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2026-10-25
地役権が設定された土地とは?購入前に知っておきたい通行・利用制限と登記の見方
日本の住宅地で通行用の通路に接する購入候補地を見学する夫婦

この記事のポイント:地役権とは、他人の土地を一定の目的で利用できる権利です。「地役権設定あり」の土地購入では、通行地役権の内容と建築・外構への影響を分けて確認することが大切です。

地役権が設定された土地とは?購入前に知っておきたい通行・利用制限と登記の見方

公開日:2026年10月25日

土地を探していると、物件資料や登記事項証明書に「地役権設定あり」と記載されていることがあります。普段あまり聞き慣れない言葉だけに、「購入しても大丈夫なのか」「家を建てる際に制限があるのか」と不安になる方もいるでしょう。

地役権は、土地の所有者だけでなく、隣接する土地の利用にも関係する権利です。特に注文住宅を建てるための土地を購入する場合は、通路の利用方法や建物の配置に影響することがあります。

この記事では、地役権の基本的な仕組みから、通行地役権の注意点、登記の見方、土地購入前の確認事項まで、住宅購入を検討する方に向けて解説します。

地役権が設定された土地は購入できる?

地役権が設定されている土地でも購入は可能です。ただし、購入する土地が他人の通行などに利用される側なのか、他人の土地を利用できる側なのかによって、権利の内容と注意点が異なります。

購入を判断する際は、地役権の設定目的・範囲・利用方法を確認し、希望する暮らしや建築計画に支障がないかを調べることが重要です。

  • 検討しやすい人:土地の権利関係を確認し、利用条件を理解したうえで購入を判断できる人
  • 確認したいこと:地役権の種類、対象範囲、通行方法、建築・外構への影響
  • 迷う場合の判断軸:登記・契約内容と現地の利用状況が一致し、希望する住宅計画を実現できるか

土地購入の結論は「権利の内容」と「建築への影響」で判断すること

地役権が設定された土地は、権利の内容を確認したうえで購入を検討できます。判断の目安になるのは、購入する土地がどのような権利を持つ、または負担するのかを把握し、生活や建築計画への影響を整理できることです。登記だけでは具体的な利用方法を判断できない場合もあるため、設定契約書や現地状況の確認が欠かせません。

  • 地役権の対象となる土地と権利の関係を確認する
  • 通行できる場所・方法・利用範囲を確認する
  • 建物、駐車場、塀などの配置制限を調べる
  • 建築基準法上の接道要件を別途確認する
  • 契約前に不明点を整理し、必要な資料を取得する

地役権とは?要役地と承役地の違い

地役権とは、ある土地の利便性を高めるために、設定された目的に従って他人の土地を利用できる権利のことです。民法第280条に規定されており、通行や用水などを目的として設定されることがあります。

この記事では、住宅用地の購入に関係しやすい「通行地役権」を中心に説明します。

要役地は「利益を受ける土地」

要役地(ようえきち)とは、地役権によって利益を受ける土地です。例えば、自分の土地へ出入りするために隣地の一部を通行できる権利が設定されている場合、その権利によって利益を受ける土地が要役地です。

ただし、要役地だからといって隣地全体を自由に利用できるわけではありません。通行する場所や方法は、地役権の設定内容によって決まります。

承役地は「利用される土地」

承役地(しょうえきち)とは、地役権によって他人の土地の便益のために利用される土地です。

例えば、所有する敷地の一部に隣地のための通行地役権が設定されている場合、その通行を妨げないように土地を利用する必要があります。

地役権の範囲によっては、建物や塀の設置、駐車スペースの配置などを検討する際に制限が生じることがあります。

土地の所有者が変わっても権利関係は続く?

地役権は、原則として要役地の所有権に伴って移転する性質を持っています(民法第281条)。また、承役地の所有者が変わった場合も、適切に登記された地役権などは新しい所有者との関係で効力を持ちます。

そのため、土地の売買によって地役権が自動的に消えるわけではありません。購入後もどのような権利関係が続くのか、契約前に確認することが重要です。

袋地の通行権とは別の制度

公道に通じない土地については、民法第210条以下に定める「公道に至るための他の土地の通行権」が問題となる場合もあります。

これは、設定された目的に従って利用する地役権とは異なる制度です。通行地役権の登記が見当たらない場合でも、通行に関する権利関係が存在しないとは限りません。

土地の登記資料と区画図を見比べて地役権の対象範囲を確認する手元

地役権設定ありの土地を購入する際の5つの判断基準

地役権のある土地を購入する際は、登記の有無だけでなく、実際にどこを、誰が、どのように利用するのかを確認しましょう。特に次の5項目が、購入後の暮らしや建築計画を考える判断材料になります。

