不動産コラム

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2025-02-19 18:38:11

家を建てる際に、多くの人が「明るく開放的な家に住みたい」と願い、「日当たりが良い家」を理想とするでしょう。南向きの大きな窓から差し込む陽光を想像すると、心まで温かくなるような気がします。しかし、実際に住んでみると「日当たりが良すぎるのも考えものだった……」と後悔するケースもゼロではありません。

当記事では、日当たりが良すぎることで後悔しやすいポイントを解説します。これから家づくりを考えている方は、ぜひ参考にしてください。

 

1.日当たりが良い南向きが人気の理由

日本では、南向きの部屋は日当たりの良さから非常に人気があります。太陽は東から昇り、南の空を通って西へと沈むため、南向きの部屋は日中の日照時間が最も長くなります。特に冬場は太陽の高度が低くなるため、部屋の奥まで陽光が差し込み、暖かく過ごせるのがメリットです。四季の変化が大きく、冬の寒さが厳しい日本では特に重要な要素です。

日当たりの良さは、暖房費の節約にもつながります。太陽の熱で部屋が暖まるため、暖房器具の使用を抑えることができ、光熱費の節約になります。また、洗濯物を乾かすのにも適しており、特に日照時間の短い冬場には重宝するでしょう。さらに、自然光が豊富に入ることで部屋全体が明るく感じられます。

 

2.日当たりが良すぎることで後悔した理由

日当たりの良さはたしかに魅力的ですが、過度な日当たりは生活に支障をきたす可能性があります。以下で紹介する代表的な後悔ポイントやデメリットを理解しておくと、後悔のない住宅選びにつながります。

 

2-1.日中が眩しい・暑い

日当たりが良すぎる部屋では、特に夏場は室温が非常に高くなる場合があります。太陽光が直接部屋に入り込むことで、室内の温度が上昇するためです。まるで温室の中にいるかのような状態になり、冷房を強くしてもなかなか涼しくならない、という状況に陥ることもあります。

また、南向きの部屋で窓が大きい場合、日差しが眩しくなります。

 

2-2.光が反射してテレビが見づらい

日当たりが良すぎると、パソコンやテレビの画面が見えにくくなることがあります。強い日差しが画面に反射し、映像がぼやけてしまったり、コントラストが低下したりするためです。

具体的には、昼間にテレビを見ようとしたときに、画面に自分の姿や窓の外の景色が映り込んで、肝心の映像がよく見えなくなってしまうことがあります。特に映画やドラマの暗いシーンや屋外競技の映像では、反射が目立ちやすいです。

最近のテレビには反射防止技術が搭載されていますが、完全には防げません。特に光沢のあるグレアの液晶テレビは、映像が鮮やかに見えるというメリットがある反面、外光の反射を受けやすいので、人や物が映り込みやすいです。

 

2-3.冷房代が高くなりやすい

太陽の光が部屋にたくさん入り込むことで、室温が上昇しやすく、冷房の使用頻度が高まります。窓から入る太陽光が熱エネルギーとなって室内に蓄積されるため、冷房をかけてもなかなか涼しくならなかったり、設定温度を低くせざるを得なくなったりします。その結果、電気代が高くなりやすいです。

日当たりの良すぎる部屋では、このような状況が起こりやすくなります。また、冷房をつけっぱなしにしていても、室温がなかなか下がらず、常にフルパワーで運転している状態になることもあります。

 

2-4.家具や床材が痛みやすい

あまりに日当たりが良すぎると、太陽光に含まれる紫外線が原因で、家具や床材が傷んでしまうという問題が出てきます。紫外線には、物質を劣化させる作用があります。

たとえば、窓際に置かれた本棚の本が、背表紙だけ色が薄くなっているのを見たことがあるでしょう。これは、太陽光が直接当たる部分だけ紫外線によって色褪せてしまったためです。また、窓際に敷かれたカーペットの一部分だけ、周りの部分と色が違っているというのも、紫外線による色褪せが原因です。

 

2-5.植物を育てにくい

日当たりの良い部屋は、植物を育てるのに最適だと思われやすいですが、実は日当たりが良すぎることで、植物がうまく育たないというケースもあります。植物の種類によって、好む日照条件が異なるためです。

具体的に言うと、サボテンや多肉植物などの強い直射日光を好む植物は、日当たりの良い部屋で元気に育ちます。しかし、多くの観葉植物は、直射日光に弱く、葉焼けを起こしてしまうことがあります。葉焼けとは、葉が日光に当たりすぎて、茶色く変色したり、枯れてしまったりする現象です。

