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2025-07-24 11:09:12
近年、大地震の発生が全国各地で相次ぐ中、住宅の安全性を可視化する手段として注目されているのが「耐震等級」です。特に新築住宅を検討している方にとっては、耐震性能の高さが家族の命や財産を守る大きな指標となります。 当記事では、耐震等級の基本的な定義や等級ごとの違い、設計面での工夫やデメリット、取得による保険料・ローン金利の優遇など、実用的な情報を丁寧に解説します。耐震等級1は危険なのかという疑問も解消するので、安心できる住まいづくりのために耐震等級について正しく理解し、長期的な視点から自分に合った選択を見つけましょう。
1. 耐震等級とは耐震等級とは、住宅の地震に対する強さを数値化したもので、国の「住宅性能表示制度」における評価項目の1つです。耐震等級は1~3の3段階で評価され、等級が高いほど地震に対する耐久性が高いとされています。具体的には、「構造躯体の倒壊等防止」と「構造躯体の損傷防止」という2つの観点から評価が行われ、いずれも建物が地震でどれだけ壊れにくいか、損傷を受けにくいかを示す指標です。 耐震等級が制度として導入された背景には、阪神・淡路大震災のような大規模地震での被害を教訓に、より高い安全性を「見える化」するニーズがあったことが挙げられます。
1-1. 耐震と制震・免震の違い建物の地震対策には、「耐震」「制震(制振)」「免震」という3つの異なる工法があります。 「耐震」は、建物の柱や壁、筋交いなどの構造体を強化し、揺れに耐える構造です。現在の一般住宅の多くに採用されており、建築基準法の最低限の基準でもあります。倒壊を防ぎ、居住者の避難を確保する目的で設計されています。 「制震」は、建物の内部にダンパーなどの制震装置を組み込み、地震のエネルギーを吸収して揺れを軽減する構造です。建物全体へのダメージを抑える効果があり、高層ビルや長寿命住宅で導入されることが多い工法です。 「免震」は、建物と地盤の間に免震装置(滑り支承や積層ゴムなど)を設置し、地震の揺れを建物に伝えにくくする構造です。揺れそのものを回避するのでもっとも高い地震対策とされますが、コストがかかるため導入には慎重な検討が必要です。 このように、耐震は「耐える」、制震は「吸収する」、免震は「伝えない」という異なるアプローチで地震に対処しています。
2. 耐震等級1~3の違い|どの程度の地震に耐えられる?住宅の地震への強さを評価する「耐震等級」は、等級1から3までの3段階で地震に対する耐性を示します。数字が大きくなるほど建物の耐震性は高くなり、大地震に対する備えとして信頼度も向上します。 ここでは、それぞれの等級が具体的にどの程度の地震に耐えられるのかを詳しく解説します。
2-1. 耐震等級1耐震等級1は、建築基準法で定められた最低限の耐震性能を満たす水準です。これは「数百年に一度程度の大地震(震度6強~7相当)で倒壊・崩壊しないこと」、「数十年に一度の中規模地震(震度5強相当)で大きな損傷を生じないこと」が条件となっています。 人命を守る最低ラインを確保した基準であり、震災直後に建物の使用を続けられるとは限りません。実際には、構造に損傷が生じる可能性があるため、補修や場合によっては建て替えが必要になるケースもあります。
2-2. 耐震等級2耐震等級2は、耐震等級1の1.25倍の地震力に耐えられる強度を有します。これは「長期優良住宅」や「避難所に指定される学校・病院」などにも求められる基準であり、より安心して長く住める住宅を目指す際の目安となります。 具体的には、震度6強~7の地震の1.25倍の力でも倒壊・崩壊せず、震度5強相当の揺れに対しても損傷しにくい構造が求められます。日常的な安全性に加え、大規模災害時にも建物の機能を維持しやすいため、災害に強い住まいを希望する方におすすめです。 ただし、構造上は柱や壁の本数が増えたり、開口部が制限されたりすることもあるため、設計の自由度に多少影響を及ぼす点は注意が必要です。