1. 地役権の設定目的と対象となる土地

最初に、地役権が何のために設定されているかを確認します。通行を目的とする地役権なのか、それ以外の目的なのかによって、利用方法は異なります。

また、購入する土地が要役地なのか承役地なのかを把握することも重要です。権利を利用する側なのか、他人の利用を受け入れる側なのかで、購入後に確認すべき内容が変わります。

2. 地役権が及ぶ範囲と位置

承役地の一部に地役権が設定されている場合は、敷地のどの部分が対象なのかを確認します。

対象範囲が建物の配置予定場所や駐車スペースに重なると、希望する間取りや外構計画に影響する可能性があります。必要に応じて地役権図面などを取得し、現地の位置関係を確かめましょう。

3. 通行方法と車両利用の条件

通行地役権が設定されていても、徒歩だけなのか、自動車の通行も想定されているのかは、個別の設定内容を確認する必要があります。

通行方法や利用時間などに取り決めがある場合は、その内容も確認します。日常の車の出し入れ、来客時の動線、配送車両の利用などを考える際の判断材料になります。

4. 通路の管理・維持に関する取り決め

地役権が設定された通路について、舗装や補修、清掃などの管理を誰が行うのかも確認しておきたい項目です。

費用負担は、設定契約や関係法令、具体的な利用状況によって異なります。地役権があるという理由だけで、管理費用を誰が負担するか一律には判断できません。

5. 建築・接道・外構への影響

注文住宅を建てる場合は、地役権の対象範囲を避けて建物を配置する必要があるか、玄関や駐車場の動線を確保できるかなどを確認します。

特に注意したいのは、通行地役権があることと、建築基準法上の接道要件を満たすことは別の問題である点です。

他人の土地を通行できても、その通路が建築基準法上の道路として扱われるとは限りません。建築の可否については、道路種別や敷地条件を行政窓口などで確認する必要があります。

地役権の登記はどこを見る?登記事項証明書の確認方法

地役権の登記を確認する際は、法務局で取得できる土地の登記事項証明書を確認します。権利部(乙区)に記載される地役権設定の内容や、要役地に関する記録が主な確認対象です。

権利部(乙区)の「地役権設定」を確認する

土地の登記事項証明書には、所有権以外の権利が権利部(乙区)に記録されます。地役権もその一つです。

承役地に地役権が登記されている場合は、主に次の内容を確認します。

  • 登記の目的:地役権設定など、どのような権利の登記か
  • 要役地:地役権によって利益を受ける土地
  • 設定目的:通行など、土地を利用する目的
  • 範囲:承役地の全部または一部など、権利が及ぶ範囲
  • 特約など:登記されている特別な取り決めの有無

要役地側にも、地役権に関する登記が記録されます。購入候補地だけでは関係を把握しにくい場合は、関係する土地の登記記録も確認しましょう。

※地役権の登記事項は、不動産登記法第80条および不動産登記規則第159条などに定められています。

地役権図面で範囲を確認する

承役地の一部に地役権が設定される場合、その範囲を示す地役権図面が登記所に備え付けられます。

例えば、敷地の端に沿って通行地役権が設定されている場合、図面を確認することで対象範囲を把握する手掛かりになります。

一方、承役地全体が対象となる場合など、地役権図面が作成されないケースもあります。図面の有無だけで権利の内容を判断せず、登記記録と併せて確認しましょう。

登記だけで分からないこともある

登記事項証明書は重要な確認資料ですが、日常的な通行方法や具体的な利用上の取り決めまで、すべて読み取れるとは限りません。

必要に応じて地役権設定契約書、過去の合意資料、重要事項説明書などを確認し、現在の利用状況と矛盾がないかを調べます。

要役地と承役地では購入時の確認点が異なる

この表では、購入対象となる土地が地役権によって利益を受ける側か、利用される側かによって、どのような点を確認する必要があるかを比較しています。

購入する土地の状況権利関係主な確認事項購入判断のポイント
要役地他人の土地を一定の目的で利用できる利用目的、通行範囲、通行方法必要な通行や土地利用ができるか
承役地土地の一部または全部が他人のために利用される対象範囲、建築・外構制限、管理条件希望する建物や駐車場を配置できるか
地役権の登記が見当たらない土地登記だけではすべての利用関係を判断できない現地の通行状況、合意資料、その他の通行権実際の利用状況と権利関係に問題がないか

