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2024-12-17 10:20:33

「狭小住宅」は、一般的に20坪以下の小さな土地に建てられる住宅を指し、さまざまな工夫を行うことで住みやすい空間を作り出せます。縦方向に空間を活用したり、空間の区切りを減らしたりするなどの工夫で、住み心地を損なわずに収納スペースを確保し、開放感のある空間を作り出せます。

当記事では、狭小住宅のメリットや間取り設計のポイントを中心に、狭小住宅を選ぶ際の参考となる具体的なアイデアを紹介します。戸建て住宅を建てようと検討している方は、ぜひご覧ください。

 

1. 狭小住宅とは?

狭小住宅とは、狭い土地に建てられる家のことを指します。土地面積についての法的な定義は設けられていませんが、20坪以下の住宅を「狭小住宅」と呼ぶのが一般的です。

狭い土地に対して、「住みにくさ」をはじめとする、ネガティブなイメージを持たれるケースも少なくありません。しかし狭小住宅では、狭小地を有効活用して「住みやすい居住スペース」を確保する工夫を施すことが可能です。特に3階建て・4階建てなど、縦方向に面積・空間を確保する建築事例が多く見られます。

 

1-1. 狭小住宅のメリット

狭小住宅ならではの具体的なメリットは、以下の4つです。

  • 都市部でも住宅を持ちやすい
    都市部は土地が限られており、地価が高い傾向が見られます。狭小住宅は、狭い土地を有効活用して住宅を建設するため、都市部でもマイホームを持ちやすいのがメリットです。
  • コストを抑えられる
    狭小住宅は、面積が狭い分、比較的安い価格で土地を取得できます。また、狭小住宅は土地と建物の面積が小さいため、固定資産税や都市計画税の支払いも安く済みます。さらに、面積が小さい住宅は大きい住宅と比べて修繕部分が広範囲に及ばないため、修繕費も安く済むケースがほとんどです。マイホーム購入時のコストに加えて、住宅購入後の維持費が抑えられる点も魅力です。
  • 利便性の高い土地に住める
    駅周辺の土地や近隣に商業施設・公共施設が揃う土地など、利便性が高いエリアの土地は人気が高く、地価も高い傾向が見られます。狭小住宅を選ぶと、不動産取得費用が抑えられるため、通勤・通学や買い物に便利な土地に手が届きやすいのもメリットです。
  • 掃除がしやすい
    狭小住宅は、掃除や片付けがしやすい点も嬉しいポイントです。住宅面積が大きいほど、掃除が必要なスペースも増えます。忙しい中で、片付け・掃除といった日頃のメンテナンスが負担になってしまうケースも少なくありません。しかし、必要最低限の床面積で住みやすい空間になるように設計された狭小住宅は、日頃のお手入れが行き届きやすいのが利点です。また、狭小住宅は土地が狭い分、庭や外構のメンテナンスにかかる手間も省けます。

 

2. 狭小住宅の間取りで考えたいポイント

狭小住宅で間取りを考えるときには、いくつか注意したい部分があります。狭小住宅の間取りで気をつけたいポイントとして、以下の4つを紹介するため、理想の家づくりに役立ててください。

 

2-1. 収納スペースの量

快適な住空間を実現するには、収納スペースの量を十分に確保するのが大切です。生活スペースが物で溢れると、どうしても過ごしにくさを感じてしまいます。収納したい物の容量を踏まえた上で、マイホームでの収納計画を立てましょう。

狭い土地に建てられる狭小住宅でも、工夫次第で十分な収納空間を確保できます。例えば、ロフトや屋根裏収納、地下収納などを取り入れて、収納力を向上させるのも1つの方法です。空間を縦方向に有効活用することで、居住スペースを減らさずに収納スペースを確保できます。

さらに、デッドスペースを使った収納・見せる収納といった収納術を活用するのもおすすめです。見せる収納に挑戦する場合は、アイテムの統一感を意識しながら、オープンシェルフなどに並べて収納します。圧迫感が出ないように、適度に余白を残して収納しましょう。

 

2-2. 隣の住宅との近さ

建物の外壁から敷地境界線までの距離は、建築基準法上で規制されています。住宅密集地で狭小住宅を建てる場合は、あらかじめ、住宅を建築する自治体の都市計画情報を確認しておきましょう。間取りを考える際には、隣の住宅との近さを考慮した工夫も重要です。隣の住宅との距離が近いと、音・視線・採光・風通しなどの面で、問題が発生する可能性があります。

例えば、防音性が高い作りの家を選ぶことで、音の問題を気にせずに快適に過ごせます。また、窓を設ける位置にも注意が必要です。隣家の窓・換気扇などと被る位置に窓を設置すると、視線や景色が気になって快適さが損なわれる恐れがあります。

狭小住宅では、高い位置に窓を設けて、プライバシーを守りながら光・風を取り入れるのがおすすめです。住宅内に吹き抜けを作ると、より開放的で明るい空間が作れるでしょう。隣家や家の前の人通りが気になる場合は、家族で寛ぐリビングを2階に設け、プライバシーを確保するのも1つの方法です。

 

2-3. 駐車スペース

狭小住宅で駐車スペースを設ける工夫として、ビルトインガレージを検討するのもおすすめです。ビルトインガレージとは、建物の1階部分に駐車スペースを組み込んで、シャッターやドアを設置したものです。土地を有効活用することで、敷地面積や前面道路が狭い住宅でも駐車場を確保できます。

ビルトインガレージは、半屋外スペースとして、多様な使い方ができる点も魅力です。水栓・屋外コンセントを設置しておくと、子どもの水遊び・洗車・DIYなど、あらゆる用途で活用できます。

 

2-4. 家事動線

家事動線とは、料理・洗濯・掃除といった家事をする際の移動経路のことです。階段の上り下りの量が多かったり、収納の配置が悪かったりすると、家事がスムーズに進まない可能性があります。

日々の家事負担を軽減するために、家族のライフスタイルも考慮しながら、最短距離でスムーズに作業できる動線と間取りを検討するのが大切です。例えば、水回りを同じフロアに集めてファミリークローゼットを併設させると、料理と同時に洗濯物の片付けやお風呂掃除も進められます。

また、キッチンとパントリーを併設させるのもおすすめです。料理がしやすいだけではなく、キッチン・食卓周りのアイテムをさっと収納できるため、片付けの負担も軽減できます。

 

3. 狭小住宅に取り入れたい間取りのアイデア

狭小住宅をより快適な住まいにするためのアイデアは数多く存在します。狭小住宅に取り入れたい間取りアイデアを10個紹介するので、自分や家族に合った戸建て住宅を建てる際の参考にしてください。

 

3-1. 空間を区切らない

リビングなどは、できるだけ壁で区切らないように工夫することで、開放感ある空間に演出できます。ワンフロアの面積が小さい狭小住宅は、必要以上に壁や仕切りを設置すると、圧迫感のある空間になってしまうため注意が必要です。プライバシーの確保が求められる場所以外は、空間をなるべく区切らないようにしましょう。

例えば、壁を減らした上で吹き抜けを取り入れると、横方向にも縦方向にも空間の広がりを感じられます。視線を遮らない、ゆったりとした生活空間を作れる点がメリットです。どうしても仕切りを設置する場合は、ガラス素材や可動式の仕切りなどを活用するのもおすすめです。

 

3-2. 高窓や地窓を取り入れる

隣家との距離が近く、窓の設置場所に悩む場合は、高窓や地窓の採用も検討してみましょう。

高窓は、壁の高い位置に設置する窓のことを指します。高窓から差し込む光は室内の奥まで届きやすいため、明るくて広い空間を演出できるのがメリットです。また、天窓を設けて吹き抜け構造を採用すると、住宅側面からの採光が難しい場合でも家全体を明るくできます。

地窓とは、床面に近い位置に設置される窓のことを言います。窓が足元にあることで、視線を気にせずに自然光や空気の通り道を確保できるのがメリットです。最近ではスタイリッシュなデザインの地窓も販売されており、おしゃれな空間に仕上げたい場合にも採用されています。

 

3-3. リビングを家の中心にする

リビングは、家族がコミュニケーションを取る場所です。それぞれが集まりやすい家の中心に、リビング・ダイニングを配置するのもおすすめです。最近では、採光や換気の効率などを総合的に考えて、2階にLDKを設置する住宅も多く見られます。

3階建て住宅の場合は、2階にリビングを設置すると、上下階からアクセスしやすい点がメリットです。リビングに続く場所に、壁が高いプライベートバルコニーを設置すれば、プライバシーを守りながら自然光も確保できます。

 

3-4. 造作収納を取り入れる

造作収納とは、空間や収納する物に合わせてプランニングされた、造り付けの収納家具のことです。家族のライフスタイルと用途目的に合わせて、無駄のない設計・施工が行われるため、狭小住宅で空間を有効活用したい場合にも適しています。

部屋のトーンに合わせた配色・デザインを選ぶことで、空間に統一感が出せる点も魅力です。壁にしっかり固定された備え付けの造作収納は、耐震性にも優れているため、家具転倒によるケガのリスクも軽減できます。また、床置き家具のように掃除の度に移動させる必要がなく、家事負担を軽減できるのも嬉しいポイントです。

 

3-5. 天井を高くする

天井を高くすると、縦方向に視野が広がるため、開放感が出ます。建築面積が狭くても住空間を広く演出できる、おすすめの方法です。天井が高いと窓の位置も高くでき、採光・換気の効率アップにつながる点も魅力です。

また、高い天井や吹き抜けを採用すると、インテリアアイテムを選択する際の幅が広がります。例えば、吊り下げ型のシャンデリアやペンダントライトなどは、どうしても圧迫感が出やすいアイテムですが、天井に高さがあると空間にゆとりが生まれるため、自然に設置できます。高さのある観葉植物などを置いても、窮屈な印象になりにくく、インテリアの自由度がアップします。

 

3-6. 中庭を作る

コンパクトな住まいで、より快適な間取りを実現するために、中庭を設けるのも1つの方法です。都市部に狭小住宅を建てる場合は、光や風の通り道を確保する際に苦労するケースも少なくありません。外からの視線を遮る形で中庭を作ると、大きな窓を設置できるため、明るい光や心地よい風を取り入れやすいのがメリットです。

また、外部の視線が届かない建物の内側に中庭を設計することで、家族が寛げるプライベート空間を創出できます。バーベキューを楽しんだり、ペットと遊んだり、家族のライフスタイルに合わせた楽しみ方ができる点も魅力です。植栽エリアを設けると、自然や季節の移ろいも身近に感じられるでしょう。

 

3-7. 水回りを1か所にまとめる

3階建て以上の物件が多く見られる狭小住宅では、フロアを跨ぐ上下の移動が多くなりがちです。生活動線が複雑にならないように、キッチン・バスルーム・トイレ・洗面所などの水回りは、できるだけ1か所にまとめて配置しましょう。自分たちのライフスタイルを踏まえた上で、設置する階数も慎重に検討するのが大切です。

水回りの間取りや設備を1か所に集約させることで、料理・洗濯などの家事がスムーズに行える点もメリットです。さらに、水回りが1か所にまとまっていると、水道管の配管コストを削減できる場合もあります。

 

3-8. デッドスペースを活用する

空間に生まれるデッドスペースをフル活用することで、居住スペースを圧迫せずに、収納場所を確保できます。例えば、階段下の空間や洗濯機周りは、代表的なデッドスペースです。

階段下の空間は、パントリー・多機能クローゼットといった収納スペースに活用できます。洗濯機の上部や側面のデッドスペースは、タオルや衣類、洗剤グッズの収納場所としておすすめです。他にも、以下のような場所がデッドスペースとして挙げられます。

  • トイレの上部
  • ベッドやソファの下
  • 家具と壁の隙間
  • 壁面など

トイレの上部やベッド下のように、縦方向に有効活用できるスペースがないかを検討しましょう。壁面フックなどを活用すれば、吊るタイプの収納も確保できます。

 

3-9. スキップフロアを作る

スキップフロアは、床面の一部に段差をつけて、1つの階層に複数の高さのフロアを設ける間取りのことです。スキップフロアには、階段の踊り場を活用したタイプや、床から少し高い位置に作られる「小上がりスペース」など、複数の種類があります。

スキップフロアを取り入れると、空間を立体的に活用できる点がメリットです。例えば、床の高さを半階ずつずらす形で多層構造のスキップフロアを設計することで、床面積が広く使えます。

また、スキップフロアは高低差を活用して空間を区切ります。上下の階層とは段差やスケルトン階段などで緩やかにつながるため、壁や仕切りを使って空間を小分けにするよりも住空間にゆとりが生まれやすく、採光・換気が行いやすい点も魅力です。

 

3-10. ロフトを作る

日本では、ロフトと言うと、居室の一部を上下に二分割した際の上の層を指すのが一般的です。ロフトを取り入れる際には天井を高く設計した上で、同一階に高さが異なる居住スペースを追加し、ハシゴなどで行き来できるようにします。

ロフトは、機能性や安全性に配慮して設計することで、寝室・収納・子どもの遊び場といったさまざまな用途に活用できます。趣味のスペースや書斎として使われるケースも少なくありません。スペースを賢く追加できるロフトは、狭小住宅の空間活用術として有効な手段です。

 

4. 狭小住宅の間取りで後悔しないためには?

