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2026-10-19
家を売るとき購入時の契約書がない場合は?取得費5%と譲渡所得税の注意点
購入時の契約書が見つからず一戸建ての売却について話し合う日本人夫婦
購入時の契約書が見つからなくても、不動産売却を検討することはできます。取得費の確認方法を整理しておきましょう。

この記事のポイント:家を売るときに購入時の売買契約書がなくても、一般に売却は可能です。ただし、取得費を証明できない場合は売却価額の5%を概算取得費として使う方法があり、譲渡所得税の負担が変わる可能性があります。

家を売るとき購入時の契約書がない場合は?取得費5%と譲渡所得税の注意点

公開日:2026年10月19日

一戸建てやマンションの売却を考え始めたとき、「購入時の売買契約書が見当たらない」「何十年も前に購入したので、いくらだったか分からない」と困ることがあります。

購入時の契約書がないこと自体で売却できなくなるわけではありません。しかし、売却後の税金を計算する際には、当時の購入金額を確認できるかどうかが重要です。

この記事では、契約書を紛失した場合の確認方法、取得費が分からないときの5%ルール、譲渡所得税への影響、相続した不動産やマイホームの特例について解説します。

購入時の契約書がなくても家は売れる?

購入時の売買契約書がなくても、一般に家や土地を売却することは可能です。ただし、税務上は購入金額を証明できない場合、実際の購入費用に代えて売却価額の5%相当額を取得費として計算する方法があります。

そのため、契約書が見つからなくても、ほかの資料から当時の購入金額を確認できないか調べることが大切です。

  • 実額確認が向いている人:購入代金や諸費用が分かる資料を一部でも保管している方
  • 確認したいこと:契約書の写し、領収書、振込記録、購入時の精算書などが残っているか
  • 迷う場合の判断軸:実際の取得費を説明できるか、5%の概算取得費を使うか、税務上の特例を利用できるか

売却前に押さえたい3つの結論

購入時の契約書を紛失していても、一般に不動産売却は進められます。税金を計算する際は、まず別の資料から実際の取得費を確認し、それが難しい場合に売却価額の5%を使う方法を検討します。ただし、譲渡所得税は所有期間やマイホームの特例などでも変わるため、取得費だけで税額を判断しないことが重要です。

  • 契約書の紛失と、売却手続きができるかどうかは別の問題
  • 取得費が不明な場合は、売却価額の5%を概算取得費にできる
  • 5%で計算すると税負担が増える場合があり、特別控除の確認も必要

取得費とは?不動産売却の税金を計算する基本

取得費とは、売却する土地や建物を取得するために支払った費用を、税法上のルールに従って計算した金額のことです。この記事では、譲渡所得を計算する際に売却価額から差し引ける取得費を指します。

土地や建物を売って利益が生じた場合、その利益に対して所得税・住民税などが課されることがあります。この利益を「譲渡所得」と呼びます。

譲渡所得の計算式

譲渡所得=売却価額-(取得費+譲渡費用)

取得費には、購入代金のほか、購入時の仲介手数料や一定の登記費用、設備費・改良費などが含まれる場合があります。一方、譲渡費用は売却するために直接かかった仲介手数料や印紙税などです。

なお、建物の取得費は購入代金をそのまま使うのではなく、所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算します。土地と建物では取得費の計算方法が異なる点にも注意が必要です。

契約書がないことと取得費が分からないことは違う

売買契約書がなくても、購入時の振込記録や精算書などから取得費を説明できる可能性があります。

逆に、購入当時の価格を記憶していても、金額を裏付ける資料がなければ、税務申告でその金額を使えるとは限りません。記憶だけで申告金額を決めず、客観的な資料を探しましょう。

購入金額を調べるため古い領収書や預金通帳などの資料を確認する手元
購入時の契約書が見つからない場合は、領収書や振込記録、精算書など、取得費を説明できる資料を探します。

契約書がないときの判断基準|確認したい5つのこと

購入時の契約書がない場合は、購入金額を裏付ける資料の有無を優先して確認しましょう。取得時期や建物の工事履歴なども、取得費を整理するための判断材料になります。

1. 購入時の不動産会社に契約書の写しがないか

購入を仲介した不動産会社や当時の売主に、契約書や精算書の写しが残っていないか問い合わせます。保管期間や事業者の状況によっては入手できないため、確認できる範囲を調べましょう。

2. 代金を支払った記録が残っているか

預金通帳、振込明細、領収書などは、実際の支払いを確認する資料になります。購入代金の全額でなくても、頭金や残代金の支払いを示す記録が残っていないか探してみましょう。