まず購入する土地がどの立場にあるのかを整理し、次に登記内容と実際の利用方法を比較しましょう。承役地なら建築・外構への影響、要役地なら必要な利用が認められるかが重要になります。

登記だけで判断できない場合は、設定契約書や現地状況を確認し、物件ごとに判断することが大切です。

住宅地の細い通路と隣接する門扉や駐車スペースを確認する現地風景

地役権のある土地で現地確認したいポイント

登記上の地役権の範囲が分かっても、実際の通路や敷地の使われ方まで把握できるとは限りません。土地購入前には現地を確認し、日常生活で想定される使い方と権利関係を照らし合わせましょう。

通路の幅と車の出し入れ

自動車を利用する予定がある場合は、通路の実際の幅や曲がり角、駐車スペースへの進入方法を確認します。

物理的に車が通れることと、権利上その通行が認められることは同じではありません。権利の内容と現地の状況を分けて調べることが重要です。

境界・塀・門扉の位置

地役権の範囲に塀や門扉、植栽などを設ける場合は、通行などの権利行使を妨げないか確認する必要があります。

また、地役権の範囲と土地の所有権の境界は別の概念です。地役権図面に加え、必要に応じて地積測量図や境界確認資料なども照合しましょう。

日常的な利用方法と管理状況

実際に誰が通路を利用しているのか、共用部分の清掃や補修がどのように行われているのかを確認します。

現在の使われ方が、登記や設定契約書の内容と一致しているかも重要です。長年の慣習だけで判断せず、関係資料を確認しましょう。

狭山不動産エリアで見られやすい検討条件

狭山不動産で住まい探しをご相談いただく際には、狭山市・所沢市・入間市周辺の土地について、道路との接し方や隣地との利用関係、建築計画への影響を整理することがあります。

地役権の確認では、地域名だけで条件を判断するのではなく、購入する土地ごとの状況を確かめることが重要です。

  • 道路との関係:建築基準法上の道路種別、接道状況、通路の利用条件
  • 敷地の形状:地役権の対象範囲と建物・駐車スペースの位置関係
  • 隣地との関係:通行や管理に関する取り決め、境界の確認状況
  • 建築計画:希望する間取りや外構を実現できるか、建築会社への事前確認

同じように通路が接している土地でも、権利関係や道路の扱いは異なります。物件資料・登記・現地状況を照らし合わせて比較しましょう。

注文住宅を建てる場合は土地の権利関係も計画に含めよう

地役権が設定された土地で注文住宅を検討する場合は、土地の購入判断と建築プランの検討を並行して進めることが大切です。

建物を建てられるかだけでなく、希望する間取りや外構まで実現できるかを確認しましょう。

建物の配置に影響する場合がある

承役地として通行地役権が設定された範囲では、権利の内容によって建物や工作物の設置が制限されることがあります。

例えば、希望する位置に建物を配置すると通行範囲と重なる場合は、配置計画を見直す必要が生じる可能性があります。

駐車場や玄関アプローチも確認する

建物本体の配置に問題がなくても、駐車場、玄関までのアプローチ、門扉、フェンスなどの計画が地役権の対象範囲に影響することがあります。

土地を購入してから外構の制約に気付くことがないよう、建物と外構を含めた配置計画を早い段階で検討しましょう。

地役権と建築基準法上の道路は分けて考える

通行地役権によって他人の土地を通れる場合でも、その通路が建築基準法上の道路に該当するとは限りません。

道路種別や接道状況によっては、建築計画の変更や別途手続きが必要になる場合があります。土地購入前に建築会社へ相談し、必要に応じて行政の建築指導担当窓口などで確認しましょう。