狭小住宅の間取り作りで後悔しないように、あらかじめ気をつけておきたいポイントがあります。狭小敷地で注文住宅プランを考える場合に、後悔しないための対策として、特に重要な2点を解説します。

 

4-1. 将来の家族構成を考える

一生暮らすマイホームを購入する際には、あらかじめ将来の家族構成を考えておきましょう。家族が増えると、それぞれの衣類や持ち物が増え、部屋数・収納スペースが必要になる場合があるためです。

家族が増える可能性がある場合は、一部をフリースペースにして、家族構成の変化に合わせて融通が効くような間取りプランを考えておくと安心です。自由にできるスペースがあれば、いざという時にも柔軟に対応できます。

また、マイホームで過ごす長い年月の中で、家族のライフスタイルは変化します。子どもがいる家庭では、成長とともに、家族の生活にもさまざまな変化が見られます。家族とどのように関わり、どのような家庭にしたいのかを踏まえて、長期的な視点で子ども部屋やリビングなどの在り方を考えるのが大切です。

家族が増えた際の利便性を考慮して、トイレを2つ設置する、洗面所と脱衣室を分けるなどの対策を取り入れておくのもおすすめです。

 

4-2. 自由な間取りが可能なハウスメーカーに依頼する

狭小住宅を作る際には、限られた空間を有効活用して「暮らしやすさ」を創出するノウハウが求められます。狭小住宅の間取りで後悔しないように、設計の自由度が高く、希望の間取りに対応可能なハウスメーカーを選ぶのが重要です。

経験・ノウハウが豊富か、施工事例が多く間取りの提案力があるかといった点に注意しながら、自分に合ったハウスメーカーを見極めましょう。住宅展示場・モデルハウスで間取りの実例を見学したり、営業担当者から話を聞いたりして、複数社を比較検討するのがおすすめです。

また、縦方向に空間を有効活用する狭小住宅は建物自体が細長いため、風や地震などの災害への対策も欠かせません。3階建て・4階建ての住宅でも、十分な耐震性と強度を実現できる施工会社かどうか、あらかじめチェックしておきましょう。

 

まとめ

狭小住宅は、都市部でも手頃な価格で住宅を持てる利点がある一方で、狭い土地を有効活用する工夫が求められます。住みやすさや収納力を確保するためには、収納や家事動線、プライバシーといった多くの要素を考慮した間取り設計が重要です。

また、家族の将来のライフスタイルの変化に合わせて柔軟に対応できるよう、フリースペースや多機能な収納を取り入れるといった工夫も有効です。家族にとっての理想の住まいを形にするために、狭小住宅の特性を最大限に生かした間取りプランを実現しましょう。


2024-11-18 19:05:09

マイホームの建築を考える際に、土地選びは最も重要です。理想の土地を見つけるために、エリアや予算を決めた上で、土地に求める条件の優先順位をつけておきましょう。また、周辺環境や土地の形状だけでなく、土地が位置するエリアがどのような地域となっているかも確認する必要があります。

当記事では、土地選びをスムーズに進めるために事前に考えておくべきポイントや土地探しの方法、土地のチェックポイントを詳しく解説します。

 

1. 土地選びの前に考えておくこと

土地選びはマイホームを建てる際に欠かせない工程であり、スムーズに進めるためにはいくつかの準備が必要となります。土地を選ぶときは、事前準備として下記の内容を決めておくとよいでしょう。

 

1-1. 土地の優先順位を決める

土地選びで考えるべき項目には「立地のよさ」「土地の広さ・形」「価格」などがあり、いずれの項目を重視するかは人によって違いがあります。自分がどのような土地を理想としているかを明確にするために、土地の優先順位を決めましょう。

優先順位を付けるときは、各項目を5段階で評価することがおすすめです。

例として立地のよさが5、土地の広さ・形が4、価格が2のように評価すると、「自分の生活条件に合致する立地で、広さ・形が十分な土地」を求めていることが分かります。

優先順位を決めると、候補となる土地の評価や比較も簡単にできて、理想の土地を探しやすくなるでしょう。

 

1-2. エリアを決める

土地の候補が多くなりすぎると土地探しに時間と労力がかかるため、事前にエリアを決めることが大切です。

エリアを決めるときは、生活や通勤に便利なエリアであることを重視するのがおすすめです。「スーパー・コンビニなどの商業施設が近くにあるか」「職場に近い、もしくは駅が近いか」など、自分にとっての利便性を考えてエリアを決めましょう。

また、建てたマイホームには自分や子どもの世代が長く住み続ける可能性もあります。現在だけでなく将来的な視点も持つと、エリアを決めるときに後悔しない選択ができます。

 

1-3. 予算を決める

土地の購入にはまとまった金額がかかるため、予算を決める必要があります。土地の購入後に家を建てることも踏まえて、土地の購入にかける予算を決めましょう。

参考として土地代込みで注文住宅を建てる場合にかかる費用の内訳は、家の建築工事にかかる費用が全体の6~7割、土地の購入費用が3~4割と言われています。家・土地の費用総額を3,000万円で抑えたい場合、土地の予算は900万~1,200万円程度になる計算です。

土地の購入にかけられる予算が決まると、不動産会社やハウスメーカーに相談するときに大体の費用感を伝えられるので、予算に合う提案をしてもらえるでしょう。

 

2. 土地探しの方法

土地選びの事前準備ができた後は、いよいよ土地探しを行います。土地を探す方法にはいくつかの選択肢があるので、自分に合う方法を選ぶことが大切です。

以下では土地探しの主な方法を3つ挙げて、それぞれの特徴とメリット・デメリットを解説します。

 

2-1. 不動産会社に相談する

土地は、不動産会社に相談して紹介してもらうことが可能です。

不動産会社は不動産売買の専門家であり、地域に根差した会社であれば希望条件に合致する土地を紹介してもらえるかもしれません。インターネット上で掲載されていない非公開の土地を紹介してもらえる可能性もあるので、土地選びの選択肢を広げられるでしょう。

一方で、実際に不動産会社の店舗に赴いて相談しなければならない点がデメリットです。不動産会社によっては、家づくり用の土地に詳しくないケースもあるため注意してください。

 

2-2. ハウスメーカーに相談する

ハウスメーカーは家の建築・販売を主要事業としている建築会社のことで、中には土地探しのサポートをしてくれる会社もあります。

ハウスメーカーに相談すると、家づくりを前提とした土地を提案してもらえる点がメリットです。相談先のハウスメーカーに住宅建築を依頼する場合は、土地探しと家づくりの計画を並行して進められる利点もあります。

デメリットは、すべてのハウスメーカーが土地探しをサポートしてくれるとは限らない点です。また、理想の土地が見つかった場合には相談先のハウスメーカーに住宅建築を依頼するという条件が生じて、施工会社選びを自由にできないデメリットもあります。

 

2-3. インターネットで探す

インターネット上の不動産情報サイトなどを利用して、自分で土地を探す方法です。インターネットで探す方法は時間や場所の制約がなく、好きなタイミングで土地探しを行えます。

しかし、インターネット上の情報は最新のものであるとは限りません。中には情報の更新が滞っていて、売約済みの土地情報を掲載しているケースもあることが注意点です。

また、インターネット上の情報だけでは、土地の詳細や周辺情報が確認できないことがあります。失敗しない土地選びをするには実際に土地を訪れる必要があり、インターネット上の情報だけで土地探しを完結させることはできません。

 

3. 土地を選ぶときのチェックポイント

土地にはそれぞれ異なる特徴があります。一見すると希望条件を満たせる土地であっても、細かいポイントに目を向けると条件が悪いこともあるため、特徴を細分化してチェックしましょう。

以下のポイントに着目しながら探すことで、理想の土地を選べます。

 

3-1. 周辺環境

土地の周辺環境は、土地に家を建てて生活するときの暮らしやすさや安心感にかかわるポイントです。具体的には下記のポイントに着目しましょう。

  • 生活利便施設があるか
    生活利便施設とは、日常生活に欠かせない各種施設のことです。買い物ができるスーパー・コンビニや、病院・銀行・郵便局などの公共施設が該当します。
  • 交通に不便はないか
    交通機関が近くにあると通勤や通学がしやすくなります。駅・バス停までの距離や、車を運転する方は主要道路が利用しやすいかを確認しましょう。
  • 子育てしやすいか
    子育てをする家庭では、子育てしやすい環境であることが重要です。幼稚園・小学校・中学校といった教育施設が近場にあるかを確認します。
  • 地域に問題がないか
    土地周辺の治安がよく、騒音問題などのトラブルもないかを確認すると暮らしやすい土地を選べます。

 

3-2. 面積や形状

土地の面積や形状は、土地に建てる家の広さや間取りにかかわるポイントです。土地が狭いと建てられる家も狭くなるため、理想とする家の広さに見合う面積の土地を選びましょう。

また、土地の形状は大きく分けて、「整形地」と「不整形地」に分けられます。

整形地は土地の形状が整っていて、家を建てる際に間取りの自由度が高い土地です。

一方で不整形地は土地の形状がいびつで、土地の形状に合わせて家の間取りを決める必要があります。間取りの自由度が低くなるため注意な土地です。

 

3-3. 用途地域

住宅用の土地を購入する際は、用途地域のチェックが必要です。

用途地域とは、エリア内にある土地に建てられる建物について、建物の種類や規模・用途などを定める枠組みのことです。用途地域には以下の13種類があります。

  • 第一種低層住居専用地域
  • 第二種低層住居専用地域
  • 第一種中高層住居専用地域
  • 第二種中高層住居専用地域
  • 第一種住居地域
  • 第二種住居地域
  • 準住居地域
  • 田園住居地域
  • 近隣商業地域
  • 商業地域
  • 準工業地域
  • 工業地域
  • 工業専用地域

出典:国土交通省「用途地域」

用途地域の中でも、工業専用地域は工場用の地域であるため、家は建てられません。

また、第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域は住宅地用の用途地域であるものの、建物の高さが制限されます。3階建てのように高さがある住宅は建てられない点に注意してください。

 

3-4. 防火地域

土地が属しているエリアが、防火地域に指定されているかどうかも確認しましょう。

防火地域とは、市街地において火災の危険性を防ぐために、建物にさまざまな制限が課されている地域のことです。駅前や商業地域のように、建物が密集しやすく火災の危険性が高い地域は防火地域に指定されているケースがあります。

また、防火地域よりも規制が緩やかな「準防火地域」という指定もあります。

防火地域に家を建てる場合は、建物を耐火建築物や準耐火建築物で建てなければなりません。耐火建築物や準耐火建築物の設計・建築には専門知識が必要であり、建築費用や工期の増加につながる可能性があります。

土地が防火地域であるかどうかは、地域を管轄する役所で尋ねたり、不動産会社やハウスメーカーに相談したりすることで調べられます。

 

3-5. 建蔽率・容積率

土地に建てられる家の広さにかかわるポイントには、建蔽率・容積率もあります。

建蔽率とは、土地の面積に対して、建物の建築面積が占める割合のことです。例として建蔽率が50%の場合、100平方メートルの土地で建てられる家の面積は50平方メートルとなります。

もう1つの容積率は、土地の面積に対して、建物各階の床面積を合計した「延床面積」が占める割合のことです。容積率が80%の場合、100平方メートルの土地であれば延床面積は80平方メートルまでとなります。

出典:大阪市「建物の建ぺい率や容積率の制限について」

建蔽率・容積率は用途地域ごとに上限が定められています。土地を選ぶ際は建蔽率・容積率を調べて、建てたい家の広さに見合うかどうかを確認しましょう。

 

3-6. 地盤

土地の地盤とは、建物の重さが伝わる地中部分のことです。地盤は一般的に「硬い地盤」と「軟らかい地盤」があります。

硬い地盤は安定していて、地震が起きても崩れにくく、地盤沈下もしにくい土地です。反対に軟らかい地盤は、地震によって地盤が崩れやすく、地盤沈下も発生しやすい傾向があります。

家を建てる土地として適しているのは硬い地盤です。軟らかい地盤に家を建てる場合は、地盤沈下などが発生しないように地盤調査や地盤改良工事を行わなければなりません。

土地に家を建てる安全性や、地盤改良にかかる工事費用を正確に把握するために、土地選びの段階で地盤を調べる必要があります。

 

3-7. 境界線

土地の境界線は、土地所有者が所有する範囲を示しています。境界線が明確になっていないと隣地の所有者とトラブルが発生する可能性があるため、購入前に土地の境界をはっきりさせることが重要です。

土地の境界線は、下記の方法で調べられます。

  • 法務局で調べる
    法務局で土地の登記情報や地図、地積測量図を調べる方法です。自分で調べられるものの、土地の情報を取得するには手数料がかかります。
  • 測量士に依頼する
    土地測量の専門家である測量士に依頼して、土地の境界線を明確にしてもらう方法です。境界線が不明瞭な土地についても、はっきりと境界線を定められる利点があります。
  • 土地家屋調査士に依頼する
    土地家屋調査士は、不動産の表示に関する登記や土地・家屋の調査を行う専門家です。土地家屋調査士に依頼することでも、土地の境界を確定できます。

 

3-8. 土地の過去

土地によっては「過去に浸水したことがある」「昔は化学工場が建っていた」など、家を建てるにあたって不安材料となる過去が存在する可能性があります。安心して暮らせるマイホームにするためには、土地の過去を調べたほうがよいでしょう。

土地の過去を調べるには、国土地理院が提供する「地理院地図」の利用がおすすめです。地理院地図にはさまざまな地図があり、土地の災害リスクや過去に発生した災害の航空写真を確認することができます。

また、過去に土地の上に建っていた建物の情報を調べるには、法務局で「閉鎖登記簿」を取得する方法があります。閉鎖登記簿は、建物の登記記録が閉鎖されたときに作成される帳簿であり、取得することで閉鎖された建物の情報を確認できます。

 

4. 理想の土地を見つけるには?

土地探しを行うと、購入候補となる土地がいくつも見つかります。候補の中から理想の土地を選ぶには、ポイントを押さえて土地の比較や判断をすることが重要です。

最後に、土地探しを行うときのポイントを4つ解説します。

 

4-1. 実際に現地に足を運ぶ

土地の詳しい情報は、物件情報や写真だけでは分かりません。購入後に生活する環境を知るためにも、実際に現地に足を運んで土地の見学をしましょう。

土地の見学時には、下記のポイントを確認することがおすすめです。

  • 土地の広さや、周辺の建物との距離はどの程度か
  • 土地に接続する道路は十分な幅があるか
  • 採光性や通気性に問題がないか
  • 生活利便施設が周辺にあるか
  • 最寄り駅から土地までの距離と、徒歩での移動時間はどの程度か
  • 子育てをする場合は教育施設が近くにあるか
  • など

また、気になる土地には数回に分けて見学することがおすすめです。平日の朝方に訪問した後に土日や夕方にも訪問すると、周辺環境をより詳しく確認できます。

 

4-2. 建物のプランを考えておく

土地選びを始めてから実際に購入するまでには、数か月~1年程度の期間がかかる場合もあります。土地を購入した後にすぐ家づくりへと進められるように、土地選びと並行して建物のプランを考えておきましょう。

建物のプランを考えておくと建てたい家がイメージできて、土地に求める条件がよりはっきりと認識できます。

また、土地購入と住宅建築のために住宅ローンを利用するには、家づくりにかかる予算を明確化しなければなりません。

土地選びの段階から建物のプランを考えておくと、家づくりの規模から予算を明確化できるため、すぐにローン申請を行うことが可能です。結果としてローン審査の通過から建築開始までがスムーズに進み、家づくりにかかる期間を短縮できます。

 

4-3. 値段の安さだけで土地を選ばない

土地を安く購入できると、家づくりにかかる費用総額を抑えられます。

しかし、値段の安さだけで土地を選ばないようにしましょう。周辺の土地相場よりも安い土地には何らかの理由があり、購入後の後悔につながる可能性があるためです。

土地費用が安い代表的な理由としては、「土地の形状が悪い」ことが挙げられます。形状が悪い土地は敷地面積が広くても有効活用できる部分が少なく、実際には割高というケースが少なくありません。

また、「私道負担がある土地」「古家付き土地」も土地の値段が安くなります。

私道負担とは、土地の一部に私道が含まれている状態のことです。私道部分の上には建物を建てられず、私道部分の土地面積は建蔽率・容積率の計算に使用できないなど、家づくりにおいて不利な土地条件となっています。

古家付き土地は、古い家屋が建っている土地のことです。新しい家を建てるためには古い家屋を撤去する必要があり、更地を購入する場合よりも費用がかさむケースがあります。

 

4-4. 希望の範囲を広げる

さまざまな希望条件を設定して土地を探していると、条件を満たす土地がなかなか見つからないことがあります。

もし理想の土地が見つからない場合は、土地の優先順位や希望条件を広げるとよいでしょう。「立地がよく、広さも十分にある土地」を求めていた場合は、「とりあえず立地が最優先で、広さは最低限あればよい」と変えると、候補の土地を見つけやすくなります。

希望の範囲を広げる場合は、相談先の不動産会社やハウスメーカーにも変更点をしっかりと伝えることが大切です。不動産会社やハウスメーカーは変化した優先順位や希望条件に合わせて、適した土地を提案してくれます。

 

まとめ

土地選びは優先順位を明確にしながら、予算や立地、土地の形状、周辺環境なども考慮して選びましょう。現地に実際に足を運び、暮らしたときの様子をイメージすることが大切です。

土地探しは、不動産会社やハウスメーカーに相談して進めることも可能です。時間と労力や労力はかかりますが、長い目で見て後悔のない選択をするための投資と考え、焦らずに取り組みましょう。


2024-10-24 17:50:32

住宅購入を検討する際、頭金の金額をどれくらい準備すべきかは、多くの人にとって大きな関心事です。頭金が多ければローン総額や月々の返済額が減る一方で、手元資金をどう活用するか悩むケースも少なくありません。

当記事では、3,000万円の家を購入する際に理想とされる頭金の目安や、頭金なしで住宅ローンを組む場合のメリット・デメリット、さらには注意点について詳しく解説します。資金計画を立てる上で、知っておくべき重要なポイントを押さえて、理想のマイホームを手に入れましょう。

 

1. 住宅ローンにおける頭金とは?