3. 取得した時期と土地・建物の内容が分かるか

登記事項証明書などで取得時期や所有権の履歴を確認します。ただし、登記情報に通常の売買価格が記載されているわけではないため、取得費の証明には別の資料との照合が必要です。

4. 新築・増改築に関する資料が残っているか

注文住宅を建築した場合は建築請負契約書、増改築を行った場合は工事契約書や領収書も確認します。工事費用が取得費に含まれるかは工事内容によって異なり、通常の修繕費は原則として取得費に含まれません。

5. 住宅ローンの借入額を購入金額と混同していないか

住宅ローンの借入額は、頭金や諸費用などの関係で実際の購入価格と一致しない場合があります。現在のローン残債も取得費ではないため、借入関連資料だけで判断せず、購入時の支払記録と照合しましょう。

購入時の契約書がない場合、どんな資料が役立つ?

契約書がないときは、購入金額に直接関係する資料から確認するのが基本です。資料が見つかっても、その金額を取得費として採用できるかは内容によって異なります。

この表では、資料ごとに確認できる内容と、取得費を調べる際の注意点を整理しています。

資料 確認できること 注意点
売買契約書の写し 購入金額・契約内容 写しの入手可否を確認
購入時の精算書・領収書 購入代金や諸費用 費用の内訳を確認
預金通帳・振込記録 支払日・支払先・金額 支払目的の裏付けが必要
住宅ローン関連資料 借入時期・借入金額 借入額と購入価格は別
建築請負契約書 建物の建築代金 減価償却の確認が必要
登記事項証明書 所有者・取得時期など 購入金額は原則分からない
固定資産税関係書類 評価額・物件情報 評価額は購入代金ではない

最初に探したいのは、購入代金や支払額を直接確認できる資料です。次に、取得時期や物件内容を示す資料と照合し、購入当時の状況を整理します。複数の資料があっても実際の取得費として認められるかは個別判断となるため、確定申告前に税理士や税務署へ確認しましょう。

取得費が分からない場合の「売却価額の5%」とは?

取得費が分からない場合は、売却価額の5%相当額を取得費として計算できます。この方法を「概算取得費」といい、購入時期が古い不動産や、相続した土地・建物などで取得費が不明な場合にも使われます。

例えば、売却価額が3,000万円の場合、5%相当額は150万円です。

3,000万円×5%=150万円

この150万円を取得費として譲渡所得を計算します。5%は購入価格に掛ける割合ではなく、売却価額に掛ける割合であることがポイントです。

5%ルールは契約書をなくした人だけの制度ではない

実際の取得費が売却価額の5%より少ない場合にも、5%相当額を概算取得費として使うことができます。

ただし、概算取得費を選んだ資産については、購入時の仲介手数料などの実額を重ねて取得費へ追加することはできません。同じ費用を重複して取得費に算入しないよう注意しましょう。

また、土地と建物で取得費の確認状況が異なる場合は、それぞれを区分して確認する必要があります。一方の取得費が不明でも、もう一方の取得費を確認できる場合があるため、計算方法は個別に整理しましょう。

5%で計算すると税金が高くなる?

本来の取得費が売却価額の5%より大きい場合、5%で計算すると譲渡所得が大きくなり、税負担が増える可能性があります。

この表では、売却価額3,000万円、譲渡費用100万円という仮定で、実際の取得費を確認できた場合と、5%の概算取得費を使う場合を比較しています。

比較項目 実額で計算する場合 5%で計算する場合
売却価額 3,000万円 3,000万円
取得費 2,000万円 150万円
譲渡費用 100万円 100万円
譲渡所得 900万円 2,750万円
差額 譲渡所得に1,850万円の差

※説明用の仮定です。実額取得費2,000万円は建物の減価償却等を反映した後の金額とし、特別控除適用前の譲渡所得を比較しています。実際の売却価格や税額を示すものではありません。

最初に実額取得費を裏付ける資料があるか調べ、次に5%で計算した場合の譲渡所得と比較しましょう。どちらを使えるか判断に迷う場合は、資料を整理して税務の専門家に確認することが重要です。

譲渡費用は取得費とは別に確認する

概算取得費を利用する場合でも、売却時の仲介手数料や売買契約書の印紙税など、譲渡費用に該当する支出は別途差し引けます。

一方、住宅ローンの返済額や通常の維持管理費などは、売却のために直接かかった譲渡費用とは異なります。支出の目的ごとに分けて整理しましょう。

購入時の取得費を確認して売却を検討する日本の中古マンション外観
中古マンションの売却でも、購入時の取得費や建物の減価償却、所有期間を確認して税金を計算します。

譲渡所得税の注意点|5%ルール以外に確認すること

譲渡所得税を考える際は、取得費だけでなく所有期間と特別控除の適用条件も確認する必要があります。同じ売却価額でも、条件によって課税される金額や適用税率が変わります。

