不動産コラム

2025-09-29
マイホームの購入にはいくら必要?必要な貯金額の目安や貯金のコツも

「マイホームを買うにはいくら必要なのだろう?」と疑問に思う方は多いでしょう。マイホーム購入には物件価格だけでなく、頭金や諸費用、購入後の維持費など、幅広い支出が伴います。そのため、資金計画を誤ると生活に余裕がなくなる恐れがあります。

当記事では、マイホームの購入資金の内訳や貯金額の目安、貯金がない場合のローン活用法、購入後に残すべき資金、効率的な貯め方のコツを解説します。無理のない資金計画を立て、購入後も安心して暮らせるマイホームへの道筋を描きましょう。

 

1. マイホームの購入にかかる主な費用

マイホームを購入する際には、物件価格だけでなく、頭金や諸費用、購入後の維持費も考慮する必要があります。ここでは、購入前に把握すべき主な費用の内訳を解説します。

 

1-1. 物件価格・頭金

住宅購入時は頭金として物件価格の10~20%を現金で支払い、残額を住宅ローンでまかなうのが一般的です。たとえば、3,000万円の新築住宅であれば、300万~600万円を頭金に充て、残りを借り入れるイメージです。

住宅金融支援機構の「フラット35利用者調査」によると、注文住宅では平均729.0万円(18.5%)、マンションでは1,337.9万円(23.9%)が頭金として支払われています。住宅の種類によって負担割合は多少上下するものの、物件価格の10~20%を頭金として支払うケースが多いことが分かります。

融資区分頭金(手持金)
※()は購入額を100とした場合の割合
注文住宅729.0万円(18.5%)
土地付き注文住宅460.7万円(9.7%)
建売住宅322.8万円(8.4%)
マンション1,337.9万円(23.9%)
中古一戸建て232.5万円(9.0%)
中古マンション524.4万円(17.3%)

出典:住宅金融支援機構「2024年度 フラット35利用者調査」

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1-2. 諸費用

マイホームを購入する際には、物件価格とは別に諸費用が必要です。諸費用は購入する住宅の種類によって異なり、一戸建てであれば物件価格の6~10%程度、新築マンションであれば約3~5%が目安とされています。たとえば、3,000万円の新築マンションなら約90万~150万円、一戸建てなら約180万~300万円の諸費用がかかる計算です。

諸費用には契約時にかかる印紙税や不動産会社への仲介手数料、登記関連費用などが含まれ、原則として現金での支払いとなります。以下では、項目ごとの目安金額をまとめています。

費用項目概要と目安金額
印紙税売買契約書に貼付する印紙代。物件価格が1,000万~5,000万円以下なら2万円程度。
仲介手数料不動産会社に支払う成功報酬。不動産の売買額が400万円を超えた場合は物件価格×3%+6万円+消費税。
修繕積立基金(新築マンション)将来の大規模修繕に備えた積立金。初回費用として約20万~40万円がかかる。
登録免許税所有権やローンの登記時にかかる国税。内容により評価額の0.1~2%程度。
司法書士報酬登記手続きを依頼する専門家への謝礼。相場は約1万~13万円とされる。
不動産取得税不動産購入時にかかる地方税。原則は固定資産税評価額の3%だが、住宅用物件には軽減措置が適用されることもあり。
税金の清算金(固定資産税・都市計画税)購入時に、売主と買主で年間の税金を日割り精算。標準税率は1.4%。

 

1-3. 物件購入後の維持費

マイホームを購入した後は、物件価格や諸費用とは別に、継続的に維持費がかかります。一戸建ての場合、固定資産税や保険料、町内会費を含めると、維持費は毎月4~5万円程度かかると言われています。将来的に外壁や屋根の補修、バリアフリー工事などを行うのであれば、その工事費も必要です。

マンションの場合は、管理費や修繕積立金が毎月発生します。当初は数千円でも年数を重ねるごとに値上がりし、20年後には月2万円以上になるケースもあります。加えて、固定資産税や駐車場代、専有部分のリフォーム費用なども必要です。

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2. マイホームを購入する際に必要な貯金額の目安

マイホームを買うのに必要な貯金額の目安は、一般的に購入価格の10~30%と言われています。この金額には頭金や諸費用などが含まれ、物件の種類や住宅ローンの組み方によっても変動します。たとえば、3,000万円の住宅なら300万~900万円が目安となります。