住宅ローンにおける頭金とは、住宅購入費用の一部を先払いするための自己資金です。頭金として支払った部分はローン総額から差し引かれます。

例えば、3,000万円の住宅購入時に頭金を500万円支払った場合、住宅ローン借入額は2,500万円となります。

頭金を支払えば、月々のローン返済額や支払利息を減らすことが可能です。また、全額を住宅ローンで借りるケースと比較すると、融資審査に通りやすくなるというメリットもあります。

 

1-1. 頭金の目安は住宅購入費の10~20%

住宅ローンの頭金は、住宅購入価格の10~20%が目安です。

「フラット35」の利用者調査結果によると、頭金の平均額および住宅購入費に対する割合は以下の通りです。

購入物件の種類頭金住宅購入費に対する割合
注文住宅699.0万円18.1%
注文住宅(土地付き)473.8万円9.7%
建売住宅294.5万円8.2%
マンション1,188.7万円22.7%
中古一戸建て219.7万円8.7%
中古マンション529.9万円17.4%

出典:住宅金融支援機構「2023年度 フラット35利用者調査」

頭金の住宅購入費用に対する割合は購入物件の種類によって異なるものの、概ね10~20%となっていることが分かります。

 

1-2. 頭金の目安|3000万の家を購入する場合

一般的な頭金の目安は住宅購入費の10~20%であるため、3,000万の家を購入する場合、頭金として自己資金を300~600万円ほど用意するのが理想です。

しかし、頭金は必ず支払わなければならないものではなく、金額に決まりはありません。頭金をどの程度用意するかは、各家庭の世帯年収やライフプランなどを考慮して、総合的な目線で検討することが重要です。

場合によっては、頭金を支払わずに3,000万円全額でフルローンとするケースもあります。

 

1-3. 頭金以外にも諸費用がかかることを忘れずに

住宅を購入する際は、頭金を含む純粋な住宅購入金額のほかにも各種諸費用が必要です。諸費用の内訳や金額は、購入住宅が新築・中古のどちらか、マンション・一戸建てのどちらかなどの条件によって異なります。

諸費用の主な内訳は以下の通りです。

  • 土地購入関連の費用(仲介手数料、登記費用など)
  • 住宅建築関連の費用(地盤補強費用、上下水道ガス引き込み費用など)
  • 住宅ローン関連の費用(保証料、火災保険料など)

目安として、諸費用金額は新築マンションや一戸建てであれば物件価格の3~6%程度、中古住宅や建売住宅の場合は6~9%程度となります。

例えば、3,000万の住宅購入時に頭金を20%・諸費用を6%用意すると仮定すると、頭金は600万円、諸経費は180万円必要です。つまり、約800万円の手元資金を準備しておかなければなりません。

 

1-4. 頭金の用意が難しい場合はフルローンの選択肢もある

住宅を購入する際は、頭金の支払いを加味して住宅ローンを組むのが一般的です。しかし、頭金の支払いは必須ではないため、頭金を0円として全額をローンにする「フルローン」という選択肢もあります。

フルローンを組むと、手元資金がなくても住宅を購入できるメリットがある一方で、ローン金額が大きくなり、月々の返済額が高くなるというデメリットがあります。初期費用は抑えられますが、支払総額は通常、頭金を支払う場合よりも多くなるため、慎重な検討が必要です。

例えば、頭金を貯めるために数年間賃貸に住む場合、その間の家賃負担がかさむことがあります。ケースによっては、フルローンで早期に住宅を購入し、家賃支払いを避ける方がトータルでお得になることもありますが、これは特定の条件下での例外です。通常は、フルローンによって総支払額が増える点に留意しましょう。

住宅ローンを借りる際は、ローンの返済期間やライフイベント(子供の教育費や定年退職など)を見据え、長期的な資金計画を立てることが重要です。

 

2. 頭金なしで家を早期に購入するメリットはある?

頭金0円でフルローンを組めば、手元資金を貯める必要がないため早期に住宅を購入することが可能です。頭金なしでの早期の住宅購入には、さまざまなメリットがあります。

ここでは、頭金0円で住宅を購入するメリットについて詳しく解説します。

 

2-1. 理想の物件が見つかったタイミングで購入に踏み切れる

マイホームとの出会いは一期一会であると言われており、家族の理想に合った住宅を見つけるのは容易ではありません。「立地は気に入っているものの土地が狭い」「通勤しやすいエリアで気に入る物件を見つけられない」など、住宅探しが難航するケースは少なくないでしょう。

また、頭金の貯金には数年単位の時間がかかります。希望に合う住宅が見つかっても貯蓄期間に買い手がついてしまえば、再度1から住宅探しを始めなければなりません。

頭金なしで住宅を購入する場合、理想の物件を見つけられたタイミングですぐに購入に踏み切ることが可能です。住宅の購入機会を逃す心配がなく、理想の物件を手に入れやすくなるでしょう。

 

2-2. 教育費や老後の貯蓄などの資金を手元に残せる

頭金なしで住宅を購入すると、初期の自己資金を最小限に抑えられます。これにより、教育費や老後資金の貯蓄に余裕を持てる可能性があります。

住宅購入時に支払う頭金は住宅価格の10~20%が相場であることから、基本的には数百万円単位のまとまった額の支払いが必要です。また、住宅購入費用や諸費用以外にも、家具・家電の購入費用や引越し費用などがかかります。

貯蓄額が十分でなければ、その後の生活や貯金が苦しくなってしまう可能性もあるでしょう。

頭金0円で手元資金を残せば将来の教育資金や老後資金に回せるため、マイホームでの生活にも余裕ができます。貯蓄額や収入、家族構成、ライフスタイルなどを考慮し、手元資金をどのように活用するかを検討しましょう。

 

2-3. 住宅ローン控除を効果的に活用できる

住宅ローン控除とは、年末時点の住宅ローン残高の0.7%を所得税から控除できる制度です。住宅ローン控除が適用されるのは最大13年間であり、控除分は申告によって現金で還付されます。

頭金なしの場合は住宅ローンの借入額が高額になるため、住宅ローン控除により還付される金額も大きくなります。控除には上限額が設定されているものの、条件によっては最高5,000万円までが控除対象です。

出典:国土交通省「住宅ローン減税」

また、所得税から控除しきれない分は翌年の住民税からも一部控除されます。

フルローンを組むと頭金がない分利息が高額になりますが、住宅ローン控除を加味すると、利息によるマイナスを上回る還付金が受け取れるケースもあります。つまり、トータルで考えると頭金を支払わないことで総出費を抑えられる場合もあるため、細かな条件を確認しながら控除を有効活用するのがおすすめです。

 

2-4. 定年退職前の完済を目指せる

頭金なしであれば貯蓄期間が必要なく、早期に住宅購入に踏み切れます。早くから住宅ローン返済を開始することで、定年退職前の完済を目指せます。

住宅ローンの多くは35年返済ですが、65歳までに完済するには、30歳前後での購入が理想です。

頭金が貯まるまで数年間待ってから住宅を購入すると、ローン完済が70歳を超えてしまう可能性もあります。定年退職後は収入が大きく減少するため、毎月数万円かかる住宅ローン返済が残っていることで経済的に苦しくなるケースもあるでしょう。

頭金なしで若いうちに住宅ローン契約に踏み切れば、老後の生活にも余裕を持てます。

 

3. 頭金なしで住宅ローンを組む場合に気をつけるべきポイント

頭金なしで住宅ローンを組むことにはさまざまなメリットがある一方で、いくつかの注意点もあります。フルローンを検討している人は、注意点についてもしっかりと把握しておきましょう。

ここでは、頭金なしで住宅ローンを組む際に気をつけるべきポイントについて詳しく解説します。

 

3-1. 住宅ローンの審査が厳しくなる可能性がある

住宅ローンを借りる際には、金融機関で融資審査を受けなければなりません。頭金なしでローンを組むと、頭金を支払う場合に比べて審査が厳しくなる可能性があります。

融資審査では、住宅ローン契約者の年収額や貯蓄・資産状況等を把握した上で、毎月滞りなく住宅ローンを返済できるかどうかをチェックします。具体的な審査ポイントは、契約者の収入・貯蓄額に対し住宅ローン金額が適切かどうか、毎月安定した収入を得て返済能力を維持できるかといった点です。

頭金なしでローンを組む場合、住宅ローンの借入金額・毎月の返済金額がともに高額になり、審査が厳しくなりやすいです。また「頭金として支払うまとまった自己資金がない」という点自体が懸念事項になる可能性もあるでしょう。

ローン審査の通りやすさという観点では、頭金を支払わないことが不利に働きやすくなります。

 

3-2. 毎月の返済額が高くなる

頭金なしで住宅ローンを組む場合は、物件価格がそのままローン借入額となるため、毎月の返済額と利息がともに高額になります。住宅ローン審査に通って無事にローンを借りられたとしても、数年後・数十年後のライフスタイルや収入の変化によっては、月々の返済が苦しくなる可能性もあるでしょう。

万が一、住宅ローンの返済ができなくなれば、マイホームを手放して売却しなければならないケースもあります。

頭金なしで住宅ローンを組むのであれば、家計に占めるローン返済額の割合が大きくなりすぎないかを十分に考えた上で検討することが必要です。

 

3-3. 物件売却後にローンが残る

住宅ローンは物件を担保に入れて借りるため、何らかの事情で住宅を売却する際には、売却で得た金額をローン返済に充てるのが一般的です。

頭金なしで住宅ローンを組む場合、ローンの借入額が大きくなります。そのため、いざ物件を売却してもローン残債をカバーできず、住宅を売却したにもかかわらずローンが残ってしまう「担保割れ」が起こる可能性もあります。

マイホームを売却する際は、基本的には住宅ローンを一括返済しなければなりません。資金難による売却で担保割れが起こる場合、物件を売るに売れないという事態に陥ってしまうケースもあるでしょう。

 

4. 頭金の金額別!毎月の返済額と返済総額

頭金の金額が変わると、同じ条件の住宅ローンでも毎月の返済額や完済までの返済総額が大きく異なります。頭金を支払うかどうか、支払う場合の金額を決める際は、月々の返済額と返済総額を計算して検討するのがおすすめです。

ここでは、以下の条件で住宅ローンを組んだときの頭金の有無や金額の違いによるメリット・デメリットなどを詳しく解説します。

  • 35年返済
  • 取得価格3,000万円
  • 金利1.7%
  • 元利均等返済方式

 

4-1. 頭金なしの場合

頭金なしで3,000万円のフルローンを組む場合の毎月の返済額と返済総額は、以下の通りです。

頭金0円
借入額3,000万円
毎月の返済額94,822円
返済総額3,928万5,335万円

出典:三井住友銀行「新規借り入れシミュレーション」

頭金なしで3,000万円のフルローンを組む場合、毎月の返済額は約95,000円です。ローン返済総額は約3,900万円であり、実際の物件価格よりも1,000万円ほど多く支払うことになります。

ただし、頭金なしであれば貯蓄期間を設ける必要がないため、借入金利が低いタイミングで住宅ローンを組めるというメリットもあります。

現在は史上最低金利と言われるほど金利が低いことから、頭金を貯めている数年の間に金利が上がってしまう可能性も否定できません。頭金の額や借入期間などの条件にもよりますが、「金利の上昇前に頭金なしでローンを組んでいれば総返済額を減らせた」という事態に陥るケースも十分に考えられます。

また、早期のマイホーム購入により、住宅ローンの完済が早くなるのもメリットの1つです。

 

4-2. 頭金が住宅購入費の10%の場合

頭金を住宅購入費用の10%にあたる300万円支払う場合の毎月の返済額と返済総額は、以下の通りです。

頭金300万円
借入額2,700万円
毎月の返済額85,340円
返済総額3,584万2,734円
頭金+返済総額3,884万2,734円

出典:三井住友銀行「新規借り入れシミュレーション」

3,000万円の物件に対して頭金300万円を用意すると、毎月の返済額は約85,000円となります。頭金なしのフルローンと比較すると、月々の負担を約1万円減らすことが可能です。

ローン返済総額は約3,600万円となっており、頭金なしの場合よりも300万円ほど安く抑えられます。頭金300万円と総返済額を足して考えても、総支払額を数十万円単位で減らすことが可能です。

毎月の返済額や総支払額を少しでも抑えたい人は、余裕資金があれば住宅購入資金の10%のみでも頭金を支払っておくのがおすすめです。

また、利用する住宅ローンの種類によっては、新築工事費用と土地価格の1割以上の頭金を支払うことで金利が低くなるケースもあります。頭金の金額を決める際は、利用する融資制度の詳細条件をよく確認しておくのも重要です。

 

4-3. 頭金が住宅購入費の20%の場合

頭金を住宅購入費用の20%にあたる600万円支払う場合の毎月の返済額と返済総額は、以下の通りです。

頭金600万円
借入額2,400万円
毎月の返済額75,858円
返済総額3,186万144円
頭金+返済総額3,786万144円

出典:三井住友銀行「新規借り入れシミュレーション」

3,000万円の物件に対して頭金600万円を用意すると、毎月の返済額は約76,000円となります。頭金なしの場合と比べると月々の負担が約2万円減っており、さらに、頭金300万円の場合と比較しても約1万円の差があります。

ローン返済総額は約3,200万円となっており、頭金なしよりも700万円ほど安く抑えることが可能です。頭金600万円と総返済額を足して考えても、総支払額を約140万円減らせます。

 