所有期間が5年を超えるかどうか

土地・建物の譲渡所得は、売却した年の1月1日時点の所有期間によって長期譲渡所得と短期譲渡所得に区分されます。

  • 長期譲渡所得:所有期間が5年を超える場合。原則20.315%
  • 短期譲渡所得:所有期間が5年以下の場合。原則39.63%

※税率は2026年分の一般的な土地・建物の譲渡を前提とし、所得税・住民税・復興特別所得税を含みます。特例が適用される場合などは異なります。

例えば、2026年に売却する場合は、2020年12月31日以前に取得した不動産が原則として長期譲渡所得に該当します。単純に売却日から5年を数えるわけではありません。

マイホームなら最高3,000万円の特別控除が使える場合も

自分が住んでいたマイホームを売却する場合、一定の条件を満たせば、所有期間にかかわらず譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。

そのため、概算取得費を使った結果、譲渡所得が大きく計算されても、条件を満たす特別控除によって課税譲渡所得がなくなる場合があります。

ただし、特例には居住状況、売却時期、売却相手などに関する要件があり、適用には確定申告が必要です。住み替え先の住宅ローン控除との併用制限にも注意しましょう。

相続した不動産は取得費と取得時期を引き継ぐ

相続や贈与で取得した不動産については、原則として前の所有者の取得費と取得時期を引き継ぎます。

例えば、親が購入した家を相続した場合は、相続時の固定資産税評価額をそのまま取得費として使うのではなく、親が購入した際の資料を確認します。

なお、相続時に支払った一定の登記費用などは実額の取得費に含まれる場合がありますが、5%の概算取得費を選ぶ場合には重ねて加えることはできません。

相続不動産には別の税制上の特例が関係する場合もあるため、適用条件を個別に確認しましょう。

狭山不動産エリアで見られやすい検討条件

狭山市・所沢市・入間市周辺で一戸建てやマンションの売却・住み替えを検討する際には、購入時の書類の有無だけでなく、所有期間、建物の状態、売却後の資金計画などを整理することが重要です。

狭山不動産で住み替え先の住まい探しをご相談いただく際には、現在の住宅を売却する時期や売却代金の使い道を整理することがあります。

  • 長く住んだ一戸建て:購入時の契約書や建築費用の資料が残っているか
  • 相続した住宅:以前の所有者の購入時期や取得費を確認できるか
  • 中古マンション:購入代金の内訳や建物の減価償却を整理できるか
  • 住み替えを伴う売却:税金や諸費用を考慮した手元資金を把握できるか

売却価格だけで住み替え予算を決めず、住宅ローン残債、売却にかかる諸費用、税金の可能性を分けて考えることが判断材料になります。

一戸建てとマンションで取得費の確認方法は違う?

一戸建てとマンションでは、探すべき購入時の資料に違いがあります。ただし、どちらも土地と建物の取得費を税法上のルールに従って計算する点は共通です。

一戸建ての場合

土地と建物を別々に購入した場合や、土地購入後に注文住宅を建てた場合は、それぞれの売買契約書や建築請負契約書が確認資料になります。

購入後に増築や一定の改良工事を行った場合は、その工事費用が取得費に含まれる可能性もあるため、工事内容が分かる資料を探しましょう。

マンションの場合

マンションは、専有部分の建物と敷地利用権などの関係を整理する必要があります。購入時の売買契約書や精算書などから、購入代金の内訳を確認します。

建物部分には減価償却が関係します。また、毎月の管理費や修繕積立金を支払っていたからといって、その全額が取得費になるわけではありません。

物件の種類だけで概算取得費の利用を決めず、実際の取得費を確認できるかを優先しましょう。

売却後の住み替え予算が決まらない方へ

狭山市・所沢市・入間市周辺で住み替えを検討している場合は、現在の住まいの売却条件と、次の住宅に必要な予算を分けて整理すると検討しやすくなります。

取得費や譲渡所得税については税理士・税務署への確認が必要ですが、住み替え先の購入条件や資金計画については住宅購入相談をご利用いただけます。

契約書を紛失した場合の売却準備6ステップ

購入時の契約書がない場合は、売却を検討する段階から資料を整理しておくと、取得費や税金の確認を進めやすくなります。

  1. 手元に残る購入時の資料を探す
    売買契約書、領収書、精算書、建築請負契約書、振込控えなどを確認します。
  2. 購入時の関係先に問い合わせる
    仲介会社や売主、金融機関などに、利用できる資料が残っているか確認します。
  3. 所有期間と権利関係を確認する
    登記事項証明書などから取得時期や所有名義を整理し、住宅ローン残債も別途確認します。
  4. 実額の取得費を計算できるか検討する
    購入代金や取得時の諸費用、建物の減価償却、一定の改良費などを整理します。
  5. 5%ルールと税制上の特例を確認する
    概算取得費を使う場合の譲渡所得と、マイホームの特別控除などの適用可能性を確認します。
  6. 税金の見込みを踏まえて売却・住み替えを検討する
    取得費の判断は税理士や税務署へ確認し、売却諸費用やローン残債を含めた資金計画を整理します。
不動産会社の相談スペースで住宅売却と住み替えの資金計画を相談する日本人夫婦
売却価格だけでなく、取得費・譲渡費用・税金の可能性を整理し、住み替え後の資金計画を検討しましょう。

