか、後からのトラブルを防ぐことにもつながるでしょう。
まとめ防火地域とは、都市計画法によって「市街地における火災の危険を防除するための地域」として指定されたエリアのことです。厳しい建築制限が設けられているので、建築費用が高額になりやすい一方で、安全性が高く、長期的に安心して暮らせるというメリットもあります。 インターネットでの検索や、自治体への問い合わせ、さらには不動産会社やハウスメーカーに相談する方法があります。気に入った土地が防火地域に指定されているかを事前に確認しておくと、住宅購入の計画を立てる上で有益です。 |