地役権のある土地を購入するか迷っている方へ

狭山市・所沢市・入間市周辺で土地を検討している方は、通行や利用制限、建築条件を整理してから物件を比較することが大切です。

「登記の内容が分かりにくい」「注文住宅を建てられるか確認したい」という場合は、購入候補地の状況や希望条件を整理するところからご相談ください。

地役権が設定された土地を購入する前の6ステップ

土地購入を進める際は、登記・契約資料・現地・建築計画の順に確認事項を整理すると、判断しやすくなります。

  1. 物件資料で地役権の有無を確認する

    販売資料や重要事項説明に関する資料から、地役権に関する記載を確認します。

  2. 登記事項証明書を取得する

    購入対象地と関係する土地の登記記録を確認し、要役地・承役地の関係や設定目的を把握します。

  3. 地役権の範囲と設定契約を確認する

    必要に応じて地役権図面や設定契約書を確認し、通行範囲、利用方法、管理に関する取り決めを調べます。

  4. 現地の通路や境界を確認する

    登記上の範囲と現地の利用状況を照合し、通行や車の出し入れ、隣地との関係を確認します。

  5. 建築・外構計画への影響を確認する

    建築会社と建物配置や駐車場の計画を検討し、道路種別や接道要件についても確認します。

  6. 不明点を解消してから契約を検討する

    売主や不動産会社から必要な説明を受け、権利の内容や利用上の制限を理解したうえで購入を判断します。

土地の区画図と住宅模型を見ながら建築配置を相談する夫婦と担当者

土地購入前の地役権チェックリスト

地役権が設定された土地を検討する際は、次の項目を確認しておきましょう。すべての土地に同じ条件が当てはまるわけではないため、物件ごとに整理することが重要です。

  • 購入対象地が要役地・承役地のどちらに該当するか確認した
  • 登記事項証明書で地役権に関する記録を確認した
  • 地役権の設定目的と対象範囲を確認した
  • 必要に応じて地役権図面や設定契約書を確認した
  • 徒歩・自動車などの通行方法を確認した
  • 通路の維持管理や費用負担に関する取り決めを確認した
  • 現地の通路や境界、利用状況を確認した
  • 建築基準法上の道路種別と接道要件を確認した
  • 建物・駐車場・塀などの配置に支障がないか確認した
  • 売買契約前に不明点を整理し、必要な説明を受けた

よくある質問

地役権が設定された土地の購入について、検討時に確認したい疑問をまとめました。

地役権が設定された土地でも購入できますか?

購入は可能です。ただし、購入する土地が他人の通行などに使われる「承役地」なのか、他人の土地を利用できる「要役地」なのかで確認点が異なります。登記事項証明書と設定契約書を照合し、建築・外構計画への影響を契約前に確認しましょう。

通行地役権があれば車でも通行できますか?

通行地役権があるだけで、自動車の通行まで認められるとは限りません。設定された目的や通行方法、通路の幅、利用上の取り決めを確認し、現地の状況と照合してください。登記の記載だけで判断できない場合は、設定契約書なども確認しましょう。

地役権のある土地に注文住宅は建てられますか?

建築できる場合もありますが、地役権の範囲によって建物や塀、駐車場の配置に影響することがあります。また、他人の土地を通行できる権利と、建築基準法上の接道要件を満たすことは別です。購入前に建築会社と行政窓口へ確認しましょう。

地役権の登記はどこで何を確認できますか?

法務局で取得できる登記事項証明書の権利部(乙区)などで、地役権に関する登記を確認できます。要役地と承役地、設定目的、範囲を読み取り、必要に応じて地役権図面や設定契約書、関係する土地の登記記録と照合してください。

登記に地役権の記載がなければ問題ありませんか?

登記に記載がないことだけで、通行や利用をめぐる権利関係に問題がないとは判断できません。現地での通路の使われ方や売主の説明、過去の合意資料を確認し、民法上の公道に至るための他の土地の通行権なども必要に応じて調べましょう。

まとめ|地役権のある土地は内容を確認してから比較しよう

地役権が設定された土地でも、権利の内容と利用条件を理解したうえで購入を検討できます。重要なのは、「地役権設定あり」という記載だけで判断せず、購入後の暮らしや建築計画への影響を確認することです。

  • 権利を確認:要役地・承役地の違いと、通行地役権の目的・範囲を把握する
  • 現地を確認:通路の利用状況、境界、車両通行や管理の取り決めを調べる
  • 建築条件を確認:注文住宅の配置計画や建築基準法上の接道要件を確認する

土地購入では、価格や立地だけでなく、権利関係も重要な判断材料になります。地役権のある土地とほかの候補地を比較する際は、確認事項を整理し、希望する住まい方を実現できるかを検討しましょう。

この記事の執筆・監修

狭山不動産株式会社 広報担当

掲載内容は一般的な住まい選びの考え方であり、物件ごとの条件や費用は異なります。具体的な検討時には最新情報をご確認ください。

土地の権利関係も含めて住まい探しを検討したい方へ

地役権のある土地とほかの候補地を比較する際は、通行条件、建築の可否、希望する注文住宅の間取りや外構など、複数の条件を整理することが大切です。

狭山不動産では、土地購入や住まい探しに関するご相談を受け付けています。狭山市・所沢市・入間市周辺で土地をお探しの方は、希望条件を整理するところからご相談ください。