2-3. 耐震等級3耐震等級3は、耐震等級1の1.5倍の地震力に耐えられる性能を持ち、現行の住宅性能表示制度における最高等級です。震度6強~7相当の大地震が発生しても倒壊・崩壊を防ぎ、さらにその後の余震にも耐える高い信頼性があり、災害時の警察署や消防署などにも採用されています。 大きな補修を必要とせず住み続けられる可能性が高いため、家族の安全や資産価値の維持を重視する方にとっては、非常に魅力的な選択肢と言えるでしょう。また、長期優良住宅やフラット35などの優遇措置対象にもなるため、住宅ローンや地震保険料の軽減という経済的なメリットも得られます。
3. 耐震等級1の家は危ないって本当?現行の建築基準法に基づけば、耐震等級1の基準を満たしていれば住宅は合法的に建てられます。しかし、住宅性能評価・表示協会の調査では、新築で住宅性能評価書を取得している住宅の約97%が耐震等級3を取得しており、耐震等級1の住宅はごくわずかです。 出典:一般財団法人 住宅性能評価・表示協会「令和5年度 建設住宅性能 評価書(新築)データ (一戸建ての住宅)」 耐震等級1の家は危険なのか、過去の地震事例や制度の背景から解説します。
3-1. 熊本地震では耐震等級3の住宅の大半が無被害だったため2016年に発生した熊本地震では、最大震度7の揺れが短期間に2度も襲い、住宅への被害が広範囲にわたりました。この地震を受けて国土交通省が行った調査によると、建築基準法レベル(=耐震等級1)の住宅では、倒壊率が2.3%、大破率が4.0%でした。一方、耐震等級3の住宅では、倒壊・大破の事例はなく、無被害の割合が9割近くに上り、地震に対する優位性がはっきりと証明されました。 出典:国土交通省「「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書のポイント」 大地震に備えるなら、等級の高さは安心材料となるでしょう。
3-2. 複数回の地震が起きると倒壊する可能性があるため耐震等級1の住宅は、震度6強~7クラスの地震に対して「一度は倒壊しない」ことを基準に設計されています。しかし、実際の地震では1回きりの揺れで済むとは限りません。熊本地震のように震度7が2度続くケースもあり、1回目の揺れで損傷した建物は、2回目の揺れに耐えきれず倒壊する可能性があります。 耐震等級1は、あくまで人命を守る最低限の基準であり、建物の継続的な使用まで想定していません。一方で耐震等級3では、建物にかかる力が抑えられる構造のため、初期の損傷が少なく、その後の余震にも高い耐性を持ちます。繰り返しの地震に備えるには、より高い耐震等級が望ましいと言えるでしょう。
3-3. 建築基準法で定められる最低限の基準であるため耐震等級1は、建築基準法で定められた「最低限の耐震性能」です。この基準の目的は、主に「人命の保護」にあり、建物が倒壊しない程度の強度であれば、一定の損傷は許容されるとされています。つまり、命を守ることは想定されていますが、地震後もそのまま住み続けられるかどうかは保証されていません。 また、建築基準法の耐震基準は全国一律で定められており、地盤や地域の地震リスクに関係なく最低限のラインで設計されています。そのため、「最低限」の強度では心許ないと感じ、結果として新築住宅のほとんどが耐震等級3を採用しているのが現状です。
4. 耐震等級にかかわる要素建物の耐震性は、構造全体の設計バランスと部材の使い方によって決まります。耐震等級を高めたいのであれば、それぞれの要素について耐震基準を満たすだけでなく、構造的な整合性を持たせる設計が求められます。 ここでは、耐震等級に関わるそれぞれのポイントを詳しく解説します。