例えば、人気の観葉植物であるモンステラやパキラ、ポトスなどは、直射日光を避けた、明るい日陰を好みます。これらの植物を日当たりの良すぎる場所に置いてしまうと、葉が焼けてしまったり、生育が悪くなってしまったりする恐れがあるため注意が必要です。

 

3.日当たりが良すぎて後悔したときの対策方法

日当たりが良すぎることで後悔した場合、いくつかの対策方法があります。複数を組み合わせることで、より高い効果を得られるでしょう。ご自身の状況やライフスタイルに合わせて、最適な対策方法を選んでみてください。

 

3-1.遮光カーテンを取り付ける

遮光カーテンは、文字通り光を遮るためのカーテンです。生地の織り方や加工によって遮光性能が異なり、完全に光を遮断するものから、ある程度光を通すものまでさまざまな種類があります。日当たりが良すぎる部屋では、遮光性の高いカーテンを選べば、室内に差し込む光の量を減らし、眩しさや室温の上昇を抑えることが可能です。

遮光カーテンのメリットは、手軽に取り付けられる点です。既存のカーテンレールに取り付けるだけで効果を発揮するため、大掛かりな工事は不要です。また、デザインや色のバリエーションも豊富なので、部屋のインテリアに合わせて選べます。

 

3-2.グリーンカーテンにする

グリーンカーテンとは、ゴーヤや朝顔、ヘチマなどのつる性の植物を窓の外で育て、カーテンのように覆うことで、日差しを遮る方法です。植物の葉が太陽光を遮り、室内に熱が伝わりにくくなるため、室温の上昇を抑える効果があります。

グリーンカーテンのメリットは、自然の力で涼しさを得られることです。植物の蒸散作用によって周囲の温度を下げる効果もあり、エアコンの使用を抑えやすくなるでしょう。また、見た目も涼しげです。

 

3-3.窓ガラスに遮熱フィルムを貼る

窓ガラスに遮熱フィルムを貼ることで、窓から入る太陽熱をカットできます。遮熱フィルムにもさまざまな種類があり、紫外線カット効果や断熱効果、目隠し効果などを併せ持つものがあります。

遮熱フィルムのメリットは、窓ガラスに直接貼るため、場所を取らないことです。カーテンのように開け閉めの必要もなく、手軽に遮熱対策ができます。また、透明度の高いフィルムを選べば、部屋の明るさを保ちながら遮熱効果を得ることが可能です。

 

3-4.すだれを設置する

すだれは、竹や葦などを編んで作られた日よけです。窓の外に吊るして使用することで、日差しを遮り、室温の上昇を抑える効果があります。

夏の強い日差しを和らげながら風を通せるため、エアコンに頼りすぎず、自然の風を取り入れた快適な室内環境を実現できます。日本の夏の過ごし方として古くから受け継がれてきた知恵と言えるでしょう。

さらに、すだれは設置が簡単で、手軽に扱える点もメリットです。窓の外側や軒先などに吊るすことで、手軽に日差しを遮れます。取り外しも簡単なので、季節に応じて使い分けるのも容易です。

 

まとめ

家づくりにおいて日当たりは重要な要素ですが、日当たりが良すぎると、思わぬ後悔につながることがあります。快適な住まいを実現するためには、日当たりのメリットだけでなく、デメリットの理解が大切です。

設計段階で日当たりを十分に考慮し、可能であれば実際に現地を訪れて時間帯ごとの日当たりを確認できると良いでしょう。大切なのは「ちょうど良い日当たり」を見つけることです。今回の記事を参考に、ぜひ後悔のない、心から満足できる家づくりをしてください。


2025-02-19 18:34:39

マイホームの購入を検討している際に、家の間取りやデザイン、憧れのインテリアなど、ワクワクする想像が膨らむ人がほとんどでしょう。一方で、理想の住まいを実現するためには、見た目だけでなく、土地と建物の関係を規定する重要なルールを知っておく必要があります。その1つが「建ぺい率」と「容積率」です。

この記事では、これから家づくりを考えている方向けに、建ぺい率と容積率について、分かりやすく丁寧に解説しますので、ぜひ参考にしてください。

 

1. 建ぺい率・容積率とは?