4-4. 頭金が住宅購入費の30%の場合

頭金を住宅購入費用の30%にあたる900万円支払う場合の毎月の返済額と返済総額は、以下の通りです。

頭金900万円
借入額2,100万円
毎月の返済額66,375円
返済総額2,787万7,500円
頭金+返済総額3,687万7,500円

出典:三井住友銀行「新規借り入れシミュレーション」

3,000万円の物件に対して頭金900万円を用意すると、毎月の返済額は約66,000円となります。頭金なしの場合と比べると月々の負担が約3万円減っており、家計における住宅ローン返済費用の割合をぐっと抑えることが可能です。

ローン返済総額は約2,800万円となり、頭金なしの場合と比べて1,100万円ほど抑えられます。頭金900万円と総返済額を足して考えても、総支払額を約240万円減らせます。

 

まとめ

住宅ローンを組む際の頭金の有無や金額は、返済額や総支払額に大きく影響を与えます。頭金を支払えば、月々の返済負担を軽減できるメリットがある一方で、まとまった自己資金を用意するために数年間の貯蓄期間が必要です。

また、頭金なしでの購入には利便性があるものの、毎月の返済額が高額になるリスクや、融資審査のハードルが高くなる可能性もあります。フルローンを選ぶ際には、長期的な返済計画をしっかり立てることが大切です。当記事で紹介した情報をもとに、自分や家族のライフスタイル・経済状況に合った住宅購入プランを検討してください。


2024-09-26 16:51:22

賃貸か購入か、どちらが自分にとって得なのか迷うことはないでしょうか。住まいの選択は、人生における大きな決断の1つです。それぞれにメリットとデメリットがあり、どちらが最適かはライフスタイルや価値観によって異なります。

当記事では、賃貸と購入それぞれの特徴やメリット・デメリットを比較し、どちらが自分に合った選択なのかを判断するためのポイントを解説します。これから賃貸か購入かを考える方に、少しでも参考になれば幸いです。

 

1. 賃貸のメリットとデメリット

賃貸とは、家賃を払って大家さんから物件を借りることです。初期費用として敷金や礼金、不動産仲介手数料などを用意し、貸主と借主の間で賃貸借契約を結びます。賃貸に住むメリットとデメリットは、以下の通りです。

 

1-1. 賃貸のメリット

賃貸住宅で暮らす主なメリットとしては、以下が挙げられます。

  • 住み替えや転居が容易にできる
  • 設備の修繕費がかからない
  • 年収に応じて住居費をコントロールしやすい
  • 固定資産税や都市計画税がかからない

賃貸では、ライフスタイルの変化に応じて気軽に住まいを変えられます。家族が増えたら部屋数の多い物件に住み替える、転勤先に引っ越す、など柔軟な対応ができます。年収の変化に応じて家賃の安い物件に引っ越せば、住居費が家計を圧迫する心配もありません。

また賃貸の場合、物件の所有者が大家であるため、住居の所有に関する費用はすべてオーナーが負担します。住宅設備に故障や劣化があっても、入居者が修繕費を支払う必要はありません。万が一、災害が起きた際も、住居にかかる費用負担は最小限で済むでしょう。持ち家に必要な固定資産税や都市計画税がいらない点も、賃貸に住み続けるメリットです。

 

1-2. 賃貸のデメリット

一方で、賃貸には以下のようなデメリットもあります。

  • 間取りや内装を自由に決められない
  • 家賃を支払い続ける必要がある
  • 高齢になった場合に賃貸契約や更新ができない場合がある
  • 資産として残らない

賃貸では、所有にかかる費用が発生しない代わりに、個人の資産にはなりません。資産であれば、物件を担保に融資を借りられますが、賃貸ではその選択肢がありません。

賃貸物件は、あらかじめ間取りや内装が決まっており、勝手に変えることは厳禁です。リフォームやリノベーションをする際はオーナーの許可が必須であり、場合によっては、退去時に原状回復費用を請求されます。また賃貸物件では、単身世帯向けの物件が多く、3~4LDK以上のファミリー向け物件は少ない傾向があります。

賃貸に住み続ける場合、生涯家賃を払い続ける必要があるのもデメリットです。一般的に、年金生活は現役時代よりも収入が少なくなるため、家計に占める住宅費の負担は大きくなります。定年退職後は、年々家賃の負担が重く感じてしまうおそれがあるでしょう。

さらに高齢者の賃貸契約では、オーナーが家賃滞納リスクを懸念するため、審査基準が厳しくなります。高齢になってから住み替える際は、希望する物件に入居できないかもしれません。住み続ける場合でも更新料がかかるため、保証人がいなければ契約更新を断られてしまう可能性もあります。

 

2. 購入のメリットとデメリット

分譲マンションや一戸建てを購入すると、「持ち家」として自分の所有物になります。住宅の価格は高額になるため、一般的には住宅ローンを組むケースが多いでしょう。ここからは、住宅を購入した場合のメリットとデメリットを解説します。

 

2-1. 購入のメリット

住宅購入のメリットは以下の通りです。

  • リフォームやリノベーションを自由にできる
  • 家や土地を自分の資産として残せる
  • 新築の場合は自由に設備や間取りを決められる
  • 住宅ローン完済後はコストを抑えられる

購入の場合、自分好みの内装にしたり設備を最新のものに変えたりなど、リフォームやリノベーションを自由にできます。一戸建て住宅では、家族構成に合わせて間取りを変えることも可能です。購入物件には注文住宅・建売住宅・マンションという3つの種類がありますが、注文住宅では間取りや設備を一から自分で決められます。

また、住宅を購入すると、建物や土地が資産になります。長く住み続けていると、劣化によって建物価値は下がりますが、土地の資産価値がなくなる心配はありません。将来は、家を子どもに譲る、売却して老人ホームなどの資金に充てるといった選択もできます。住宅ローン完済後は生活コストを抑えられるため、年金生活者になっても安心して暮らせるでしょう。

 

2-2. 購入のデメリット

住宅購入の主なデメリットは、以下の通りです。

  • 容易に住み替えや転居ができなくなる
  • 固定資産税や都市計画税がかかる
  • 維持管理費やメンテナンスコストがかかる
  • 長期にわたってローンを支払い続ける必要がある

家を売却する際は、手続きに諸費用や時間がかかるため、賃貸のように簡単に住み替えや転居はできません。住宅ローンを組んでいる場合は、売却にあたってローン残債も加味する必要があります。特に一戸建てでは、中古市場での需要が少なく、買主を見つけるのが難しいです。

また、住宅ローンを完済するまでの期間は、毎月の支払いが負担となる可能性があります。病気やリストラなどの理由で収入が減少してしまっても、ローン支払い額を大幅に減らすことはできません。

物件を購入すると自身が所有者となるため、住居の所有にかかる固定資産税や都市計画税も自分で負担します。維持やメンテナンスに関しても、自ら管理し、必要に応じて資金を用意しておくことが大切です。

マンション購入の場合は、建物の維持管理のために修繕積立金と管理費を支払います。長年住んでいると建物が老朽化し、大規模修繕が発生するケースも珍しくありません。修繕にかかる費用が金銭的負担となるリスクを懸念して、賃貸マンションを選択する方もいます。

 

3. 賃貸と購入どちらが得?

賃貸派と購入派では実際どちらが得なのか、気になる人も多いでしょう。しかし、賃貸費用や購入費用は条件によって大きく差が出るため、一概にどちらが得とは言えません。ただし、ほぼ同じ条件で物件を賃貸または購入した場合を比較すると、生涯住居費に大きな金額差はないとされています。

賃貸では、毎月の家賃に加え、仲介手数料・敷金・礼金・保証料などの諸費用、火災保険料、更新料もしくは引っ越し費用がかかります。持ち家(マンション)の場合は、物件価格のほかに、仲介手数料などの諸費用、修繕積立費、管理費、火災保険料、固定資産税が必要です。一般的に、同じ条件下では家賃よりも住宅ローン返済額のほうが低額ですが、購入では維持費や税金がかかります。なお、更新料の有無や修繕費用は、物件によって変わります。

賃貸と購入で迷った際、単純に金銭面だけで判断するのは困難です。将来的なライフプランや、賃貸と購入それぞれのメリット・デメリットなどをよく比較して、自分に合った住宅選びをするとよいでしょう。

 

4. 賃貸か購入か迷った際の選び方のポイント

賃貸と購入どちらが向いているかは、自身が求める暮らし方や価値観によって異なります。一般的に、賃貸に向いている方の特徴は以下の通りです。

  • 転勤や引っ越しが多い人
  • 結婚や出産などのライフイベントを控えている人
  • 収入が安定していない、もしくは収入面に不安がある人
  • 大きな借り入れをしたくない人
  • 家のメンテナンスに手間をかけたくない人

賃貸は間取りや内装の自由度が低いですが、仕事などで家にいる時間が少ない方にとっては、メンテナンスの手間や費用がかからず便利です。また、1つの土地に縛られない暮らしがしたい人は、賃貸が適しています。

一方で、以下の項目に当てはまる人は、購入が向いているとされています。

  • 転勤の可能性が低い人
  • 家族構成やライフプランが定まっている人
  • 退職までに住宅ローンを完済できる、安定した収入がある人
  • 老後の住居費用をおさえたい人
  • 拠点を決めて落ち着いた生活がしたい人

また、子どもが多い家庭の場合、部屋数が多くて広い賃貸物件は少ないため、購入を選ぶケースがほとんどです。そのほかにも、マイホーム購入に憧れがある人やDIYを楽しみたい人、設備や内装にこだわりたい人も、購入が適していると言えるでしょう。

なお、ライフステージの変化によっても、賃貸と購入どちらが自分に適しているかは変わります。子どもが増えたタイミングで賃貸アパートから分譲マンションに引っ越すなど、ライフイベントに合わせて選択するのも1つの方法です。

 

まとめ

自分に合っているのは賃貸か購入か判断するためには、自分のライフスタイルや将来的な計画をしっかりと考えることが大切です。転勤が多い人や収入が安定しない人には賃貸が向いていますが、安定した収入があり、長く同じ場所に住みたい人には購入が適しています。

また、家族のライフステージに合わせた柔軟な住まいの選択も重要なポイントです。自分の価値観やライフプランに最も合った選択をすれば、より快適な生活を送れるでしょう。


2024-09-26 16:45:41

地震対策には、耐震、免震、制震の3つの手法があります。それぞれの手法は、建物が地震に耐える方法が異なるため、選択する際にはその特徴を理解することが重要です。耐震は建物の強度を高める方法、免震は建物と地面を切り離すことで揺れを軽減する方法、制震は揺れを吸収する装置を用いて建物へのダメージを抑える方法です。

当記事では、それぞれの手法の特徴やメリット・デメリットについて詳しく解説します。新しく家を建てたいと思っている方は、地震への備えも万全にしておくことが大切です。

 

1. 耐震と免震・制震の違いは?

地震に強い建物構造には、耐震と免震・制震の3種類があります。どれも住まいを地震の揺れから守る対策を指しますが、それぞれ構造が異なるため、3者は明確に区別されています。ここでは、それぞれがどのような構造なのかを解説します。

 

1-1. 耐震とは?

耐震とは、建物の強度を高め、地震の揺れに耐えられるように設計された構造のことです。木造住宅であれば、柱や梁、耐力壁や筋交いなどによって建物を強化する方法を指します。

地震の多い日本では、新築物件における耐震基準が建築基準法で定められています。耐震基準は大地震を機に何度か見直されており、一般的には建築時期が遅い建物ほど耐震性が高く頑丈です。

なお、建築基準法で定められている耐震基準は、あくまで技術最低限度の基準値です。建築基準法を上回る耐震設計については、住宅性能表示制度に基づく耐震等級などで判断できます。住宅性能表示制度は、耐震性をはじめとする住宅の基本性能を、第三者機関が審査するしくみです。

耐震構造は、地震対策における最もポピュラーな構造であり、建物の形態を問わず採用されています。

出典:一般財団法人 日本建築防災協会「新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法」

 

1-2. 免震とは?

免震とは、地面と建物の間に免震装置を設けることによって、揺れが直接建物に伝わらないようにする構造です。免震装置には、建物を支える「アイソレータ」と、揺れを吸収する「ダンパー」が用いられます。

免震構造は、地震が発生しても建物自体の揺れが少ないのが特徴です。一般的な戸建て住宅で使われるケースもありますが、基本的には大規模な建物やタワーマンション、オフィスビルといった高層建物で多く採用されています。

 

1-3. 制震とは?

制震とは、建物の構造体に組み込まれた制震装置によって、地震エネルギーを吸収する工法です。免震は地面と建物を切り離す構造なのに対し、制震では地面の揺れが直接建物に伝わります。ただし制震ダンパーなどが振動を吸収するため、建物へのダメージを軽減できます。

制震工法は、免震に比べてコストや設置条件などの制限が少なく、一般住宅にも用いられています。建物への負荷を減らして耐震性能を保つ目的で、耐震と制震を組み合わせるケースも珍しくありません。

 

2. 耐震工法のメリット・デメリットは?

地震に強い家を建てる際に、最も一般的な対策として知られているのが耐震工法です。耐震性は建築基準法で定められているため、すべての新築住宅は最低限の耐震性を備えていると言えます。ここでは、家の耐震性を高めるメリット・デメリットを紹介します。

 

2-1. 耐震のメリット

耐震工法のメリットは、以下の通りです。

  • コストが安い
  • 工期が短い
  • 設計の自由度が高い
  • 強風にも強い

耐震工法は特殊な装置や工事を必要としないため、免震・制震に比べてコストがかかりません。また、免震・制震は施工できる業者が限られますが、耐震住宅は多くのハウスメーカーや工務店が採用しています。工期も短く、最も取り入れやすい工法と言えるでしょう。

耐震工法は、設計の自由度が高いのもメリットです。免震住宅では「地下室を設置できない」「一部の狭小住宅には採用できない」といった建築制限があります。耐震の場合は、耐力壁や柱の本数などで建物強度を保てれば、地下室をつくることも可能です。

さらに、建物自体を強化する耐震工法では、台風など強風による揺れも軽減できます。

 

2-2. 耐震のデメリット

耐震工法には、以下のようなデメリットもあります。

  • 地震の揺れを感じやすい
  • 建物内部の家具が転倒しやすい
  • 繰り返しの地震に弱い

耐震工法では、地面の揺れが直接建物に伝わります。そのため、大きな地震が起きると、建物内部もその分大きく揺れてしまうのがデメリットです。高層の建物では、上の階ほど激しい揺れを感じるでしょう。家具や家電が倒壊しやすく、ケガや火災などの二次災害にも注意が必要です。

また耐震工法の場合、地震が起きると建物にダメージがかかります。繰り返しの地震によって、躯体にヒビが入ることや、部分的に歪みが出る可能性も否めません。建物の損傷や劣化が進むと耐震性は落ちるため、必要に応じて点検やメンテナンスを行いましょう。

 

3. 免震工法のメリット・デメリットは?