貯金を少なくして住宅ローンを多めに借りることも可能ですが、その分毎月の返済負担が重くなる点には注意が必要です。一方で、貯金を大きく充てすぎると手元資金が不足し、急な出費や将来的な生活費に影響するリスクもあります。そのため、住宅購入計画を立てる際は、収入やライフプランを踏まえた無理のない資金配分が重要です。

必要な金額感をつかむために、以下で具体的な貯金額の目安を確認しましょう。

物件価格10%(最低目安)20%(中間目安)30%(ゆとり目安)
1,000万円100万円200万円300万円
1,500万円150万円300万円450万円
2,000万円200万円400万円600万円
2,500万円250万円500万円750万円
3,000万円300万円600万円900万円
3,500万円350万円700万円1,050万円
4,000万円400万円800万円1,200万円
4,500万円450万円900万円1,350万円
5,000万円500万円1,000万円1,500万円

 

2-1. 貯金がない場合でもフルローンやオーバーローンを利用できる

貯金が十分にない場合、マイホームを購入する方法として「フルローン」や「オーバーローン」があります。

フルローンとは、住宅購入費を全額借り入れる方法で、頭金を用意できなくても住宅購入が可能になる点がメリットです。たとえば、3,000万円の一戸建てを買う場合、3,000万円をローンで借り入れる形になります。ただし、借入額が大きくなる分、審査が厳しくなり、返済期間や利息負担が増える可能性がある点には注意が必要です。

一方のオーバーローンは、購入費用に加えて諸経費分も含めて借り入れる方法です。諸費用もカバーできるため自己資金ゼロで購入できますが、借入額がさらに高額になるため審査がより厳格になり、金利も高めに設定されやすい傾向にあります。また、売却時に残債が多く残るリスクも伴うため、将来のライフプランを踏まえて慎重に検討しましょう。

 

3. マイホームを買った後に残したい貯金はいくら?

マイホーム購入にあたっては、貯金をすべて頭金や諸費用に充てるのは避けるべきです。購入後も安心して暮らすためには、最低でも3か月分の生活費を残すことが推奨されます。たとえば、月収30万円の家庭なら90万~120万円程度が目安です。

さらに安定性を高めたいときは、6か月分の生活費を確保できれば、病気や転職など収入の変動にも冷静に対応できます。購入後の生活を圧迫しないためにも、一定の余裕資金を確保することが大切です。

 

4. マイホーム貯金を貯めるためのコツ

マイホームでは大きな貯蓄額が必要になるため、計画的に取り組まなければ、なかなか目標には届きません。ここでは、効率よくマイホーム資金を貯める方法を紹介します。

  • 支出を減らすために固定費を見直す
    毎月必ず発生する固定費を削減することで、大きな節約効果が得られます。家賃や保険料、スマートフォンの通信料金、サブスクリプション代などを洗い出し、不要な契約の解約やより安いプランへの切り替えを検討しましょう。
  • 別の口座に分けて貯金する
    マイホーム用の資金は、教育費や老後資金と混在させず、専用の口座に分けて管理するのがおすすめです。目的を明確に分けることで、「いくら貯まったのか」が把握しやすくなり、他の用途に流用してしまうリスクも減らせます
  • 定期預金を活用する
    自動的に貯金できる仕組みを作るのも効果的です。会社によっては給与天引きの「財形貯蓄制度」が利用でき、特に「財形住宅貯蓄」は一定額まで利子が非課税です。制度が利用できない場合でも、銀行の定期預金や積立預金を利用すれば、無理なく安定的に貯金を続けられるでしょう。

 

まとめ

マイホームを購入するときは、物件価格だけでなく頭金や諸費用、購入後の維持費まで含めて総合的に資金を考える必要があります。一般的に必要な貯金額は、物件価格の10~30%が目安です。フルローンやオーバーローンを利用すれば貯金が少なくても購入は可能ですが、借入額が増える分、住宅ローン返済の負担やリスクも大きくなるため注意が必要です。

また、最低3か月分、できれば半年分の生活費を残すことで、マイホーム購入後の突然の収入減や出費にも備えられます。そのためには、固定費の見直しや貯金口座の分離、定期預金の活用など、日々の生活から効率的にマイホーム資金を貯める工夫が求められます。無理のない資金計画を立てることで、購入後も生活にゆとりを持ちながら理想の住まいを実現できるでしょう。