4-1. 建物の重さ建物の重さは、耐震性に直接影響する重要な要素です。地震の揺れは地盤から建物へと伝わり、建物が重いほど揺れの力を大きく受けてしまいます。特に屋根や外壁など、上部構造が重いと重心が高くなり、揺れに対する不安定さが増すため注意が必要です。 また、外壁材もサイディングや軽量パネルなどを用いることで、地震による建物の変形リスクを抑える効果が期待できます。木造住宅はRC造や鉄骨造よりも軽量なので、適切に設計すれば耐震性を高めやすいでしょう。
4-2. 耐力壁と耐震金物の量と配置バランス耐震性能を支える柱と壁の中でも、特に重要なのが「耐力壁」と「耐震金物」です。耐力壁は、筋交いや構造用合板などを使って建物の横揺れを抑える役割を担います。壁の量が多ければ多いほど強度は高まりますが、それ以上に大切なのが壁や金物の「配置バランス」です。 耐震金物とは、柱や梁、土台などの接合部を補強する金具を指し、適切に配置することで構造全体の結合力が高まり、揺れに対して柔軟に耐えられるようになります。たとえば、南側だけに開口部(窓)が多く、北側に壁が偏るような設計では、地震時にねじれや倒壊が発生しやすくなります。 見た目では分かりにくい要素ですが、耐震等級を高めるためには、耐力壁と金物の配置を緻密に設計することが大切です。
4-3. 水平構面の耐震性能地震は上下の揺れだけでなく、水平方向にも強い力を発生させます。このときに重要となるのが「水平構面」の強度です。水平構面とは、建物の床や屋根など水平方向の面構造のことで、地震時のねじれや変形を抑える役割を持っています。 たとえば、2階部分に大きな吹き抜けを設けたり、床が不連続な構造になっていたりすると、水平方向の剛性が低下し、建物全体がねじれて倒壊するリスクが高まります。耐震等級を高く設定するには、床面の構造を強固にし、荷重や揺れを均等に分散させる設計が必要です。 特に木造住宅では、合板による床面の補強や剛床工法などを用いて、水平構面の強度を高めるのが一般的です。
4-4. 基礎の耐震性能耐震性能を支えるもっとも根本的な部分が「基礎構造」です。いかに建物の上部を頑丈にしても、基礎が弱ければ揺れに耐えきれず大きな被害につながります。 基礎には「布基礎」と「ベタ基礎」があり、一般的に耐震性に優れるとされるのはベタ基礎です。ベタ基礎は床下全体に鉄筋コンクリートを敷き詰める構造で、荷重を面で支えるため、地盤沈下や地震による建物の傾きにも強い特徴があります。 また、基礎と建物を接合するアンカーボルトの設置、コンクリートの厚みや配筋の正確さなども耐震性を左右する重要なポイントです。基礎がしっかりしていれば、建物全体の耐震力も格段に高まります。
5. 新築住宅の耐震等級を高めるメリット耐震等級を高めることには、地震への強さ以外にもさまざまなメリットがあります。 近年では、長期優良住宅やフラット35Sなど、耐震等級が高い住宅に対して支援制度も充実しており、安全性と資産価値の両面で大きな恩恵を受けられます。ここでは、具体的な4つのメリットを解説します。
5-1. 地震保険料が安くなる耐震等級が高い住宅は、地震保険料の割引対象となり、家計の負担軽減につながります。 地震保険料の割引を受ける場合と受けない場合とでは、年間数万円の差が出ることもあります。住宅ローンの返済がある間、地震保険の加入を継続するなら、長期的に見ると大きな節約になり、家計にゆとりが生まれるでしょう。なお、地震保険は火災保険とセットで加入が必要です。地震リスクへの備えだけでなく、保険料を抑える観点からも、耐震等級の取得は大きな価値を持つと言えるでしょう。
5-2. 一部住宅ローンの金利が安くなる耐震等級を高めると、「フラット35S」などの住宅ローンで金利優遇制度を利用できる可能性があります。金利が低くなれば、返済総額を数十万円単位で抑えることが可能です。 また、民間金融機関でも耐震性能の高い住宅に対して独自の優遇制度を設けている場合があるため、資金計画の段階で耐震等級を意識した設計を行うことで経済的な負担を軽減できます。