免震工法は、建物を直接接地しない構造で、地震のエネルギーを逃がすしくみです。高層ビルなどでは、建物の中間部分に免震装置を設置する「中間層免震」が用いられることもあります。免震工法のメリット・デメリットは以下の通りです。

 

3-1. 免震のメリット

免震のメリットとしては、以下が挙げられます。

  • 地震の揺れを感じにくい
  • 家具などの転倒を防げる
  • 建物へのダメージが少ない

免震工法では、大きな地震が起きても建物内部の揺れは最小限で済みます。家具が倒れる、窓ガラスが割れる、といった被害や、家具の転倒にともなう火災リスクも少ないのがメリットです。免震工法は、官公庁や大病院など安全性が求められる施設でも採用されています。

また免震では、建物本体にかかる負担も大幅に軽減できます。ヒビや変形などが出にくいため、長期にわたって住み続けられるでしょう。

 

3-2. 免震のデメリット

免震のデメリットは、以下の通りです。

  • コストが高い
  • 設置ができないケースがある
  • 免震装置の定期的なメンテナンスが必要
  • 地震以外の災害に弱い

免震工法は地震の揺れを低減できる最先端の技術ですが、導入にはコストがかかります。数百万円の建築コストに加え工期もかかるため、一般的な住宅ではあまり採用されていないのが現状です。

免震装置を設置する場合、敷地周辺に十分なスペースがあること、地盤が強固であること、といった条件を満たさなければなりません。地下室は設置できないなど、間取りにも制限があります。免震装置の耐用年数は60年以上とされていますが、免震性能を保つには定期的な点検やメンテナンスが必要です。

なお、免震は主に横方向の揺れに効果を発揮する対策であり、縦揺れや強風による揺れ、津波による水害などに強いわけではありません。

 

4. 制震工法のメリット・デメリットは?

制震工法は、建物の揺れを制震ダンパーや重りで吸収し、地震によるダメージを抑える方法です。大きな地震が起きた際は、制震装置のみが壊れるしくみになっています。制震工法のメリット・デメリットは以下の通りです。

 

4-1. 制震のメリット

制震工法のメリットとしては、以下が挙げられます。

  • 建物へのダメージを軽減できる
  • 免震に比べてコストが安い
  • 上階の揺れを軽減できる
  • 強風にも強い

制震は、耐震工法のデメリットをカバーできる工法です。耐震工法だけでは、建物にダメージが蓄積してしまいますが、制震工法と組み合わせることで、建物にかかる負荷を軽減して耐震性能を長く維持できるでしょう。また、耐震工法では上階になるほど揺れが強くなりますが、制震装置を用いれば、上階の揺れを軽減できます。

制震装置の設置にかかる費用は、数十万~百万円程度です。ハウスメーカーによっては、制震構造が標準装備されている場合もあります。免震に比べると低コストなため、戸建て住宅にも多く採用されています。制震装置は、追加や後付けすることも可能です。

 

4-2. 制震のデメリット

制震工法には、以下のようなデメリットもあります。

  • 制震工法単体では倒壊に弱い
  • 設置場所によっては効果を発揮しない

建物の揺れを軽減できる制震住宅ですが、建物に強度がないと地震対策が十分とは言えません。建物躯体や地盤が弱い場合は、倒壊してしまうリスクもあります。制震工法は、耐震対策と組み合わせて採用するのが最適です。

また、制震工法は後付けが可能な一方で、制震材の位置次第では、効果を発揮しない可能性があります。建物の材質によっても相性が異なるため、追加や後付けを検討する場合は、プロの施工業者に相談しましょう。

 

まとめ

地震対策には、耐震、免震、制震の3つの方法があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。

耐震はコストが低く、設計の自由度が高い一方で、大きな揺れを直接感じることになります。免震は建物の揺れを大幅に軽減できますが、コストが高く設置条件が厳しいので採用できる家が限られます。制震は揺れを吸収し建物へのダメージを抑えられますが、耐震と組み合わせることでより効果を発揮します。各手法の特徴を理解し、自身の住宅に最適な地震対策を選びましょう。


2024-08-02 17:31:25

古民家リノベーションには、古民家ならではのレトロな雰囲気を感じられたり、趣を残しつつ快適な住み心地が得られたりする多くのメリットがあります。リノベーションには一般的なリフォームのほか、一部を残してリフォームする方法や完全に解体してリフォームする方法などいくつか種類があり、費用相場が異なるのが特徴です。

当記事では、古民家や古民家リノベーションの概要、古民家リノベーションの魅力、費用相場、費用を抑えるポイント、注意点などを紹介します。古民家リノベーションに興味がある方や、工務店への依頼を考えている方は必見です。

 

1.古民家リノベーションとは?

古民家に関する明確な定義はないものの、一般的には「築50年を経過した木造軸組構法の伝統工法または在来工法の住宅」が古民家と呼ばれます。また、一般社団法人全国古民家再生協会では「建築基準法が定められた1950年時点ですでに伝統工法により建てられていた住宅」を古民家としています。

古民家の建造時期は遅くとも戦前であり、大正時代以前に建てられた古民家も少なくありません。そのため老朽化が進んでおり、そのまま住むには不安な点が多々あります。古民家リノベーションは、古民家らしい趣を残しつつ快適な住まいづくりを実現するためのリノベーションです。

 

2.古民家リノベーションの魅力

快適な住まいを手に入れるだけであれば、まず新築住宅やリフォーム済みの中古住宅が選択肢に入るでしょう。しかし古民家には新築住宅や中古住宅では味わえないメリットがたくさんあり、古民家をリノベーションして住む人も少なくありません。

次に、古民家リノベーションのおもな魅力について解説します。

 

2-1.古民家ならではのレトロな雰囲気がある

年数がたった木材特有の落ち着いた色合いと質感は、古民家ならではの魅力の1つです。天然素材である木にはリラックス効果があり、伝統的な和風の内装は多くの人を懐かしい気持ちにさせてくれます。

古民家では柱や梁の大部分が露出しており、木材本来の質感や形がそのまま生かされていることが少なくありません。木材の質感や形をなるべく生かすことで、壁や家具などを新調した後も古民家らしいレトロさを演出しやすくなります。

 

2-2.普遍的なデザインで流行に左右されない

服と同じく住宅にもトレンドがあり、トレンドを取り入れることで生活空間がおしゃれになり生活の利便性も高まります。しかし、トレンドにこだわりすぎた住宅はいずれ流行遅れになるばかりか、ライフスタイルの変化などによって住みにくくなるリスクもゼロではありません。

そもそも古いものである古民家は、トレンドに左右されない魅力を持っています。年月がたっても飽きる心配がなく一層趣深くなる古民家は、長く住み続けたい人にもぴったりです。

 

2-3.歴史的価値がある古民家を保護できる

ひとくちに古民家と言っても、家の構造や建材は地域によってさまざまです。古民家の活用は、地元の伝統文化や生活の知恵を次世代へ伝えるためのよい機会となります。古民家をカフェや宿泊施設などとして活用し観光客へアピールすることで、さらなる地域活性化につながる可能性もあります。

また、古民家を残すことは貴重な資材を保護するためにも重要です。古民家の柱や梁には樹齢数百年の立派な木材が用いられることも珍しくなく、同じ木材を再び用意することは簡単ではありません。古民家の柱や梁を残すリノベーションは、古材のリサイクルや解体時の廃棄物削減にも役立ちます。

 

2-4.趣を残しつつ快適な住み心地が得られる

古民家には「冬は寒くなりやすい」「耐震性や気密性が低い」などのデメリットがあるものの、ほとんどはリノベーションによってカバーできます。古民家らしい趣を残しつつデメリットをなくすことで、長く住み続けられる家づくりを実現できます。

古民家をリノベーションする場合、特に劣化が早く冷え込みやすいトイレ、キッチン、浴室などを重点的に改修することが少なくありません。高齢者や小さい子どもなどがいる場合は、段差をスロープにしたり階段に手すりをつけたりするバリアフリー工事もおすすめです。

 

2-5.自然と共生する暮らしができる

古民家に用いられる木材や土壁には吸湿性があり、室内の温度や湿度を快適に保つ作用があります。また、障子やふすまを開け放って家中に風を通せるのも古民家のメリットです。エアコンなどを使って室内を快適に保つこともできますが、古民家特有の構造と天然素材の力によってより快適かつエコな生活を実現できます。

多くの古民家は自然豊かな郊外にあり、日常生活の中で四季を感じられます。広い庭がある古民家も多く、家庭菜園やガーデニングなどにもぴったりです。

 

2-6.固定資産税を抑えられる

不動産を取得すると、固定資産税の納税義務が発生します。建物の固定資産税は建物自体の評価額によって決まるため、基本的に築年数が古い建物ほど安くなります。固定資産税額は原則として固定資産税評価額×標準税率1.4%で、古い木造住宅は経年減価補正によって最大80%減額されます。

出典:総務省「地方税制度|固定資産税」

出典:法務局「経年減価補正率表」

さらに多くの古民家が比較的地価の安い土地にあることも、固定資産税を抑えやすい理由の1つです。

 

3.古民家リノベーションの種類

古民家リノベーションにはいくつかの方法があり、建物の状態や使用目的によって適切な方法が異なります。最低限の工期とコストで快適な暮らしを実現し、かつ長く住み続けるための第一歩として、古民家リノベーションの種類について知っておくと安心です。

ここからは、古民家リノベーションの種類を4つ紹介します。

 

3-1.一般的なリフォーム

古民家以外の住宅にもよく実施されるリフォーム工事では、水回りの設備や床、外壁など一部の設備のみを新しくします。独特の趣を残すため、リフォーム後のデザインを古民家らしくするとよいでしょう。

ただし、このリフォーム方法は劣化やゆがみの激しい古民家には不向きです。建物の老朽化が激しい場合は、安全性向上のために他のリフォーム方法を検討しましょう。

 

3-2.半解体再生リフォーム

半解体再生リフォームは、古民家の屋根・壁・床を取り外して構造体を修正または補強してから再度組み立てる方法です。一旦骨組みのみの状態にするため、スケルトン解体再生リフォームとも呼ばれます。古民家の原型を生かしつつ建物のゆがみや床の沈みなどを修正でき、古民家リフォームにおいて多く採用されています。丈夫なコンクリート基礎を作って建物全体の強度を高めることも可能です。

 

3-3.全解体再生リフォーム

全解体再生リフォームは、古民家を完全に解体して構造体やその他の部材をクリーニングしてから再度組み立てる方法です。全解体再生リフォームが必要な古民家では多くの場合構造体が劣化しており、古い構造体を新しい構造体で補修・補強してから組み立てます。多くの部材をリサイクルしつつ新しい部材を用いることで、古民家らしさを残しつつ耐震性や気密性を高めることが可能です。

 

3-4.移築再生リフォーム

移築再生リフォームは、古民家の場所を移動してからリフォームする方法です。もとの古民家の部材をほぼすべて再利用する場合は完全移築リフォーム、古民家の部材の一部と新しい部材を使う場合は部分移築リフォームと呼ばれます。また、強度が高い構造体のみを再利用する構造体移築リフォームも部分移築リフォームの一種です。

他府県への移築も可能な移築再生リフォームでは、「思い入れのある実家で暮らしたいが、仕事があり都会から離れられない」といったニーズにも応えられます。

 

4.古民家リノベーションの費用相場

古民家リノベーションの費用相場は、工事内容によって大きく異なります。リノベーション方法ごとの大まかな費用相場は、次の通りです。

リノベーションの方法 費用相場
一般的なリフォーム 約100万~2,000万円
半解体再生リフォーム 約1,000万~2,000万円
全解体再生リフォーム 約2,000万~3,000万円
移築再生リフォーム 約3,000万~4,000万円

一般的なリフォームの工事内容は古民家以外の住宅のリフォームと大差なく、他のリフォーム方法と比べて工事を要する部分が少ないため、数百万円から始められます。半解体再生リフォームの場合、古民家のどの部分がどれだけ劣化しているかによって工事内容や費用が大きく変わります。

全解体再生リフォームは一般的なリフォームや半解体再生リフォームと比べて工期が長く、費用も高めです。全解体再生リフォームと同じ工事に加えて部材の長距離運搬を要する移築再生リフォームは、全解体再生リフォームよりもさらに工期とコストがかかります。

 

5.古民家リノベーションの費用を抑えるには?

古民家リノベーションには高い費用がかかりますが、工夫次第で費用を抑えられます。工事の進め方や依頼先を厳選し、補助金制度や減税制度をうまく活用しながら、効率よくリノベーションプランを立てましょう。

 

5-1.使える部分は残してリノベーションする

古民家の多くは老朽化が進んでいるものの、すべての構造体や設備が使えないわけではありません。使える部分はできるだけ残して古くなった部分や使いにくい部分だけをリノベーションすることで、余分な出費を抑えやすくなります。

工務店によっては、設備や建材を依頼主自身が用意する「施主支給」も可能です。もともと住んでいた家の設備や安く譲り受けた設備を転用したり、安い設備を自分で探して購入したりしてもコスト削減に役立ちます。

 

5-2.補助金を活用してリノベーションする

古民家リノベーションに活用できる補助金は、耐震・省エネ・バリアフリーに大別されます。それぞれの補助金について、国や自治体の事例とともに解説します。

古民家は耐震基準が強化された1981年以前に建てられており、耐震性が十分ではない場合がほとんどです。安心して暮らし続けるためにも、住宅の耐震診断や耐震補強工事の補助金制度を活用しましょう。

【耐震補強に関する補助金】

・長期優良住宅化リフォーム推進事業

住宅性能向上などを目的として改修工事を行い、かつ工事後の住宅性能が一定の基準を満たすと、最大80万円の補助金が支給されます。購入した住宅をリフォームする場合などは最大50万円が加算されます。

出典:国立研究開発法人 建築研究所「長期優良住宅化リフォーム推進事業」

・ひょうご住まいの耐震化促進事業

兵庫県では、住宅の耐震性向上を目的とした建て替え工事や改修工事に対して、補助金を支給しています。補助金額や補助内容の詳細は自治体によって異なりますが、簡易耐震診断の結果に沿って工事内容を決定し、工事契約前に自治体窓口へ申請することが受給の条件です。

出典:兵庫県「ひょうご住まいの耐震化促進事業」

・旧耐震の耐震診断費用の助成

足立区では、1981年5月以前に建てられた木造住宅に対し、耐震診断費用と耐震改修工事費を補助しています。木造戸建住宅の耐震診断費用補助額は最大30万円、耐震改修工事費の補助金額は工事費用の9割または150万円のいずれか少ない額です。

出典:足立区「旧耐震の耐震診断費用の助成」

気密性の低い古民家で夏は涼しく冬は温かい空間づくりを叶えるためには、断熱対策が欠かせません。リフォームによって住宅の断熱性を高めることで電気代を抑えやすくなり、省エネや省CO2化にも役立ちます。

【省エネに関する補助金】

・既存住宅における断熱リフォーム支援事業

既存住宅に対し、高性能建材を用いた断熱改修工事を支援します。戸建住宅は120万円/戸を上限に補助対象経費の1/3の金額が支給され、工事内容によってはさらに加算されます。

出典:公益財団法人北海道環境財団「【全国対象】既存住宅の断熱リフォーム支援事業」

・子育てエコホーム支援事業

エコホーム支援事業者との契約によって行われる開口部や外壁などの断熱改修工事が補助対象となります。最大合計補助額は20万円で、一定の条件を満たすと最大60万円まで引き上げられます。