売却前に確認したいチェックリスト

購入時の契約書がない場合は、次の項目を確認しておくと、資料探しや専門家への相談が進めやすくなります。

  • 購入時の売買契約書や建築請負契約書を探した
  • 購入時の仲介会社・売主に写しの有無を確認した
  • 当時の通帳・振込控え・領収書を確認した
  • 購入時の精算書や諸費用の記録を確認した
  • 取得時期と現在の所有名義を確認した
  • 土地・建物の購入金額の内訳を整理した
  • 建物の減価償却や一定の増改築費を確認した
  • 実額取得費と5%の概算取得費を比較した
  • 所有期間と3,000万円特別控除などの適用条件を確認した
  • 税務上の判断を専門家に確認し、売却後の資金計画を整理した

よくある質問

購入時の売買契約書がなくても家を売れますか?

はい。購入時の売買契約書を紛失していても、一般に売却手続きを進めることはできます。ただし、所有者や権利関係、住宅ローン残債などは別途確認が必要です。売却できるかという問題と、購入額を取得費として説明できるかという税務上の問題は分けて考えましょう。

契約書がないと取得費は売却価額の5%しか認められませんか?

いいえ。契約書がなくても、当時の支払記録や精算書などから実際の取得費を説明できる可能性があります。金額を確認できない場合は、売却価額の5%相当額を概算取得費にできます。5%を使う資産については、購入時の諸費用を実額で重ねて加えることはできません。

住宅ローンの借入額や固定資産税評価額を取得費にできますか?

住宅ローンの借入額は頭金を含む購入代金と一致するとは限らず、固定資産税評価額も当時の売買価格そのものではありません。これらだけで取得費が確定するとは考えず、契約時の精算書や振込記録などを合わせて確認し、申告に使えるか税理士や税務署へ相談してください。

相続した一戸建てやマンションの取得費はどうなりますか?

相続や贈与で取得した一戸建て・マンションは、原則として以前の所有者が購入した際の取得費と取得時期を引き継ぎます。相続時の評価額をそのまま購入代金にはできません。親族が保管する契約書や領収書も探し、概算取得費を使う場合の扱いは税務署などに確認してください。

購入時の契約書の写しや支払記録はどこで確認できますか?

購入時の仲介会社・売主に契約書の写しが残っていないか相談し、金融機関では当時の振込履歴や住宅ローン関連資料を確認します。手元の通帳、領収書、購入時の精算書、建築請負契約書も探しましょう。保存状況や証明できる範囲は異なるため、複数の資料を組み合わせて整理することが大切です。

まとめ|契約書がなくても取得費を確認してから売却を検討しよう

購入時の契約書が見つからない場合でも、すぐに5%の概算取得費で計算する必要があるとは限りません。まずは当時の購入金額を裏付ける資料を探すことが重要です。

  • 売却は一般に可能:購入時の契約書がなくても、売却手続きと税務上の取得費確認は分けて考える
  • 取得費は資料を確認:契約書の写しや支払記録を探し、実額を説明できるか調べる
  • 税金は総合的に判断:取得費5%、所有期間、譲渡費用、特別控除などを合わせて確認する

一戸建てやマンションを売却する際は、売却価額だけでなく、譲渡所得税や売却諸費用、住宅ローン残債なども整理しましょう。住み替えを検討している場合は、売却後の手元資金と次の住宅の購入条件を比較することが大切です。

税制に関する参考情報:国税庁タックスアンサー「No.3258 取得費が分からないとき」「No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」「No.3302 マイホームを売ったときの特例」「No.3270 相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期」。制度や適用条件は申告時点の最新情報をご確認ください。

この記事の執筆・監修

狭山不動産株式会社 広報担当

掲載内容は一般的な住まい選びの考え方であり、物件ごとの条件や費用は異なります。具体的な検討時には最新情報をご確認ください。

一戸建て・マンションの売却後の住まいを考える

今の住まいを売却して、新たに一戸建てやマンションを購入する場合は、売却後の資金と購入予算のバランスを確認しましょう。

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