建ぺい率・容積率は、家づくりや物件選びをする際に、知っておくべき重要なポイントの1つです。建ぺい率・容積率の割合によって、その土地にどれくらいの大きさの建物を建てられるのかが決まります。

ここでは、建ぺい率と容積率の概要と違いを分かりやすく解説します。

 

1-1. 建ぺい率とは

建ぺい率とは、「敷地面積に対する建築面積の割合」です。簡単に言うと、土地を真上から見たときに、建物がどれくらいの面積を占めているかを示します。

【建ぺい率の制限の目的】

  • 建物が密集しすぎると、火災が発生した際に延焼しやすくなります。建ぺい率を制限することで、建物同士の間に一定の空間を確保し、延焼を防ぐ効果があります。
  • 建物が密集すると、日当たりが悪くなったり、風通しが悪くなったりします。建ぺい率を制限することで、良好な住環境を維持できます。
  • 建物が過密に建ち並ぶのを防ぎ、良好な都市景観を形成する目的もあります。

 

1-2. 容積率とは

容積率とは、「敷地面積に対する延床面積の割合」です。延床面積とは、建物の各階の床面積を合計した面積です。

【容積率の制限の目的】

  • 建物が過度に大きくなるのを防ぎ、人口の過密を防ぐ目的があります。
  • 建物が大きくなると、道路や上下水道などのインフラへの負荷が増大します。容積率を制限することで、インフラへの過剰な負担を抑えられます。
  • 建ぺい率と同様、容積率を制限することで、日照・風通し・景観などを確保し、良好な都市環境を維持する目的があります。

 

2. 建ぺい率と容積率の調べ方

建ぺい率と容積率の上限は、行政が指定した用途地域の種類によって決められています。都市計画法で定められた数値の中から行政が指定するため、同じ用途地域でも建ぺい率や容積率が異なることがあります。

用途地域地域の特徴建ぺい率(%)容積率(%)
第1種低層住居専用地域小さな住宅や小学校、中学校などを建てられる地域30・40・50・6050・60・80・100・150・200
第2種低層住居専用地域第1種に加えて、コンビニなどの小さなお店も建てられる地域
田園住居地域農業の活用を促進しながら、それに調和した低層住宅の良好な住環境を守るために指定された地域
第1種中高層住居専用地域住宅のほか、高校や大学、中規模の店舗なども建てられる地域100・150・200・300・400・500
第2種中高層住居専用地域第1種に加えて、中規模のオフィスビルや1500平方メートルまでの店舗も建てられる地域
第1種住居地域建てられる店舗に制限がある地域50・60・80
第2種住居地域第1種に加え、パチンコ店やカラオケ店も建てられる地域
準住居地域道路沿いの特性に適した業務の利便性を高めながら、調和した住環境を守るために指定された地域
準工業地域軽工業の工場やサービス施設が混在する地域
近隣商業地域近隣の住民が日用品を購入する店舗などの利便性を高めるための地域60・80
商業地域住宅や小規模工場、飲食店、銀行、百貨店、映画館などが建てられる地域80200・300・400・500・600・700・800・900・1000・1100・1200・1300
工業地域住宅、店舗、すべての工場が建てられる地域50・60100・150・200・300・400
工業専用地域すべての工場が建てられる専用の地域30・40・50・60
用途地域の定めのない地域用途制限がない地域30・40・50・60・7050・80・100・200・300・400

参考:大阪市「地域地区(用途地域等)について」

参考:厚木市「用途地域(ホームページから検索可能です)」

 

2-1. 市区町村に問い合わせる・WEBサイトで確認する

建ぺい率と容積率の調べ方として、最も確実なのは、その土地を管轄する市区町村の役所に問い合わせることです。

また、多くの自治体では、都市計画情報をWebサイトで公開しています。「〇〇市 都市計画図」「〇〇町 用途地域」などのキーワードで検索してみましょう。Webサイトでは、用途地域、都市計画図、建築基準法関係例規集などが確認できることが多いです。ただし、Webサイトの情報は更新が遅れている場合もあるため、最新の情報ではない可能性がある点に注意しましょう。

 

2-2. 不動産会社や建設会社に問い合わせる

また、土地を購入する際や、家を建てる際に、不動産会社や建設会社に問い合わせることもおすすめです。土地の売買を行う不動産会社は、その土地の建ぺい率・容積率などの情報を把握しています。

また、家の建築を依頼する予定の建設会社(工務店やハウスメーカーなど)は、建築基準法や都市計画法に詳しい専門家です。土地の情報を提供することで、建ぺい率・容積率だけでなく、建築可能な建物の規模や形状などについてもアドバイスをもらえます。

ただし、不動産会社や建設会社の担当者によって、知識や情報提供のレベルに差がある場合があること、また、詳細な調査を依頼する場合などは、無料でない場合があることも留意しておきましょう。

 

3. 建ぺい率と容積率の計算方法

建ぺい率と容積率を計算する上で、まずは敷地面積・建築面積・延床面積の理解が必要です。

敷地面積は、建築物を建てる敷地の面積です。建築面積は、建物を真上から見たときの面積のことを言います。延床面積とは、建物の各階の床面積を合計した面積です。

 