出典:国土交通省「子育てエコホーム支援事業」

・戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業

ZEH住宅とは、太陽光発電や省エネ設備などの活用によってエネルギーの生産量が消費量を上回る住宅です。戸建住宅の断熱リフォームを行う場合、工事費の1/3を補助します(上限120万円/戸)。また、蓄電池などを設置すると補助が加算されます。

出典:環境省「戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業」

高齢者の事故の多くは家の中で発生すると知られており、小さな段差や滑りやすい床などが事故につながることも少なくありません。高齢の家族と同居する場合は、補助金を活用してバリアフリー化もしておくと安心です。

【バリアフリーに関する補助金】

・介護保険による住宅改修費支給

要介護者などがいる家のバリアフリー改修工事に対し、工事費が補助されます。補助金額は、支給限度基準額の9割となる18万円が上限です。制度を利用したい場合は、担当のケアマネジャーなどに相談しましょう。

出典:厚生労働省「介護保険における住宅改修」

・高齢者住宅改修費給付事業

大阪市の高齢者住宅改修費給付事業は、日常生活の利便性向上を目的として介護保険による住宅改修と同時に行われ、かつ介護保険による住宅改修費用の給付対象外となる工事が補助対象です。市民税課税世帯に対しては工事費用のうち最大5万円、市民税非課税世帯などに対しては最大30万円が補助されます。ただし、高齢者本人が市民税納税者の場合は対象外です。

出典:大阪市「高齢者住宅改修費給付事業」

・介護予防高齢者住環境改善支援事業

さいたま市では、要介護・要支援認定を受けていない高齢者のいる世帯で、転倒事故防止などのための住宅改修工事費用を補助しています。介護保険料第2段階までの場合は対象経費と同額または15万円、第3段階以上の場合は対象経費の2/3または10万円のいずれか少ない額が補助されます。

出典:さいたま市「介護予防高齢者住環境改善支援事業について」

 

5-3.減税制度を利用してリノベーションする

耐震、バリアフリー、省エネ、同居対応、長期優良住宅化などを目的としてリフォームを行うと、減税制度を利用できます。所得税の減税制度は次の3種類に大別され、利用するローンや工事の種類によって利用できる制度および控除額が変わります。

・リフォーム減税(投資型減税)

ローンを利用しない、または償還期間5年未満のローンを使用する場合に利用できます。控除期間は1年です。

・リフォーム減税(ローン型減税)

償還期間5年以上のローンを使用する場合に利用できます。控除期間は5年です。

・住宅ローン減税

償還期間10年以上のローンを使用する場合に利用できます。控除期間は10年です。

出典:住宅リフォーム推進協議会「リフォームの 減税制度」

「耐震工事とバリアフリー工事」などのように複数の対象工事を行った場合、それぞれの工事に対応する減税制度を併用できる場合があります。また、所得税の控除制度と固定資産税の減額制度の併用も可能です。親や祖父母などから贈与された古民家に住む場合は、贈与税の非課税措置も忘れずにチェックしましょう。

 

5-4.優先順位を決める

予算にあまり余裕がない場合、無理に家全体を改修する必要はありません。リノベーションのコストを抑えたい場合は、はじめに優先順位を決めるのがポイントです。保存状態のよい部屋などは、内装を新調するだけで使いやすくなることも少なくありません。

また、長期間かけて徐々にリノベーションすることも1つの方法です。まずは老朽化しやすい水まわりやよく使う部屋などに絞って改修し、ライフスタイルの変化に合わせて段階的に改修することも検討しましょう。

 

5-5.地元のリフォーム店に依頼する

大手工務店ほど宣伝広告費や人件費をかけていない地元工務店にリノベーションを依頼すれば、コスト削減に役立ちます。土地の特性や気候に合うプランを提示してもらいやすいほか、地元の建材を使って輸送費を抑えられるのも大きなメリットです。

また、自社施工店が多いのも地元工務店の特徴です。自社施工店に依頼すれば下請け業者への支払いが発生せず、さらに打ち合わせや連絡もスムーズにできるため、より工事の満足度を高めやすくなります。古民家が多い地域であれば、古民家リフォームの施工実績が多い工務店を探しやすいでしょう。

 

6.古民家リノベーションで注意するポイント

古民家をリノベーションする際に耐震補強や断熱工事を検討すべき場合は多々ありますが、その他にもいくつかの注意点があります。古民家のリノベーションにあたってチェックしたいポイントは、次の通りです。

・見えない部分の劣化に注意する

古民家には、軽い内見だけでは気づきにくいシロアリ被害や屋根裏の雨漏りなどのトラブルもありえます。入居後に新たなトラブルが見つかるのを防ぐため、事前にプロへ依頼してよく確認するのが大切です。

・長く住み続けたい場合は、バリアフリー工事も検討する

高齢の同居家族がいない場合も、バリアフリー工事がいらないとは限りません。古民家には段差の大きい階段や上がりかまちなどが多く、バリアフリー工事を検討しておくことで自分や家族の老後の不安軽減に役立ちます。

・一般的なリフォームよりも工期がかかる

古民家に多く用いられる太い建材や製材されていない建材の取り扱いには、高い技術が必要です。さらに建築当時の情報が残っていなかったり大規模な改修を要したりするケースが多いため、古民家のリフォーム工期は長くなる傾向があります。

・リノベーションしやすい古民家を探す

工事費用や手間を減らすには、劣化具合や耐震性の入念なチェックが欠かせません。また家の外観や間取りが好みに合うかも、長く暮らし続けるために重要なポイントです。できるだけ好みに合う古民家を探すことでそのまま活用できる部分が増え、リノベーションのコスト削減に役立ちます。

 

まとめ

古民家リノベーションは、古民家の持つ独自の魅力を最大限に引き出しつつ、現代の生活に合わせた快適な住空間を得られるリノベーションです。古民家リノベーションには、一般的なリフォームや半解体再生リフォーム、全解体再生リフォーム、移築再生リフォームなどの種類があります。

狭山不動産では、埼玉県(狭山市・入間川・所沢・川越市・飯能市・日高市)に密着した住宅のリフォームを承っています。埼玉県内で古民家リノベーションをご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。


2024-08-02 17:04:00

マンションなどの不動産を購入すると発生する税金が「固定資産税」です。固定資産税は家屋や土地の価格に左右されるため、3,000万円のマンションを買ったらいくらになるのか気になる方は多いでしょう。

当記事では、3,000万円の新築マンション・中古マンションを購入した場合の固定資産税の計算方法や金額例、固定資産税の支払い負担を軽減する方法を説明します。3,000万円のマンション購入を考えている方は、固定資産税について理解を深めておきましょう。

 

1.固定資産税とは?

固定資産税とは、固定資産を所有している場合にかかる税金です。固定資産は大きく分けて土地・家屋・償却資産の3種類があり、下記のような固定資産を所有していると固定資産税の納税義務が発生します。

土地 住宅地・田んぼ・畑・山林・池沼・牧場・原野など
家屋 住宅・事務所・店舗・工場など
償却資産 法人が所有する構築物・飛行機・船・車両・備品など

出典:総務省「固定資産税」

固定資産税は使い道が定められていない税であり、徴収した市町村によって使い道が異なります。道路・学校といった公共施設の整備や、福祉サービスの拡充などが一般的な使い道です。

 

1-1.いつ誰がどこに支払う?

固定資産税の納税義務者は、毎年1月1日時点で課税対象の固定資産を保有している個人または法人です。固定資産税は市町村などの地方自治体によって課税される地方税であり、固定資産が所在している市町村に対して納税します。ただし、東京都23区内における固定資産税については、東京都に対する都税として納税します。

固定資産税の納税通知書が届く時期は4月~5月頃です。納税方法は、全額を一度に支払う「全額一括納付」と、支払いを4回に分ける「分割納付」の2通りを選ぶことができます。

また、固定資産税の納付方法は下記のような種類があります。

  • 市町村や銀行の窓口
  • 口座振替
  • コンビニ納付
  • クレジットカード
  • アプリ決済
  • Pay-easy
  • eLTAX

納税期日は納付先の自治体によって異なり、分割納付の場合は一般的に4月・7月・12月・翌年2月です。

 

2.【新築マンション】固定資産税の計算方法

固定資産税の計算を行う際は、下記の計算式を使用します。

固定資産税の計算式
固定資産税=課税標準額×税率

固定資産税の計算では、まずは固定資産の課税標準額を求めます。課税標準額とは、固定資産評価基準に基づいて算出される固定資産税評価額のことです。土地・家屋の場合は、3年ごとに適正価格への評価替えが定められています。

次に、求めた課税標準額に税率を乗じて、固定資産税を算出します。一般的に用いられる税率は1.4%の標準税率です。ただし、自治体によっては1.5%や1.6%の税率を課すケースもあります。マンションの固定資産税は土地・家屋のそれぞれで固定資産税を計算し、合計することで算出します。

出典:総務省「固定資産税」

 

2-1.土地:軽減措置を適用した固定資産税の計算式

土地の固定資産税評価額は、宅地・農地といった地目別での売買実例価額などをもとに算定します。宅地の場合は「地価公示価格の70%」が目安です。また、マンションの場合は土地部分を他の区分所有者と共有しているため、土地の固定資産税評価額は他の区分所有者との持分割合で按分する必要があります。

さらに、土地の固定資産税評価額に対しては住宅用地の特例が適用されます。住宅用地の特例とは、住宅用地のうち1戸あたり200平方メートル以下の部分は固定資産税評価額が6分の1に、200平方メートルを超えた部分は3分の1に減額される制度です。マンションは戸数が多いため特例を受けられる面積も広くなり、基本的に6分の1の減額措置を受けられます。

土地について、軽減措置を適用した固定資産税の計算式は下記の通りです。

新築マンションの土地における固定資産税の計算式
土地の固定資産税=持分割合で按分した土地の固定資産税評価額×税率×1/6

出典:総務省「固定資産税」

 

2-2.家屋:軽減措置を適用した固定資産税の計算式

新築マンションにおける家屋の固定資産税評価額は、一般的に建築費用の5~7割になることが多い傾向です。また、新築マンションでは新築住宅にかかる固定資産税の軽減措置を利用できます。通常の新築マンションは5年間、長期優良住宅のマンションは7年間の期間において、固定資産税が2分の1になります。

家屋については、軽減措置を適用した固定資産税の計算式は下記の通りです。

新築マンションの家屋における固定資産税の計算式
家屋の固定資産税=家屋の固定資産税評価額×税率×1/2

なお、軽減措置適用期間が終了した後は2分の1の軽減措置がなくなります。

出典:総務省「固定資産税」

 

3.3000万の新築マンションの固定資産税シミュレーション

3,000万円の新築マンションを購入した場合について、条件を下記の通りに想定して、固定資産税の計算シミュレーションを紹介します。

<新築マンションの条件>

購入価格 3,000万円
専有面積 100平方メートル
土地の固定資産税評価額 750万円
家屋の固定資産税評価額 1,600万円
固定資産税の税率 1.4%

まず土地・家屋の固定資産税は下記のように計算します。

土地の固定資産税の計算
土地の固定資産税=750万円×1.4%×1/6=1万7,500円
家屋の固定資産税の計算
家屋の固定資産税=1,600万円×1.4%×1/2=11万2,000円

最後に、土地と家屋の固定資産税を合計して、固定資産税の総額を算出します。

固定資産税の総額の計算
固定資産税の総額=1万7,500円+11万2,000円=12万9,500円

紹介した条件の場合、軽減措置の適用期間中は1年あたり12万9,500円の固定資産税がかかります。

 

4.【中古マンション】固定資産税の計算方法

中古マンションの固定資産税を計算する際、土地の固定資産税の計算方法は、中古マンションであっても新築マンションの場合と変わりません。土地は経年劣化がなく、経年による土地評価の影響はないと見なされるためです。また、土地の持分が200平方メートル以下であれば、軽減措置を受けられます。

中古マンションの土地における固定資産税の計算式
土地の固定資産税=持分割合で按分した土地の固定資産税評価額×税率×1/6

一方で、家屋の固定資産税では新築マンションの場合とは異なる下記の計算式を使用します。

中古マンションの家屋における固定資産税の計算式
家屋の固定資産税=再建築価格評点×経年減点補正率×床面積×評点1点当たりの価額

再建築価格とは、対象家屋と同じ建物を新築した場合に要する建築費のことです。経年減点補正率は、家屋新築後の経過年数に応じた損耗を減価で表しています。再建築価格に経年減点補正率を乗じた金額を家屋の固定資産税評価額として、さらに税率を乗じることで家屋の固定資産税を算出する仕組みです。

ただし、再建築価格は物価変動などによって変わり、経年減点補正率の数値も年数によって変動するため、中古マンションの固定資産税の計算は簡単ではありません。

出典:総務省「固定資産評価のしくみについて(家屋評価)」

 

5.3000万の中古マンションの固定資産税シミュレーション

3,000万円の中古マンションを買った場合の固定資産税を、下記の条件において築10年・築20年・築30年に分けてシミュレーションします。経年減点補正率は法務省のホームページで発表されている数字を使用します。また、100円未満は切り捨てです。

<中古マンションの条件>

購入価格 3,000万円
建物構造 RC造
専有面積 100平方メートル
土地の固定資産税評価額 750万円
新築時の家屋の固定資産税評価額 1,600万円
固定資産税の税率 1.4%

<築10年の場合>

土地の固定資産税の計算
土地の固定資産税=750万円×1.4%×1/6=1万7,500円
家屋の固定資産税の計算
家屋の固定資産税=1,600万円×0.7397×1.4%=16万5,692円
固定資産税の総額の計算
固定資産税の総額=1万7,500円+16万5,692円=18万3,100円

マンションは築5年(長期優良住宅の場合は築7年)を超えると、家屋の固定資産税の計算で軽減措置を利用できなくなります。

<築20年の場合>

土地の固定資産税の計算
土地の固定資産税=750万円×1.4%×1/6=1万7,500円
家屋の固定資産税の計算
家屋の固定資産税=1,600万円×0.5054×1.4%=11万3,209円
固定資産税の総額の計算
固定資産税の総額=1万7,500円+11万3,209円=13万700円

<築30年の場合>

土地の固定資産税の計算
土地の固定資産税=750万円×1.4%×1/6=1万7,500円
家屋の固定資産税の計算
家屋の固定資産税=1,600万円×0.3059×1.4%=6万8,521円
固定資産税の総額の計算
固定資産税の総額=1万7,500円+6万8,521円=8万6,000円

家屋の固定資産税評価額に関する経年減点補正率は、一定の年数までは築年数が経過するほど小さくなります。そのため、固定資産税の総額も築年数を重ねたマンションのほうが安くなるでしょう。

 

6.マンションにかかる固定資産税の負担を軽減する方法

新築・中古を問わず、マンションの固定資産税は数万~数十万の税負担がかかることにより、負担軽減のための対策が講じられています。ここからは、マンションにかかる固定資産税の負担を軽減する、3つの方法を紹介します。