5-3. 災害時のダメージを抑えられる耐震等級が高い住宅は、大地震が発生した際の被害を最小限にとどめる可能性が高くなります。構造的な強度が高いと倒壊リスクが低く、揺れによる内部損傷や家具の転倒も抑えやすくなります。地震後も住み続けられる可能性が高いため、避難所生活を避けたい方や、家族の安全を最優先に考える方にとっては重要な要素です。 建物が大きく損傷しなければ修繕費も抑えられ、資産の損失を防ぐことにもつながります。
5-4. 売却時に高く売りやすくなる耐震等級が高い住宅は、第三者機関によって耐震性能が証明されているため、購入希望者からの信頼を得やすくなります。特に中古住宅市場では、耐震性が数値で示されていることは差別化のポイントになり、結果として査定価格や売却時の交渉に有利に働くケースが多くあります。 将来的な資産価値の維持という観点でも、耐震等級3などの高い基準を満たしておけば、競争力のある物件として評価されます。
6. 新築住宅の耐震等級を高めるデメリット耐震等級を高めることで住宅の安全性は向上しますが、一方でいくつかデメリットも存在します。どこまでの耐震性能を求めるのかは、家族構成やライフスタイル、予算とのバランスを見極めて判断する必要があります。 ここでは、代表的な2つのデメリットについて詳しく解説します。
6-1. 建築費用が高くなりやすい耐震等級を高めるには、構造面の強化が必要となるため、通常の住宅よりも建築費が高くなる傾向にあります。 たとえば耐震等級3の家を建てる場合、必要な耐力壁や金物の追加、柱や梁の太さの増強といった構造の工夫が求められ、それに伴い材料費と工賃が上昇します。さらに、等級認定を受けるためには構造計算や第三者機関への申請が必要で、それらの諸費用も数十万円規模になることがあります。 こうした初期コストの増加をどのように捉えるかは、地震後の修繕リスクや資産価値の維持といった長期的視点で判断しましょう。
6-2. 間取りの制限が生まれやすい耐震等級を高めるためには、建物全体の構造バランスを保つ必要があり、その結果、間取りに一定の制限が生じることがあります。 たとえば、大きなLDKや吹き抜けを希望しても、耐力壁を確保するために壁や柱を追加せざるを得ず、理想の空間が実現しにくくなるケースもあります。また、構造上の都合で窓の大きさや配置、通路の取り方などに制約が生まれ、開放感やデザイン性が損なわれることも考えられます。 間取りの自由度を重視する場合、耐震性と設計の折り合いをどのようにつけるかが重要なポイントです。ただし、設計力のある工務店やハウスメーカーであれば、構造とデザインを両立するプラン提案が可能な場合もあるため、希望を満たせる工務店やハウスメーカーを早めに探し、相談することが大切です。
まとめ耐震等級は、住宅の地震に対する強さを客観的に示す重要な指標です。等級が高いほど耐震性能が高く、地震時の被害リスクを軽減できるだけでなく、地震保険料の割引や住宅ローン金利の優遇など、経済的なメリットも多く得られます。 ただし、設計の自由度や建築コストといった面でのデメリットもあるため、ライフスタイルや優先順位に応じた慎重な判断が必要です。 将来の資産価値や安心・安全を考える上でも、耐震等級は非常に価値のある評価基準です。家族の命と暮らしを守るために、信頼できる施工会社とよく相談し、自分にとって最適な耐震性能の住まいを目指しましょう。 安心して暮らせる住まいをお探しの方は、ぜひ下記リンクもご覧ください。狭山不動産では地域に根ざしたネットワークで、理想の住まいを実現します。
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