3-1. 建ぺい率の計算方法

建ぺい率は、下記の計算式で求められます。

建ぺい率(%)= 建築面積 ÷ 敷地面積 × 100

例えば、100平方メートルの土地(敷地面積)に40平方メートルの家(建築面積)が建っている場合、建ぺい率は下記のようになります。

建ぺい率(%)= 40平方メートル ÷ 100平方メートル × 100 = 40%

建ぺい率を計算する際の建築面積は、建物を真上から見たときの面積、つまり「水平投影面積」です。2階建て以上の建物の場合、各階の床面積が異なることがありますが、その中で最も面積が広い階の面積を建築面積として用います。

都市計画において、市街地における火災の危険を防除するために「防火地域」や「準防火地域」が指定されている場合があります。防火地域の場合は耐火建築物が、準防火地域の場合は耐火建築物と準耐火建築物が、建ぺい率緩和の対象です。具体的には、建ぺい率の上限に10%が加算されます。

 

3-2. 容積率の計算方法

容積率は、下記の計算式で求められます。

容積率(%)= 延床面積 ÷ 敷地面積 × 100

例えば、100平方メートルの土地(敷地面積)に、1階が70平方メートル、2階が40平方メートルの家を建てる場合、計算は下記のようになります。

容積率(%)= 110平方メートル(1階70平方メートル + 2階40平方メートル) ÷ 100平方メートル × 100 = 110%

なお、玄関ポーチ、バルコニー・ベランダ、ロフト、出窓など、 建築基準法上、延床面積に算入されない部分があります(一定の条件あり)。また、建築基準法では、地下室や駐車場などの特定の用途に使用される部分について、容積率の緩和措置が設けられています。

 

4. 建ぺい率60%・容積率200%で建てられる家の大きさ

敷地面積が100平方メートルの第1種低層住居専用地域に家を建てる場合を想定し、前面道路の幅員が12m未満、建ぺい率60%、容積率200%の土地に建てられる家の大きさをシミュレーションします。

建築面積・延床面積は以下の通りです。

建築面積 = 敷地面積 × 建ぺい率 = 100平方メートル × 60% = 60平方メートル

延床面積 = 敷地面積 × 容積率 = 100平方メートル × 200% = 200平方メートル

上記の計算から、建築面積は60平方メートル以内、延床面積は200平方メートル以内ということが分かります。3階建ての家を建てる場合、1階は建築面積の上限である60平方メートル・2階は50平方メートル・3階は30平方メートルなどのシミュレーションが考えられます。

なお、前面道路の幅員が12m未満の場合、容積率に制限が加わる場合があります。これは、道路幅員が狭いと、建物が大きくなりすぎると日照や通風が悪くなるためです。この制限を計算するために用いられるのが「容積率低減係数」です。

第1種低層住居専用地域では、容積率低減係数は40%と定められていることが多いです。つまり、前面道路の幅員(メートル単位)に40を掛けた数値が、容積率の限度となる場合があります。

例えば、前面道路の幅員が6mの場合、容積率の限度は下記の通りです。

容積率の限度 = 6m × 40 = 240%

今回の例では、指定容積率が200%であり、道路幅員による容積率の限度(仮に6mの道路幅員と仮定すると240%)よりも小さいため、指定容積率の200%が適用されます。

 

5. 建ぺい率と容積率をオーバーすると建築基準法違反になる

建ぺい率や容積率の基準をオーバーしている場合、その建物は建築基準法に違反する「違反建築物」または「既存不適格建築物」となります。

出典:e-Gov 法令検索「建築基準法」

違反建築物は、建築確認申請が通らなかったり、建築後に是正命令を受けたりする可能性があります。また、既存不適格建築物は、建築当時は適法であったものの、その後の法改正や都市計画の変更によって現行の基準に適合しなくなった建物のことです。

これらの建物は、増改築を行う際に制限を受けるなど、将来的に不利益を被る可能性があります。

 

まとめ

建ぺい率と容積率は、建築基準法によって定められた、建築物の規模を制限する重要な指標です。

建ぺい率は、敷地面積に対する建築面積の割合を示します。建築面積とは、建物を真上から見たときの面積、すなわち水平投影面積のことです。一方、容積率は、敷地面積に対する延床面積の割合を示します。

建ぺい率と容積率の上限は、用途地域によって大きく左右されるので、建築前に必ず確認する必要があります。詳しくは、担当の不動産会社やハウスメーカーに確認するのが安心です。


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