 

6-1.手間や手数料のかからない納税方法がある

固定資産税の負担を少しでも軽減するためには、下記のような納税方法を選択するとよいでしょう。

・自動で引き落としがされる口座振替

口座振替は、一度手続きをすれば以降は自動で引き落としが行われます。固定資産税の納税にかかる手間が少なくなり、納税忘れも防げる方法です。

・固定資産税の納付でポイントが貯まるクレジットカード

クレジットカード納付は窓口などに出向く手間がかからず、カードによってはポイントも貯まる方法です。ただし、手数料として地方税お支払サイトのシステム利用料がかかる点には注意してください。

・ポイントが貯まり手数料もかからないアプリ決済

アプリ決済はスマートフォンから納税ができて、使用するスマートフォン決済アプリに応じたポイントが貯まる方法です。バーコード読み取り方式の場合は決済手数料もかかりません。

納税方法を工夫することで、納税のために窓口に出向いたり、手数料がかかったりするなどの負担を軽減できます。

 

6-2.リフォーム工事を行った場合に軽減措置がある

下記に挙げるリフォーム工事を行った場合、固定資産税の3分の1が減額される可能性があります。

<バリアフリー改修工事>

個人が築10年以上を経過した住宅で一定のバリアフリー改修工事を行った場合に、固定資産税の軽減措置を受けられます。

固定資産税の減額率 翌年度分の固定資産税から3分の1が減額
対象の工事
  • 通路や出入口の幅の拡張
  • 階段の勾配の緩和
  • 浴室の改良
  • トイレの改良
  • 部屋や廊下などへの手すり設置
  • 床の段差解消
  • 出入口の戸の改良
  • 滑りにくい素材の床への取り替え

出典:国土交通省「バリアフリー改修に係る固定資産税の減額措置」

なお、適用を受けるためにはバリアフリーを必要とする人の居住など、さまざまな要件を満たす必要があります。

<省エネ改修工事>

2014年4月1日以前に建築された住宅で一定の省エネ改修工事を行った場合に、固定資産税の軽減措置を受けられます。

固定資産税の減額率 翌年度分の固定資産税から3分の1が減額(120平方メートルの床面積相当分まで)
対象の工事
  • 窓、床、壁、天井などの断熱改修
  • 高効率空調機の設備設置
  • 高効率給湯機の設備設置
  • 太陽熱利用システムの設備設置
  • 太陽光発電システムの設置

出典:国土交通省「省エネ改修に係る固定資産税の減額措置」

省エネ改修工事の適用を受ける場合も、さまざまな要件を満たさなければならない点に注意しましょう。

 

6-3.大規模修繕工事を行った場合に軽減措置がある

マンションの大規模改修工事を行った場合は、6分の1から2分の1の固定資産税の軽減措置を受けられます。

固定資産税の減額率 翌年度分における家屋の固定資産税が6分の1から2分の1の範囲内で減額
対象となるマンションの要件
  • 築20年以上である
  • 総戸数が10戸以上である
  • 過去に長寿命化工事を行っている
  • 長寿命化工事に必要となる積立金を確保している
  • など

工事の要件
  • 外壁塗装等工事、床防水工事、屋根防水工事などの長寿命化工事を実施している
  • 2023年4月1日~2025年3月31日の間に工事が完了する

出典:国土交通省「管理計画認定マンションの場合」

なお、実際の減額率は該当住宅の所在する市町村が6分の1から2分の1の範囲内で決定します。

 

7.【新築・中古】3000万のマンションの固定資産税を知るには?

3,000万円のマンションでかかる固定資産税は、下記の方法で確認できます。

・新築マンションの場合

新築マンションは建物完成前に購入申し込みを行うことがほとんどであり、マンション購入前に明確な固定資産税評価額を算出できません。購入予定のマンションにモデルルームがある場合は訪問して、担当者に固定資産税がいくらかかるかを尋ねるとよいでしょう。類似する条件のマンションなどから、固定資産税の目安を教えてもらえます。

・中古マンションの場合

中古マンションでは固定資産税評価額がすでに算出されています。不動産会社の担当者に尋ねれば、明確な固定資産税を教えてもらうことが可能です。

新築と中古のどちらにしても、不動産会社の担当者に確認すれば、固定資産税の目安が知れるでしょう。

 

8.マンションの固定資産税に関する注意点

固定資産税は計算式に当てはめて算出することはできるものの、実際の支払い時にはシミュレーション通りにはいかないことがあります。最後に、マンションの固定資産税に関する3つの注意点を解説します。

 

8-1.軽減措置の終了後は固定資産税が上がる可能性がある

新築マンションでは家屋の固定資産額を2分の1にする軽減措置が適用されるため、購入当初は固定資産税の総額を安く抑えられます。しかし、軽減措置の終了後は2分の1の減額がなくなり、固定資産税が上がる可能性があります。軽減措置が適用される期間は通常のマンションは5年間、長期優良住宅のマンションでは7年間です。

そのため、新築マンション購入の際は、軽減措置が適用されている期間中の固定資産税納税額だけでなく、適用終了後の納税額についてもシミュレーションすることをおすすめします。もともとの納税額を理解していれば軽減措置終了を見据えた資金計画ができ、固定資産税が上がったときにも滞りなく支払いを行えるでしょう。

 

8-2.年度途中で中古を買う場合は日割り計算になることがある

固定資産税は、1月1日時点で固定資産の所有権がある方に課税されます。新築マンションを年度途中に購入する場合であれば、基本的に固定資産税は翌年から支払うことになるでしょう。しかし、中古マンションの場合は固定資産税の支払いが翌年からになるとは限りません。中古マンションを年度途中で買うと、今年分の固定資産税が日割り計算になる場合があるためです。

たとえば、中古マンション購入の時期が4月末の場合、固定資産税12か月分のうち4か月分を売主が負担し、残りの8か月分は買主が負担することになります。実際には売主・買主が別々に納税するわけではなく、買主が負担する分の固定資産税額を売主に渡して、売主が納税者として固定資産税を納付します。

固定資産税の日割り計算は不動産取引上の慣例となっており、発生するケースは多いと言えます。また、固定資産税として売主に渡すお金は、中古マンションの価格の一部という扱いになり、売主が不動産会社の場合は課税対象になる点にも注意が必要です。

 

8-3.固定資産税を滞納すると最悪の場合は競売にかけられる

固定資産税を滞納すると延滞税などが発生し、最悪の場合は物件が競売にかけられるケースもある点に注意してください。固定資産税を滞納したときは、納付期限から20日以内に自治体の督促状が届きます。督促状は未納を確認し、附属の納付書による納付を促す書類です。督促状が届いた後も滞納している方には、催告書を送付するケースもあります。固定資産税の滞納をしていると延滞税が発生するため、本来の納付額よりも高額な納付が必要です。

また、督促状が届いてから10日以内に固定資産税の納付をしない場合、自治体は未納付者の財産を差し押さえることが可能です。差し押さえられる財産は預貯金と給与であり、差し押さえた財産をもって固定資産税の納付額に充当します。差し押さえた預貯金と給与だけでは固定資産税の支払いができない場合には、土地・建物といった不動産も差し押さえて競売にかけます。

そのため、固定資産税の支払いが難しい場合は、自治体の納税窓口に相談しましょう。納税期限の猶予や納税額の分割・減免などの措置が受けられる可能性があります。

 

まとめ

3,000万円のマンションを買ったときには、固定資産税が発生します。固定資産税は「課税標準額×税率」という計算式で算出できます。新築・中古を問わず、ある程度の金額はシミュレーションできますが、正確な納税額を知りたいときは不動産会社の担当者などに確認するとよいでしょう。

また、一戸建てに限らずマンションでも固定資産税の軽減措置を受けることが可能です。固定資産税は毎年払い続けるものなので、軽減措置も利用しながら、できるだけ負担のない方法で着実に納税しましょう。


2024-06-20 00:00:00

 

建売住宅のメリット・デメリットとは?注文住宅との違いも解説!

 

新築戸建てには、「建売住宅」と「注文住宅」の2つの選択肢があります。
不動産購入を考え始めた際、どちらを選択するべきか悩む方も多いことでしょう。そこで本記事では、建売住宅のメリット・デメリット、そして注文住宅との比較をご紹介します。最終章では、選び方のポイントまで詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

 

1.建売住宅と注文住宅を比較

1-1.建売住宅と注文住宅の違い

まずは建売住宅と注文住宅を比較して、違いを見ていきます。
建売住宅とは、「土地と建築済みの建物が、セットで販売されている住宅」を指します。一方の注文住宅は、「ご自身で購入した土地に、オーダーメイドの住宅を建てること」を指します。注文住宅には、間取りや仕様を全て自由に決められるフルオーダータイプと、用意された中から選ぶセミオーダータイプがあります。そんな建売住宅と注文住宅には、大きく4つの違いがあります。以下の表で確認しましょう。

 

不動産購入における建売住宅と注文住宅の違い

※所要資金の価格は2022年度のフラット35利用調査の結果です。

1-2.建売住宅と注文住宅における所要資金の価格差

建売住宅と注文住宅の違いの1つに、所要資金の価格帯の差があります。
どの程度の価格差があるのかを、2022年度のフラット35利用者調査で確認してみましょう。調査結果によると、所要資金には約975万円ほどの価格差があることがわかります。しかしながら、建売住宅と注文住宅では平均専有面積や設備にも差があるため、その点で注意が必要です。

■所要資金の価格差
・建売住宅の全国平均:約3,719万円
・土地付き注文住宅の全国平均:約4,694万円

 

 

2.建売住宅のメリット

本章では、建売住宅のメリットを見ていきます。建売住宅のメリットを知ることは不動産購入のヒントとなるため、しっかりと把握しておきましょう。

建売住宅のメリット

2-1.注文住宅よりコストを抑えられるケースが多い

建売住宅は、注文住宅に比べてコストを抑えられる傾向があります。
「コストを抑えられる=低品質」と考える方も多いですが、品質が影響しているわけではありません。建売住宅が安価な理由は、区画ごと同じ規格で施工されるという点にあります。建材費や人件費のコストカットが可能になり、1戸あたりの単価を安くすることができる仕組みになっています。また、価格が明確で資産計画が立てやすく、予算をオーバーしてしまう心配もありません。

2-2.短期間での入居が可能

注文住宅に比べ、短期間での入居ができることもメリットの1つです。
注文住宅の場合は、入居まで約1年かかると言われています。一方、建売住宅は約1〜2ヶ月ほどで入居することができます。そのため購入スケジュールも立てやすく、子供の進学や転勤などに合わせたスピーディーな入居も可能です。

2-3.実際に物件を見てから購入できる

建売住宅は既に完成しているため、物件に足を運び、実物を見ることができます。
そのため図面や模型では把握できない、日当たりや騒音など物件の細部まで確認することができます。入居後のギャップを最小限に抑えることができ、「イメージと違った…」という後悔や失敗を回避することが可能です。

2-4.住宅ローンの手続きがスムーズにできる

建売住宅では、住宅ローンの手続きがスムーズにできます。
住宅ローンは基本的に、建物が未完成の状態では利用できません。そのため、注文住宅は“つなぎ融資”や“土地先行融資”で土地代金を支払い、建物が完成した段階で再度住宅ローンの手続きを行います。
一方、建売住宅は土地と建物がセットで購入できるため、手続きも一括で行うことが可能です。また、住宅ローンと家賃の支払いが重ならないというメリットもあります。

2-5.好立地の物件が多い

好立地の物件が多いのも、建売住宅の大きなメリットです。
建売住宅は、人気のエリアに建てられている傾向があります。なぜなら、建売業者は市場に出る前の好条件の土地を、購入することができるからです。「理想の土地が見つかずに困っている」という方は、建売住宅を検討してみてはいかがでしょうか。

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3.建売住宅のデメリット

建売住宅には多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。
そこで本章では、建売住宅のデメリットを見ていきましょう。

建売住宅のデメリット

3-1.間取りや設備のカスタマイズができない

建売住宅では、間取りや設備の変更は基本的にはできません。
建売住宅は既に完成しているため、ライフスタイルに合った間取りや生活動線を叶えるのは難しい可能性があります。こだわりのマイホームを手に入れたい方にとっては、大きなデメリットに感じてしまうことでしょう。希望通りの間取りや設備を選択したい場合は、オプション選択ができる建売住宅や、注文住宅を検討しましょう。

3-2.建築過程を確認できない

建売住宅は建設が完了しているため、建築過程を確認できません。
基礎や柱の施工は、住む人の命を守るための重要なポイントになります。施工ミスなどのリスクを回避するためには、信頼できる建売業者を見極めることが重要です。

欠陥の有無を確認したい場合は、ドアや窓の開閉や床の傾きをチェックしましょう。加えて、物件の“耐震等級”を確認するのもオススメです。耐震等級については、以下の記事で詳しくご紹介しています。ぜひ参考にされてみてはいかがでしょうか。

耐震等級3で後悔しない?

3-3.土地の選択肢に制限がある

土地の選択肢が制限されてしまうのも、デメリットの1つです。
建売住宅では土地を自由に選ぶことができず、選択肢が限られてしまいます。どうしても譲れないポイントがある場合は、注文住宅を検討してみてはいかがでしょうか。

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4.建売住宅と注文住宅では、どっちが最適?

4-1.建売住宅と注文住宅の選び方のポイント

理想のマイホームに求める条件は、千差万別です。建売住宅と注文住宅のどちらを選択するかは、条件やライフスタイルと照らし合わせながら検討しましょう。選び方のポイントとして、それぞれに向いている方の特徴をご紹介します。

建売住宅と注文住宅の選び方のポイント

4-2.建売住宅はこんな方にオススメ

新築戸建てを検討されている方の中で、「コストを抑えつつ、とにかく早く購入したい方」は“建売住宅”がオススメです。建売住宅は時間と手間を最小限に抑えられ、実物を見てから購入することができるなど、多くの利点があります。しかし、理想の立地や間取り、設備が見つからず、妥協を重ねてしまうと後悔に繋がる可能性があります。希望通りの建売住宅が見つからないときは、注文住宅も視野に入れることで、理想のマイホームが実現できるかもしれません。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回は建売住宅についてメリット・デメリットや、注文住宅との違いをご紹介しました。ご自身の状況に合った選択をするためには、建売住宅のメリットとデメリットを理解した上で、最適な判断をすることが求められます。それでは本記事でご紹介した内容をおさらいします。

  • ■建売住宅と注文住宅の違い

    ・建売住宅とは「土地と建築済みの建物がセットで販売されている住宅」
    ・注文住宅とは「土地と建物をそれぞれ購入し、自由に組み合わせる住宅」

  • ■建売住宅のメリット

    ・注文住宅よりコストを抑えられるケースが多い
    ・短期間での入居が可能
    ・実際に物件を見てから購入できる
    ・住宅ローンが一括で組める
    ・好立地の物件が多い

  • ■建売住宅のデメリット

    ・間取りや設備のカスタマイズができない
    ・建築過程を確認できない
    ・土地の選択肢に制限がある

  • ■建売住宅はこんな方にオススメ

    ・コストを抑えつつ、とにかく早く新築戸建てを購入したい方

狭山不動産では建売住宅と注文住宅をはじめ、分譲住宅や不動産売却なども取り扱っているため、多彩な選択肢の中から最適な方法をご提案することが可能です。また開業以来、狭山・所沢・入間エリアで多くのお客さまの不動産購入をサポートして参りました。これまで培った豊富な経験と実績で、お客さま一人一人に合わせたご提案を致します。ぜひ狭山不動産へご相談ください。

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2024-05-20 00:00:00

 

サムネ

 

家の価値は築年数が経過するほどに、下がってしまうものです。そこで本記事では3,000万円で買った家を例に挙げ、築年数ごとに売却相場がどのように変化するかをご紹介します。ぜひ参考にしてみて下さい。

 

 

 

1.売却相場と築年数の関係

家の売却相場は、築年数、立地、広さや間取り、周辺環境などの様々な要素を基に算出されます。その中でも築年数は売却相場に大きな影響を与えます。建物には経年劣化があり、築年数が経つほどに価値が減少していきます。以下のグラフで築年数ごとの下落率を確認しましょう。

築年数による査定価格の推移例

出典:中古住宅流通、リフォーム市場の現状(国土交通省)

木造戸建ては築5年で約75%、築10年で約50%と著しく低下していますが、築15年を過ぎると緩やかになり築20年で約15%、築30年にはほぼ0%に近い状態まで下落します。
一方「RC造マンション」は築10年で約80〜85%、築20年で55〜60%、築30年には40〜45%と築年数を追うごとに一定の割合で下落しています。

 

 

2.3,000万円で購入した家の価値

本章では3,000万円で購入した戸建てを例に、売却相場の計算方法をご紹介します。
売却相場には色々な算出方法がありますが、今回は以下の下落率を乗算する方法でシミュレーションをしていきます。

■計算式
購入時の価格×築年数による下落率=売却相場

なお戸建ての場合は、建物と土地で分けて計算するのが一般的です。今回は土地と建物の割合を3:7と仮定し、地価変動は考慮せずに計算しています。

2-1.築10年の戸建ての売却相場

3,000万円で購入した家の、10年後の資産価格は約1,950万円です。
築10年で新築価格の約60〜50%まで下落します。築10年の中古物件は需要が高く、理想の売却ができる可能性があります。

■3,000万円で購入した不動産の10年後の価値
【土地:900万円・家:2,100万円で算出】
2,100万円×50%=1,050万円
900万円+1,050万円=1,950万円

2-2.築20年の戸建ての売却相場

3,000万円で購入した家の、20年後の資産価格は約1,215万円です。
築20年で新築価格の約15%まで下落します。木造戸建ての耐用年数は、22年に設定されています。そのため築22年を過ぎると底値になると言われており、売却を検討している場合は築30年を迎える前に売るのがオススメです。

■3,000万円で購入した不動産の20年後の価値
【土地:900万円・家:2,100万円で算出】
2,100万円×15%=315万円
900万円+315万円=1,215万円

2-3.築30年の戸建ての売却相場

3,000万円で購入した家の、30年後の資産価格は約1,110万円です。
築30年で新築価格の約10%まで下落します。耐用年数を超過しているため需要が下がり、資産価値も減少してしまう傾向にあります。

■3,000万円で購入した不動産の30年後の価値
【土地:900万円・家:2,100万円で算出】
2,100万円×10%=210万円
900万円+210万円=1,110万円

2-4.築40~50年の戸建ての売却相場

3,000万円で購入した家の、40〜50年後の資産価格は約900万円です。
建物自体の資産価値は無くなってしまうものの、土地の価格も含まれるので売却相場はゼロになりません。

■3,000万円で購入した不動産の30年後の価値
【土地:900万円・家:2,100万円で算出】
900万円+0万円=900万円

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3.より正確な売却相場を知ろう

家の売却相場は低下するケースばかりではありません。
周辺環境の整備や開発が進んだ場合は地価が上昇し、売却相場も上がる可能性があります。
そのため本章では、正確な売却相場を知るための3つの方法をご紹介します。

3-1.周辺地域の取引実例を調べる

国土交通省が公開している不動産情報ライブラリを使用して相場を調べる方法です。
不動産情報ライブラリには実際の取引実例が掲載されており、地域または沿線、取引時期や種類を指定し、希望の情報を閲覧することが可能です。そのため周辺地域の取引履歴や、似た物件の取引金額を知ることができます。
また、レインズ・マーケット・インフォメーションの利用もオススメです。レインズマーケットインフォメーションは不動産流通機構が運用するサイトで、不動産情報ライブラリと同様に取引価格の相場を調べることができます。種類はマンションと戸建てのみと少ないですが、データ量や更新頻度に優れているという特徴があります。ご自身の状況に合わせて、2つを使い分けることで理想の売却に繋がることでしょう。

3-2.査定シミュレーションを活用する

査定シミュレーションでは、物件の特徴に合った売買相場を知ることが可能です。
同じ築年数の家でも、建物の構造や面積、周辺環境によって売却相場に差が生まれます。
しかし、査定シミュレーションではその辺りの情報も加味した価格が算出できるため、より正確な売却相場を知ることができます。

3-3.不動産会社による査定を活用する

不動産会社による査定では、最も正確な売却相場を知ることができます。
家の査定には、机上査定(簡易査定)と訪問査定の2つの方法があります。机上査定(簡易査定)は売却予定の家のデータを基に、不動産会社のスタッフが算出する方法です。
査定シミュレーションと混同しやすいですが、シミュレーター査定はAIが自動的に査定するのに対して机上査定ではデータを基に経験の豊富なスタッフが査定を行います。一方の訪問査定は、不動産会社が現地調査を行い算出する方法です。訪問査定では、データに加えて現地調査から得た情報の両方から算出するため、より正確な査定価格を知ることができます。

より正確な売却相場を知るためのポイント

 

不動産査定については以下の記事でも詳しくご紹介しています。ぜひ参考にされてみてはいかがでしょうか。

不動産査定とは?ポイントをご紹介

 

 

4.築40~50年の家を売却する方法

築40〜50年の家は築浅物件より売れにくい傾向にあります。
そのため売却方法を把握しておき、物件に合った売却方法を選択することが重要です。売却方法は戸建てとマンションで異なるため、以下の画像を参考に、それぞれに合わせた方法を選択しましょう。

築40~50年の家を売却する方法

上記の他に売却戦略を工夫するという方法もオススメです。例えば、周辺物件よりも安く売り出すなどの戦略です。周辺物件との差別化ができ、売却成功への一歩となり得る可能性があります。売買売却活動が長期化していたり、難航していたりする場合は、売買方法や戦略を変えてみるのはいかがでしょうか。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回は家の売却相場について、築年数との関係性をご紹介しました。不動産売却を成功させるためには、売却相場を基に売り時を見極めることが重要です。それでは本記事でご紹介した内容をおさらいします。

  • ■売却相場と築年数の関係

    ・家の売却相場は築年数、立地、広さや間取り、周辺環境などの様々な要素を基に算出する
    ・その中でも築年数は売却相場に大きく影響する

  • ■3,000万円で購入した家の築年数ごとの売却相場

    ・築10年:約1,950万円
    ・築20年:約1,215万円
    ・築30年:約1,110万円
    ・築40〜50年:約900万円

  • ■より正確な売却相場を知る方法

    ・周辺地域の取引実例を調べる
    ・査定シミュレーションを活用する
    ・不動産会社による査定を活用する

狭山不動産では、多種多様な売却サービスをご用意しております。そのため初めての不動産売却でも安心してお取引して頂けます。また開業以降、狭山・所沢・入間エリアで多くのお客様の売却をサポートして参りました。これまで培った豊富な経験と実績で、お客様一人一人に合わせたご提案が可能です。ぜひ狭山不動産へご相談下さい。

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2024-04-19 00:00:00

 

サムネ

 

今回の記事ではマンション売却について、高く売る方法や売却までの流れをご紹介します。
本記事を参考に事前知識を付けておきましょう。

 

 

 

1.マンション売却の流れ

まずは、マンション売却の流れを把握しておきましょう。
マンション売却は以下の6つのステップで行います。

マンション売却の流れ

まずは売却相場を調べることから始めましょう。その後、売却するマンションの査定、媒介契約の締結、売却活動などを経て買主が決まったら、売買契約、引渡しという流れになります。
このようにマンションの売却では、いくつかのステップを踏む必要があります。それぞれのステップについては以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にされてみてはいかがでしょうか。

査定から引渡しまでを解説 入間市の売却相談はこちら

 

 

2.マンション売却の相場を知る

本章では、マンション売却の相場について紹介していきます。
マンションをできるだけ高く売却するためには、相場価格を把握しておくことが大切です。
そうすることで、不動産会社に提示してもらった査定額が妥当であるかどうか判断できるだけでなく、適正な売り出し価格を設定しやすくなります。

2-1.現在のマンションの相場は?

【マンション売却の相場】不動産価格指数の変動について

マンションの売却相場は、近年全国的に上昇しています。国土交通省が公表している不動産価格指数(家やマンションの売却相場)を見ると、マンションの価格は戸建て住宅を大きく上回り上昇し続けています。価格が上昇している今は、マンションを売却するのに最適なタイミングと言えます。
またマンションを高く売却するためには、適切なタイミングを見極め、需要の高い時期を狙うことが重要です。
不動産売却では、売却に適したシーズンがあります。企業で人事異動が多い9〜10月や、新生活が始まる前の2~3月など、人が動く時期は不動産の売買が活発化する傾向にあります。上記の時期を意識して、少なくとも半年前くらいには売却活動を始めることで売買が盛んになるタイミングで物件を引き渡せるようにしましょう。

2-2.相場の調べ方

不動産会社に査定依頼する前に、ご自身で相場を調べてマンション売却のシミュレーションをしておくことも大切です。
マンションの売却相場は、以下の3つの方法で調べることが可能です。

レインズマーケットインフォメーション
不動産会社ではなく、一般個人が実際に取引した成約価格も検索することができます。
このサイトを活用することで築年数や間取り、駅からの距離など、幅広い条件から自身のマンションに近い物件の相場価格を調べられます。

土地総合情報システム
こちらのサイトは国土交通省が運営しており、実際に不動産の取引を行った人を対象にしたアンケートの結果がデータベース化されたものです。お住まいの地域を絞って物件の取引金額を調べることが可能です。

・不動産情報サイト
各不動産会社が運営するサイトでも、売却を検討する物件周辺の相場情報を知ることができます。

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3.マンションを高く売るコツ

3-1.スケジュールに余裕を持って売却活動をする

マンションを高く売るためには、余裕を持ったスケジュールで売却活動を行いましょう。
スケジュールに余裕がない状態で売却活動を行うと、売却を焦ってしまい相場よりも安い値段で契約してしまう恐れがあります。
売却活動開始から成約できるまでは、平均で3ヶ月〜半年程かかります。納得できる売却を行うには早めに査定を受けるのがオススメです。
以下の記事では、不動産の査定方法や失敗しないためのポイントについて解説しています。ぜひ参考にされてみてはいかがでしょうか。

不動産査定のポイント

3-2.信頼できる不動産会社を選ぶ

不動産会社選びも、マンションを高く売る上で重要なポイントです。
理由としては、不動産会社によって得意な物件や査定方法が異なるため、査定価格に大きな差が出ることがあげられます。そのためマンションを高く・早く売るには、比較検討することが大切です。
しかし査定価格が高いというだけで、不動産会社を選定するのはオススメできません。
査定価格と併せて、仲介手数料やサービス内容、担当のスタッフとのコミュニケーションの取りやすさ、販売戦略などにも着目しましょう。
また、不動産会社と締結する媒介契約にもポイントがあります。媒介契約には3つの種類があり、それぞれ特徴については以下のとおりです。

■一般媒介契約
複数の不動産会社に仲介を依頼できる媒介契約。
自力で探した買い手と不動産会社を介さずに契約可能。

■専任媒介契約
売買の仲介を1社の不動産会社にのみ依頼する媒介契約。
自力で探した買い手と不動産会社を介さずに契約可能。

■専属専任媒介契約
専任媒介契約と同様に、売買の仲介を1社の不動産会社にのみ依頼する媒介契約。
不動産会社が見つけた売却先としか取り引きすることができない。

媒介契約については以下の記事でも解説しています。ぜひ参考にされてみてはいかがでしょうか。

不動産の売却方法とは?

3-3.内覧時の印象に気を付ける

内覧者は事前に間取りや広さを把握した上で内覧に来ているため、購入意欲が高い状態です。部屋が汚く物が多いと、イメージダウンに繋がってしまいます。
また、見落とされがちなポイントとして「におい」が挙げられます。タバコやペットの染み着いたにおいも気を付ける必要があります。
内覧の前には、以下のポイントに注意して事前に準備しておきましょう。

不動産売却の内覧時に注意するポイント

3-4.マンションのメンテナンスで劣化を防ぐ

中古マンションは購入後にリフォームや修繕が必要なケースが多く、欠陥や不具合があるマンションは「この物件は費用がかかる」という印象を与えてしまいます。このような心理的作用による売却価格の低下を防ぐために、マンションのメンテナンスを日頃から行いましょう。
経過年数が長いほど、設備機器の定期点検や日常的な清掃などのメンテナンスを行っている物件と、行っていない物件とでは大きな違いが出ます。
特にキッチンや浴室、洗面所などの水回りは購入希望者が注目するポイントのため、しっかりと清掃をしておきましょう。

所沢市の売却相談はこちら 狭山市の売却相談はこちら

 

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回はマンション売却について、高く売る方法や売却までの流れをご紹介しました。それでは本記事でご紹介した内容をおさらいします。

  • ■マンション売却の流れ

    STEP1:売却相場を調べる
    STEP2:不動産会社に査定を依頼する
    STEP3:不動産会社と媒介契約を締結する
    STEP4:売却活動を開始する
    STEP5:買主と売買契約を締結する
    STEP6:買主に家を引渡す

  • ■マンション売却の相場の調べ方

    ・レインズマーケットインフォメーション
    ・土地総合情報システム
    ・不動産情報サイト

  • ■マンションを高く売るコツ

    ・スケジュールに余裕を持って売却活動をする
    ・信頼できる不動産会社を選ぶ
    ・内覧時の印象に気を付ける
    ・マンションのメンテナンスで劣化を防ぐ

 

狭山不動産では、多種多様な売却サービスをご用意しております。自社ホームページへの掲載のほか、週末の折り込みチラシ等への掲載、ポータルサイトへの掲載など、お客様の売却活動を多様な方法で徹底的にサポート致します。そのため初めての不動産売却でも安心してお取引して頂けます。また開業以降、狭山・所沢・入間エリアで多くのお客様の売却をサポートして参りました。これまで培った豊富な経験と実績で、お客様一人一人に合わせたご提案が可能です。不動産売却のご依頼はぜひ狭山不動産へご相談下さい。

 

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